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昭和初期抒情詩と江戸時代漢詩のための掲示板

697やす:2014/04/19(土) 03:31:56
装釘を紹介する図録2種 : 棟方志功と北園克衛
 このたび古本収集のお仲間の一人だった山本正敏様(富山県埋蔵文化センター所長)から、すばらしい図録『「世界のムナカタ」を育んだ文学と民藝:高志の国文学館企画展』の御寄贈に与りました。棟方志功の画業に関して出された画集・図録は数々あれど、書籍装画に絞ったものは考察ともに少なく、雑誌自体は短命だった「日本浪曼派」の、保田與重郎を「渦の中心」に据ゑたイメージづくりに大きく関ったといへる、かの「志功装画本」の全容の解明を目指してきた山本様のコレクションは、夙に古本仲間うちでは有名だったのですが、紙質や印刷を直に確認できる現物収集の史料的な重要性はともかく、このたびは点数の統計的な分析を試みたことなど、山本様ならではの独擅場と呼ぶべき永年の成果を、郷土の文学館の企画展で披露し、カタログに美しいカラー図版で盛られましたことを心よりお慶び申し上げます。

 「棟方志功の装画本を集め、調査研究する意義はどこにあるのか」・・・その意義や、そもそもコンプリートなど不可能事であるとして、口さがない古本仲間から収集営為そのものが揶揄されたやうな時代もありましたけれども、なになに一念通じてもはや誰も否定できぬ陣容のコレクションは自ずと語ってをります。本冊解説にも曰く、ひとつは「棟方の板画や倭絵の画風の時代的変化」との関はりについて。もう一点は「装画本を通じて多くの文学者との交流の実態が明らかになること」。その通りではないでせうか。前者について門外漢の軽々に論ずるところにないのは仕方ないこととして「戦後しばらくして出身地青森県の文学者や出版社にも積極的に関わっていくのは、ようやく郷土への複雑な思いから解き放たれたあらわれであろう。」との考察など、統計によってはじめて説得力を得る新説ですし、また後者の視点を強く反映した今回の紙面づくりは、愛書家、日本浪曼派ファンの私としても、たいへん嬉しく、たしかに冒頭で福江充氏が記されたやうに「文学を愛するこころ」が棟方芸術の大きな要素となってゐることは、ただ単に装釘の仕事が多かっただけではない、何か、例へば冨岡鉄斎と儒学との関係性に似たものが類比されるやうにも思はれたことです。

 先だっては石井頼子様より『棟方志功の眼』といふ新刊の寄贈にも与りましたが、山川邸に伺った折にも、御遺族から保田與重郎とともに話題となったのは、「世界のムナカタ」の拘りのない仕事ぶりについてでありました。



 また日を分かたずして編集者の郡淳一郎様より、雑誌「アイデア」364号の御寄贈にも与りました。さきが棟方志功ならこのたびは戦前の詩精神を視覚的に代表するもう一方の極といふべき北園克衛。その彼が手がけた装釘本の総覧が大部の半分(143-254p)を占めてをります。拙サイトの旧くからの盟友、加藤仁さんのコレクションワークの産物ともいふべき、橋本健吉時代からの足取りを俯瞰した「ヴィジュアルアーティストとしての戦前の歩み」の一文や、労作「北園克衛をめぐる戦前モダニズム詩誌の流れ」を絵解きにしてみせた年表をはじめ、気鋭のキゾニストたちのセンスが汪溢する郡様編集の誌面に圧倒、ことにも貴重な戦前詩集・詩誌の類ひをフューチャーした美しい写真図譜、稀覯詩集『白のアルバム』『夏の手紙』『火の菫』や詩誌『白紙』の拡大写真などにうっとり見惚れてをります。



 大好きな詩人の装釘を紹介する、瀟洒なカタログに縁ある今週この二三日でありました。
ここにても御礼を申し述べます。ありがたうございました。

https://img.shitaraba.net/migrate1/6426.cogito/0000865.jpg

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