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昭和初期抒情詩と江戸時代漢詩のための掲示板

687やす:2014/01/26(日) 23:52:15
「季」98号
 さてその「四季」派の残党ともいふべき同人詩誌「季」は、わが古巣でもありましたが、精神的支柱であった杉山平一先生の死を乗り越え、茲に矢野敏行大兄の詩「喪のおわり」の副題を持つ「十月に」を巻頭に掲げて再出発されました。


 十月に  喪のおわり
                    矢野敏行

明け方、虫声はひときわ盛んに、地から湧き上るように、天に
響いている。その虫声を、私は、聞き分けることが出来る。

エンマは優しく、オカメは忙しげに、ツヅレサセは語りかける
ように。カネタタキはそれから少し、間遠く。

空には冬の巨人が、青白く輝くセイリオスを連れて、昇ってき
ている。その先では、プレイアスの娘達が、ささめいている。

この世から消えていった、大切な人達よ。貴方達は、この虫声
を、どこで聞き、星々を、どこで見ているのか。

もしかしたら、一枚の銀幕を、ひらりと捲れば、すぐそこに
皆、居たりするのか。

藍色をした薄明は、短い。虫の声も星の光も、消えていく。
ちょうど貴方達のように、消えていく。

いや、そうではない。貴方達は、すぐそこに居る。いや、もう
すでに、私の中に、居る。

私は聞き分けることが出来る。貴方達の声を、私は、聞き分け
ることが出来る。


津村信夫の呼吸法を矢野さん独自の解釈で、ふたたび彼等にお返ししてゐるやうな趣きです。
私も詩集に収録を見送った詩を一篇寄稿、宣伝までして頂きました。ありがたうございました。ここにても厚く御礼を申し上げます。

「季」98号 (2013.12.20 関西四季の会刊行)  500 円

十月に・夏 矢野敏行4
草は踏まれて・あの日の日記から 杉本深由起8
峠ちかくで 中嶋康博12
花の蔭 紫野京子14
山里・植木鉢の花・愚問 高畑敏光16
母・戦争反対・悪態・死なないで・お題目 奥田和子20
龍の火 小林重樹29
百合の気持 小原陽子32
夏の終わり・どこへ? 舟山逸子34
後記 38


【追伸】今週は稀覯本『富永太郎詩集』を入手したり、「きりのなかのはりねずみ」「話の話」などのアニメーションで有名な映画監督ユーリ・ノルシュテイン先生の講演会&サイン会(1/25於岐阜県美術館)に赴き、憧れの映像詩人を間近にしては、嬉しくてどうにかなりさうな週末でした。詳細はTwitter、Facebookにて。

https://img.shitaraba.net/migrate1/6426.cogito/0000855.jpg


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