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昭和初期抒情詩と江戸時代漢詩のための掲示板

454やす:2009/12/12(土) 21:48:24
秋田の写本漢詩集
 今月はのっけから、オークションやネット古書店での安物買ひが続いてゐます。
 まづは再版漢詩集の種々32冊を破格値で落札。旧家の蔵から放出されたものと思しく、一緒に送られてきた自筆詩集の巻頭に「以詩為命」と大書してあるのをみれば、なにか旧蔵者だった漢詩人の先生から本たちの行方を託された気分になりました。

 写本『周南峰詩鈔(明治〜昭和29年)』ほか5冊
 著者は鈴木文齋、本名平右衛門、日露戦役に従軍した羽後長野の漢詩人。昭和19年に68歳とあるので明治8年頃のお生まれでせうか。昭和33年1月には翁をしのぶ遺墨展が地元中仙町の公民館で行はれてゐます。当時「御蘭吟社」「八乙女吟社」といふ漢詩・和歌の結社があった模様です。

『周南峰詩鈔』序文「本篇は作者少年時代よりの原作其の侭蒐集する者也。故に無秩序又無方法、随ひて背韻と誤調を免れず。後賢、宜しく斧正を請ふ也。 文齋誌す」(原漢文)

 吊江幡澹園翁 江幡澹園翁を弔す
東北詞壇赤幟移 東北の詞壇、赤幟(盟主の意)移る
堪聞落日梟鳴時 聞くに堪へん、落日、梟(ふくろう)鳴く時
一生才筆揚奇韻 一生の才筆、奇韻を揚げ
百世文潮立供基 百世の文潮、供に基を立つ
桃李盈門衣鉢在 桃李、門に盈ちて衣鉢在れども
風花無跡訓言垂 風花、跡無く訓言垂る
由来木鐸何者振 由来、木鐸、何者か振る
寂寞西山雲一枝 寂寞たり、西山の雲一枝

 頭評は総て明治時代の秋田の漢詩人によるものでした。名と検索結果を記します。
江幡澹園(運蔵、大館市の人『秋田歌集』編者『盍簪余事』著者)、狩野旭峰(大館市1832−1925『旭峰詩鈔』あり)、田口羽山、高橋午山(軍平『征露鐃歌』著者、児玉市隠、伊藤耕餘(直純『金沢史叢』『我観後三年役』著者、藤川豊城、六大山人、六五山人(『仙北郡案内』著者)、小野田半畝、高橋半山、金丸錦村、佐藤弘堂、飯村稷山(粋『佐藤信淵翁傳』著者)・・・。

 活字になることなく遺棄されたこれら草稿の類ひは、ふたたび地元に寄贈できたらと検討中です。

【追伸】無事大仙市役所大仙市教育委員会文化財保護課が寄贈を受け付けて下さりました。といふより町史に写真付きで紹介されてゐた貴重なものだった由、危機一髪で歴史的な地域文献が散逸するところだったのでありました。関係者はすでに上京、おそらく分からずに古本と一緒に処分してしまはれたのでせう。(2010.1.12追加)

 さて年末は自宅に逼塞することが決定、扶桑書房さん主宰の第3回「一人展」にもゆけず、安物買ひもボーナスで赤字になるかも、といふオチを控へて戦々兢々の日々。まさに薄氷を履むが如き暖冬とデフレの師走であります。

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