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昭和初期抒情詩と江戸時代漢詩のための掲示板

118やす:2006/03/11(土) 02:00:36
『水彩画を描いたサムライ』
 昨日は職場に一冊の画集が寄贈されました。
 なかに私の故郷岐阜市長良より高富街道の建物ごしに仰いだ百々ヶ峰[どどがみね]と思しき一枚があって、興味深く拝見。 本の題名は『矢野倫真水彩画集 : 水彩画を描いたサムライ』といふ79p:30cmの、図録様の装幀であります。
 作者の矢野倫真(やのりんしん1864-1943)は、抒情味あふれるこれらの水彩風景画が近年遺族の手で偶然発見され、今回出版の運びにまで至ったといふ明治大正期に活躍した画人でありますが、拙ホームページ管理人としましては、同じく旧制岐阜中学(現岐阜高等学校)の先生で、偶々着任したこの土地に根ざして己のライフワークを大成させた、郷土詩人の第一人者殿岡辰雄のことを真っ先に思ひ起こさせました。尤も殿岡辰雄はバンカラ学生達から「マメさん」と慕はれた土佐生れの英語教師でしたが、加賀藩士の血を引く幕末金沢生れのこの図画の先生はまた、学校で唯ひとり綽名で辱められなかった薀藉の風格の持主であったといふことです。明治画壇の潮流が水彩から油彩へ移っていったとき、時好を追はずに出発点の南画に回帰し、教育者としての本分に安んずることを選んだ生き方にも、明治びとらしい処世のいさぎよさは偲ばれて、「水彩画を描いたサムライ」と副題にはありますが、むしろ富岡鉄斎同様、ゆかしき儒者の風韻を感じてなりません。

『矢野倫真水彩画集 : 水彩画を描いたサムライ』2005.8刊行 \2740(送料とも)
購入は倫真の水彩画を伝える会(〒921-8152石川県金沢市高尾2-1-1早瀬氏)へ。以上勝手に宣伝まで。


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