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ネオリベラリスティックな衝動に抗して(ミーガン法 Part 4)
以前からここのサイトではいわゆる「ミーガン法」について反対論というか慎重論の立場から様々な資料を紹介してきたのだが、先日奈良で起きた小学一年生誘拐殺害事件http://www.asahi.com/special/041215/index.htmlに関連して容疑者が昨日逮捕され、その容疑者が過去にも女児に対する強制わいせつ容疑で逮捕された経歴のある人物であると判明したことで、過去に子どもへの性犯罪を犯した人の再犯を防止するための対策が社会的に議論されるのは避けられない情勢になった。なんばりょうすけ氏による大手新聞各社の社説のまとめhttp://d.hatena.ne.jp/rna/20041231#p1を見ても分かる通り、ミーガン法に類するものを要求する世論が強まるのは確実。ところがいくらミーガン法に問題が多いとはいえ、「現状のまま何もしない」という主張では、「子どもを守れ」という口実で吹き上がるネオリベラリスティックな衝動に対抗できるはずもない。ではどうやって対抗するか。
以前出した米民間団体 National Center on Institutions and Alternatives http://66.165.94.98/stories/comnotset1196.htmlの 1996 年の調査によると性犯罪の再犯率は13%弱で、他の犯罪と比べるとむしろ低い方だという。この数字をある人に紹介したところ、いや問題となっているのは「子どもに対する」性暴力の再犯率なんだという反論があったのでそちらも調べてみると、自分の子どもに対する性虐待で逮捕された人の再犯率は5%前後、対してそれ以外の子どもに対する性虐待で逮捕された人の再犯率は16%という研究が見つかった (Greenberg D, Bradford J et al. 2000. “Recidivism of child molesters: a study of victim relationship with the perpetrator.” Child Abuse And Neglect. 24(11):1485-94.)。この数字が絶対だとは思わないが、テレビのコメンテータが無根拠に言うほど再犯率が高くはないと分かると思う。