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「性犯罪者の再犯率」という嘘

1・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 14:44:27
「性犯罪者の再犯率」という虚偽アナウンスと「ミーガン法」@警察利権
および、それと戦った、尊敬すべき人々

2・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 14:45:34
http://macska.org/article/121#comments
開設1周年を迎える「ミーガン法のまとめ」サイトの懺悔
今年〔2005年〕ももうほとんど終わり。去年のこの時期に起きた事件と言えば奈良の少女誘拐殺害事件だけれど、その後も幼い子どもたちに対する性暴力や殺害といった犯罪が繰り返し大きく報道された一年だった。1月に奈良の事件で容疑者として過去にも子どもの性的搾取で逮捕された経歴のある男性が特定されると、「子どもたちを守るため」という口実でミーガン法をはじめとしたネオリベラリスティックな社会政策を求める世論が沸騰する恐れを感じたので、それに対抗するために数日のうちに「ミーガン法のまとめ @ macska dot org」http://macska.org/meg/というサイトを作り上げてミーガン法を導入すべきでない客観的な根拠を挙げた。
ところでわたしは、当時どうすれば一番ミーガン法への要求を逸らすことができるかと考えて戦略的にあの「まとめ」を作り上げたのだけれど、そうして出来上がったサイトの内容は決してわたしが満足できるものでもなければ、わたしが本当に主張したいことでもなかった。ある意味ネット世論に影響を与えることを優先して、自分の本来の主張を取り下げたようなものだ。あの時は確かにそういう戦略が必要とされていたと思うけれど、「まとめ」設置一周年を前にしてやっぱり一度本当のコトを言っておきたいと思って、懺悔することにした。と同時に、常々「政治的行動には目的とそれを実現するための戦略が必要」と言い、戦略を欠き自己満足に陥った運動体を批判してきたわたしが、じゃあ実際にどのように目的を設定して戦略を立てるのかという舞台裏を見せることにもなると思う。
奈良の事件で容疑者が逮捕されたときわたしが真っ先に考えたことは2つある。1つは前述したとおり「これでミーガン法を求める世論が沸騰するぞ」だけれど、もう1つ考えたのは「またメディアでオタクバッシングがはじまるな」ということだ。さすがに「フィギュア萌え族」なんていう変な言葉が出てくることは想定外だったけどね。でも残念ながら、わたしには世論やメディアに直接訴えかけて何らかの影響を及ぼすような力はない。わたしが影響を及ぼせるとしたらネット世論を経由して既存メディアのチェックを果たすことだと思い直し、それを目標と定める。

3・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 14:45:52
http://macska.org/article/121#comments
ではネット世論をどうやって動かすか? バッシングを受けて反発するはずのオタクたちが、メディアに反撃できるような強力な武器を与えれば良い。ネットでオタクが(それ以外もだけど)集まるコミュニケーション空間と言えば2ちゃんねる、そして2ちゃんねるで一番強いのはソースがしっかりした情報。あそこは良くも悪くも足の引っ張り合い・梯子の外し合いが作法だから、誰かが「性犯罪者を監視しろ」みたいな意見を出したらすぐに足を引っ張って引きずり降ろせるくらい強力な情報を提供するのが有効だ。
じゃあ2ちゃんねるにわたしがそういう情報を書き込めばいいのか。いや、それじゃたくさんいる人のうちの一人としての影響力しか持てない。多くの人たちにわたしが提供する情報を使ってもらうためには、まとめサイトがいい。一部で「まとめサイト脳」http://d.hatena.ne.jp/kanose/20050914/matomeという言葉があるように(当時はなかったと思うけど)、「まとめサイト」に書かれている情報を検証せずに鵜呑みにする人が多いのは問題ではないかという懸念も聞くけれど、この際利用しない手はない。通常なら相当議論を重ねてスレッドがいくつか続くような重要な問題でなければ「まとめサイト」が作られることはない(だから、まとめサイトが作られることは普通はその話題がネットでかなり関心を持たれていることを示す)のだけれど、議論が煮詰まらないうちに一気に作ってしまうことで実際より重要な問題であるような錯覚を起こそうと思った。別にすべてがわたしの手柄というわけじゃないけれど(他にもミーガン法的なモノに反対を呼びかけていた人はたくさんいた)、その後の2ちゃんねるやブログでの議論はわたしが願っていたような方向に推移したように思う。
わたしが提供した情報の内容は、米国のさまざまな調査によって分かったミーガン法の現実について。「ミーガン法には再犯を減らす効果は認められない!」「ミーガン法のせいで無関係の市民がこんなに迷惑している!」といった資料を大量に提示することで、もともとミーガン法に不安を感じていた人だけでなく「再犯を防ぐためにはミーガン法の導入は必要なのではないか」と思っていた人にもアピールできたのではないかと思う。けれども、これらはわたしがミーガン法に反対する本当の理由ではないのね。
だって、「ミーガン法は効果がないから反対」と言うのであれば、効果があれば賛成ということになってしまう。「第三者にとばっちりが行くから反対」というのも、じゃあとばっちりが行かなければ賛成なのね、ということになる。そういう立場の人だっているだろうけれど、わたしはそうじゃないのよ。奈良の事件のような特殊なケースについて大騒ぎすることでより一般的な子どもの虐待を無くすために必要な対策が取られなくことがまず問題だし、そうでなくても社会の中の異物を排除もしくは監視することで偽りの「安心」を求めるようなやり方がわたしは嫌いなんだ。子どもの虐待や性暴力の加害者は決して「わたしたち」と何の繋がりも持たないような別の種族ではないし、そもそも加害者で一番多いのは孤独な異常性愛者なんかじゃなくて肉親やその他の親しい人が一番多い。程度の差こそあれ「わたしたち」一人一人がちょっと違った条件を与えられていたら加害者だったかもしれないという想像力をはたらかせた上で、小児性愛者や前科を持つ人たちを含めた「わたしたち」がどうやってお互い侵害し合わないように共存できる社会を作るかという方向に議論を進めたいとわたしは思っている。

4・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 14:47:16
http://macska.org/article/121#comments
わたしがロリコンメディアの規制に反対なのも、それが他者との共生に必要な最低限の条件だと思うから。ロリコンメディアがあれば子どもへ向かう性欲が「ガス抜き」されて犯罪が減るといった単純な図式は信じていないけれど、かといってそれらを取り上げれば犯罪が減るという話でもないと思う。世の中には子どもに性的関心を持つ人が一定数いるのだから、かれらが虚構で遊ぶことを通して現実社会と折り合いをつけながら生きることを選択してくれるような条件を整備しなくちゃいけない。そのためには、かれらが現実感を失っておかしな行動を取らないような支援体制(non-judgmental なコミュニケーションチャンネル及び相談窓口など)を整備するとともに、かれらが現実の子どもを傷つけない形でメディアを使って遊ぶことは妨げてはいけないと思う。前者は現実を生きるスキル、後者はその動機を供給しようということね。かれらからロリコンメディアを取り上げてしまうと、「わたしたち」はかれらに現実社会との共生を呼びかける根拠を失うとわたしは心配しているの。
でも、そういった話をブログで書いたhttp://macska.org/article/62途端に「そもそも性犯罪に限らず、凶悪犯は社会復帰させるべきではないと思うので、釈放後に監視するよりも刑期を長期化して刑務所に入れておくほうがいいと思う」というトラックバックを受け取ったことに象徴的だけど、「そういう想像力が大事なのは同意するけれど、リベラリズムに共鳴しない人は納得しないし、納得したとしても現実の利害や素朴な道徳感情には逆らえないのではないか」、要するに「それはリベラリストの戯れ言だよ」みたいなことをなんばりょうすけさんhttp://d.hatena.ne.jp/rna/20050102#p3に言われてしまった。そして、それはもちろんその通りなのよ。それでも当時わたしは「もっと通じる形でリベラリズム的な理念を語る努力をすべきだ」とは答えたのだけれどhttp://macska.org/article/66、それはこの先長期的にという話であって、現実に目の前に迫っているミーガン法的なものを求める世論の沸騰には対処できない。
それでわたしは、本意ではないのだけれど「ミーガン法のまとめ」では緊急避難的に「ミーガン法は有効ではない」「こんなに弊害がある」といった部分に重点を置いたまとめ方をしたし、それはあの時点で間違ったことではないと思う。内容は事実だし、自説に都合のいい研究だけを取り上げたつもりもない。でも、「緊急避難的に」という言い訳でいくらでも原理原則を曲げることが許されるのであれば、それはスケールの違いこそあれ「子どもを守るため」「テロを防ぐため」といった口実で憲法における人権憲章的な原則を曲げてミーガン法や「愛国者法」みたいな法律を通すことと同じではないか、という疑念は残る。わたしが今回「ミーガン法のまとめ」サイト1周年を前にしてこうした懺悔記事を書いているのは、自分が取った行動や戦略をミーガン法的なものと区別するためには事後であっても説明責任を果たすことが必要だと思ったからだ。〔略〕

5・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 14:56:32
http://d.hatena.ne.jp/rna/20050104#p2
■[再犯率][社会] 性犯罪者の再犯率
どうも既に TV などで怪しげな数字が流布しているそうで。僕自身は未確認ですが id:deadletter さんのタレコミ(id:rna:20041231#c http://d.hatena.ne.jp/rna/20041231#c)によると、TBSの「サンデーモーニング」で、「再犯率41% (警察庁調べ)」という数字が出ていたそうです。deadletter さんがTBSに確認したところ、
http://www.npa.go.jp/toukei/keiji19/H15_04_6.pdf
の「43 業種別初犯者・再犯者別」という表の「公然わいせつ」の総数 1,456 人に対して再犯者 611 人というのが根拠だそうです。なぜ公然わいせつ? と思いましたが計算すると 41.96% で合わないので、たぶん「強制わいせつ」(総数 2,273 人に対して再犯者 935 人 )の間違いだと思います。こちらだと 41.14% になります。が、それ以前に、、、これって(特定の年の)「再犯者率」であって「再犯率」ではないです。
「再犯率」は、処分された犯罪者のうち一定期間内に(あるいは死ぬまでに)また犯罪を犯す者の割合です。それに対して「再犯者率」はある年に処分された犯罪者のうち再犯者が占める割合です*1。一般に「再犯率」は「再犯者率」とは一致しません。「再犯者率」が同じでも「再犯率」は(理屈の上では) 0% 〜 100% まで幅がありえます。
たとえば今年処分された犯罪者は A さんと B さんの二人だったとします。A さんは再犯で、B さんは初犯です。この年の「再犯者率」は 50% です。翌年には A さんと C さんが処分されました。A さんは当然再犯、C さんは初犯。この年も「再犯者率」は 50% です。こんな感じで毎年 A さん + 別の初犯の人が処分される、というのが 10 年続くとすると、「再犯者率」は毎年 50% ですが、「再犯率」は約 9% になります。
また、二年目で B さん(再犯)と C さん(初犯)が処分され、三年目は C さん(再犯)と D さん(初犯)、四年目は D さん(再犯)と E さん(初犯)…というパターンで再犯者は全員前科一犯になっているとすると、「再犯者率」は同じく毎年 50% ですが、10年目の時点での「再犯率」は約 91% ということになります。
どちらも極端な仮定ですが、一般に「再犯者率」からは「再犯率」(あるいはある犯罪の再犯性が高い/低いといった情報)は全くわからないという点はご理解頂けるかと。*2

6・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 14:57:06
http://d.hatena.ne.jp/rna/20050104#p2
「再犯率」に近い数字として犯罪白書には保護観察が終了した者のうち保護観察期間中に再犯を犯して処分された者の割合に触れている部分があります。手元の平成14年版だと、上位に来るのは、仮出獄者で放火(3.3%)、殺人(1.8%)、強盗(1.8%)の順、保護観察付き執行猶予者では詐欺(43.9%)、恐喝(41.0%)、窃盗(41.0%)、覚醒剤取締法違反(37.8%)の順で、性犯罪は出てきません(p139-140)。ただし、仮釈放や執行猶予の割合が罪種によって違いますし、期間満了で出獄した人が含まれませんし、保護観察期間の9割は1年以内で短すぎるし、ということでこれもいまいち頼りない数字です。
そんなわけでやっぱり「再犯率」はよくわからんわけです。たぶん特に高くはないんだと思いますが。とはいえ、「性犯罪」という大雑把な括りではなく、プロファイルを絞りこめば高い再犯率というのはあるのかもしれませんが(僕はあるんじゃないかと思っているけど)、そういう統計も日本では見かけないわけで。。。

追記: TBS およびテレ朝の出した数字について deadletter さんがまとめています。
http://deadletter.hmc5.com/blog/archives/000085.html

*2:とはいえ何か理論的に妥当な仮定をすれば「再犯者率」と「再犯率」が一致するということがあるのかもしれません。仮にそうだとして「再犯者率=41%」というのが高いのか低いのか? 同じ表で同様に他の犯罪の「再犯者率」を計算してみると、殺人が約 50%、強盗が約 45%、放火が約 45%、強姦が約 50%、凶器準備集合が約 57%、暴行が約 46%、傷害が約 50%、脅迫が約 61%、侵入盗が約 57%、乗り物盗が約 33%、非侵入盗が約 34%、詐欺が約 55%、横領が約 35%、、、というふうに 41% が特別な数字とはとても思えないわけで。。。

7・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:04:30
http://umetarou.sakura.ne.jp/diary/?date=20050102
2005-01-02 [J] 再犯者率
■ [社会][犯罪] 性犯罪検挙者の再犯者率
何ですか、この記事は?

〔以下引用〕
■繰り返された性犯罪、不十分な抑止対策
(略)
警察庁によると、強姦(ごうかん)と強制わいせつで検挙された容疑者のうち、何らかの前歴を持つ者の割合(再犯率)はここ数年、50%を超え、30%台後半にとどまっている他の刑法犯とは大きな開きがある。
[2004年12月31日付 読売新聞より引用]

んー……そもそも、記事にある「強姦(ごうかん)と強制わいせつで検挙された容疑者のうち、何らかの前歴を持つ者の割合」は、再犯者率であって再犯率ではないし。
でもって、「刑法犯、特別法犯(道路交通法違反を除く)全検挙者のうち、何らかの前科又は前歴を持つ者の割合(再犯者率)」は、重要犯罪では押しなべて高く(平成15年は53.4%)、強姦(同49.6%)と強制わいせつ(同41.1%)のみが高い訳ではないし。[参考1]※2
さらに、記事のデータは「何らかの前歴を持つ者の割合」であり、「同一罪種の前歴を持つ者の割合」ではないので「性犯罪者が性犯罪を繰り返している根拠」には、到底なりえないでしょう。
ちなみに、同一罪種の再犯者率が、飛びぬけて高いのは覚せい剤取締法違反(平成13年は51.2%)であり、他は詐欺(同21.8%)、傷害(同21.3%)、恐喝(同19.4%)、窃盗(同18.6%、侵入犯に限定すると更に高くなる)等が比較的高く、性犯罪の同一罪種の再犯者率(同強姦9.0%、強制わいせつ10.4%)は、決して高くないんだよね。[参考2]
データ見ないで記事を書いているのか、それともワザと煽っているのか……? 何にしろ、萎え萎えでち。

参考1 http://www.npa.go.jp/toukei/keiji19/H15_04_6.pdf
参考2 http://hakusyo1.moj.go.jp/nss/list_body?NSS_BKID=43&NSS_POS=52
※1平成13年のデータでは、更に低い再犯者率となるが、あえて高い数値である平成15年の数値を使いました。

8・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:04:52
http://umetarou.sakura.ne.jp/diary/?date=20050102
■ [社会][犯罪] 追記(2005/1/4)
TBSサンデーモーニング、東京新聞の「再犯率4割」「再犯率41%」という数字について報道された「再犯率41%」と言う数字は、警察庁統計資料「平成15年の犯罪」の「43 業種別初犯者・再犯者別」という表のデータが、「公然わいせつ」の総数「1,456」に対して、再犯者が「611」だった※2、事から導き出したものだと思われます。
しかし、そのデータから得られる数値は、あくまでも検挙者に再犯者が占める割合を表す「再犯者率」であり、前科のあるものが再び犯罪を犯す確率を表す「再犯率」とは意味が異なります。

※2『「強制わいせつ」(総数 2,273 人に対して再犯者 935 人 )の間違いではないか?』と言う意見もあります。(1/5 追記)

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
_ suさん (2005-01-04 [J] 16:08)
TB並びにコメント感謝です.冷静に判断されていますね.数値(統計)は,利用するものが勝手に良いとこ取りをしますので,確かに意図的なものがないとは言えませんね.TVや新聞などの報道からですと厳密な定義や,サンプル採取などの状況が分かりませんので,イメージが造り上げられる危険性がありますね.データの出典や根拠がわかり感謝すると共に反省しています.

_ うめたろー (2005-01-05 [J] 09:45)
>SUさん
コメントありがとうございます。
昨日くらいから、幾つかのBLOGで同様の指摘がなされる様になってきてますよね。

9・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:05:07
http://umetarou.sakura.ne.jp/diary/?date=20050104
2005-01-04 [J]
■ [社会][犯罪] メーガン(ミーガン)法?
読売新聞の記事に引き続き、TBSサンデーモーニングや東京新聞も間違った情報を垂れ流してたので、2日の日記に書いた文章を修正して、各社に抗議のメールとか送ってみたり。
なんか今回の事件は、表現規制よりもむしろメーガン(ミーガン)法の導入に発展しそうな勢いで、かなりイヤンな感じですね。

本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]
_ 克森 淳 (2005-01-05 [J] 15:12)
 CSのJNNニュースバードで、ミーガン法について見ますた。
 正直、戸籍法があるニッポンでは「犯歴込みの個人情報」のヤミ市場創出にしかならないと感じました。

_ うめたろー (2005-01-06 [J] 01:10)
そもそも、ミーガン法を導入している国と日本では性犯罪関係の絶対数が違いすぎますしね。

10・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:05:23
http://umetarou.sakura.ne.jp/diary/?date=20050105#p04
2005-01-05 [J] 再犯者率その2
■ [社会][犯罪] 平成15年の同一罪種の再犯者率
罪種名 同一罪種の再犯者率(%) (再犯者数/検挙者数)
刑法犯全体 13.7% (32,200/235,198)
殺人 3.8% (52/1,363)
強盗 6.7% (197/2,927)
強盗殺人 4.7% (4/85)
傷害 20.6% (4,297/20,889)
傷害致死 4.3% (9/207)
暴行 12.5% (1,050/8,410)
脅迫 10.2% (136/1,330)
恐喝 20.1% (896/4,466)
窃盗犯 18.6% (20,414/109,891)
詐欺 19.8% (1,882/9,522)
横領 4.0% (43/1,072)
強姦 8.9% (98/1,100)
強制わいせつ 11.5% (224/1,942)
放火 5.7% (43/760)
器物損壊 8.3% (331/3,968)
住居侵入 12.9% (366/2,842)
強姦+強制わいせつ 10.6%(322/3,052)
ソース元:http://www.npa.go.jp/toukei/keiji19/H15_04_6.pdf

■ [日常] ↑
どんな、日記やねん。

11・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:05:38
http://umetarou.sakura.ne.jp/diary/?date=20050105#p04
■ [社会][犯罪] お姉さん対決
さっき、TV朝日のワイドスクランブルで、『性犯罪者の再犯率が50%超』とか言ってたので、「数字の根拠は何ですか?」と電話で質問したら、お客様係のお姉さんが「警察発表です」との返答。
こちらも「警察にはそう言うデータは無いが、もしかして言葉の定義を間違っていないか?」とデータを示しておかしい事を説明すると、お姉さんに「警察発表をそのまま報道しているだけなので分かりません」と切り返される。
少し、気が遠くなりつつも「それは、報道の在り方としてどうなんですか?」と聞くと、「警察発表を信じなくて、何を信じればいいんですか?!」と、逆ギレされる始末。
え〜……『警察発表』だったら例え間違いがあっても垂れ流しでOKですか? それが、テレビ朝日の報道のあり方なのですか? つか、その前にお客様係のお姉さんがそんな態度でええんかいな……等とモヤモヤしつつも警察庁の広報課に確認の電話をしてみることに。
そうしたら、開口一番、警察庁の広報課のお姉さんに「昨日の方ですか?」と聞かれますた。どうも昨日も同じような電話があったみたい(コチラのサイトのTさんの事でしょうか。しかし、TV朝日の対応まったく同じだな……)。
で、お姉さんのお話を聞いてみると、やはり「性犯罪者の再犯率が50%超えると言うデータは、警察庁の方では出していない」との事。
さらに「平成15年の再犯者率のデータで計算しても50%に届かないので、何故そういう数値が出たのかも分からない」とも。
なおかつ、「読売新聞の12月31日の記事に、『警察庁によると、強姦(ごうかん)と強制わいせつで検挙された容疑者のうち、何らかの前歴を持つ者の割合(再犯率)はここ数年、50%を超え』と言う記事があるが、少なくとも警察庁としてはそう言う発表をしていない。読売新聞の言う『ここ数年』がどの位の期間を指しているか分からない。もしかすると、TV朝日さんはソレを使ったのかも……」と。
警察庁の広報課のお姉さんの声が優しかったからと言って、全部鵜呑みにするのはイカンかもしれないが、説得力の上で、TV朝日のお客様係の100倍は勝っていた事は確かです。
それに、警察庁の広報課のお姉さんが、真実を知らされていなかったとか、嘘をついたと仮定しても、『データをチェックせずに、問題のあるデータを垂れ流して、あまつさえ開き直るTV朝日の態度』がアレなのは言うまでもないのですが。
疲れきったので、TV朝日には電話しませんでした。なんかまた逆ギレされそうだし。
(電話の会話の内容は、大体の雰囲気です)

12・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:05:53
http://umetarou.sakura.ne.jp/diary/?date=20050106
2005-01-06 [J] 再犯者率その3
■ [社会][犯罪] 先日のフジTVの夕方のニュースでも
「警察庁によると、強姦(ごうかん)と強制わいせつで検挙された容疑者のうち、何らかの前歴を持つ者の割合はここ数年、50%を超え、30%台後半にとどまっている他の刑法犯とは大きな開きがある」とか言ってたから、懲りずにまた苦情TELしてみたり。
フジのソースは「平成15年のデータではないが、その前の警察庁の犯罪統計書から作成したそうです」との事でした。テレビ朝日と違って、ちゃんと番組のスタッフから更に担当の者に取り次いで頂き、丁寧に答えてくれますた。
……それは良かったのですが、疲れていたせいで肝心の「何年のデータで作成したか?」と言う事を聞き忘れる大ポカをやってしまったり。
でもまぁ取り敢えず、「再犯者率(又は再犯率)のデータを用いて『性犯罪者が性犯罪を繰り返す』と言う報道をする際は、同一罪種の再犯者率(又は再犯率)のデータを用いてください」というお願いをしたのでそれだけは良かったかな?
丁寧に答えて頂いたフジTVのスタッフの方、及び、警察庁の広報担当の方に、心よりお礼申し上げます。
はふー

13・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:13:25
http://deadletter.hmc5.com/blog/archives/000085.html
January 04, 2005 性犯罪者の再犯率? [ Thinking]
なんばさんのBlog「児童小銃」から奈良幼児殺害事件関連のEntryhttp://d.hatena.ne.jp/rna/20041231や「macska dot org」のEntry http://macska.org/index.php?p=62を読ませて頂き、勉強になることしきり。で、僕もなんばさんのところにコメントさせていただいたりhttp://d.hatena.ne.jp/rna/20041231#cしてるわけだけど、それにしてもマスコミの出す数字はいいかげんだ。
僕が見たところでは、1月2日付「関口宏のサンデーモーニング」で「性犯罪者の再犯率約41%(警察庁調べ)」という数字を出していた。上記のEntryを読んだばかりだったので、ちょっと高すぎはしないかと思い、念の為TBS視聴者センターに確認することにした。質問は「この41%の元になった資料は何か」というもの。担当者の人によると警察庁のHPの平成15年度の統計データ(pdfファイル)http://www.npa.go.jp/toukei/keiji19/H15_04_6.pdfから算出したものだという。具体的には表43「罪種別 初犯者・再犯者別」の「公然わいせつ」の欄の「総数1,456」の内「再犯者611」から出したそうだ。
ただこの「再犯者」は、なんばさんのところでの僕のコメントに続いて「通ほりすがり」さんが分析してくれているように、性犯罪以外の前科も全て一緒くたにした数なので、「過去に性犯罪に手を染めた人間は、再び性犯罪を犯しがちだ」という文脈でこの数字を用いるのは極めて不適当だと思う。実際、番組で「41%」の数字は、過去に性犯罪を犯した者を監視するミーガン法を意識した内容のフリップに書かれていたんだから。
ちなみに同じpdfファイルの表44「罪種別 前科者数別」のところで、前科者総数から「同一罪種前科なし」、つまり「前科はあるけどそれは性犯罪関連ではない」の数を引いた数字で計算すると、「公然わいせつ」では約16%、「わいせつ」全体で見ると約12%となり、これは他の犯罪と比べても決して高いとは言えない。このことについては一応、質問状としてメールを番組宛てに送っておいた(反応がくるかどうかは良く分からないけど)。

14・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:13:51
http://deadletter.hmc5.com/blog/archives/000085.html
ただ、「サンデーモーニング」はまだマシ。ほんとうに酷いところがあった。僕のこの話を聞いていた知り合い(仮にT君としておきます)が、先ほどテレビ朝日の「ワイドスクランブル」を見ていたところ「再犯率50%強」という数字を挙げていたらしいのだ。ギョッとして彼もテレビ朝日に問い合わせたんだけど、その返事がまたふるっている。「これは警察庁から発表があった数字で、疑問があったら警察庁に問い合わせてくれ」だったそうだ。
T君も「あやふやな数字が一人歩きするのはまずいと思わないのか。せめて分母が何で分子は何かぐらいは調べないのか」と食い下がるも、番組側は「警察庁の発表をそのまま報道しただけだから分からない」の一点張り。挙句の果てには「発表を鵜呑みにして何が悪い」とでも言わんばかりの勢いだったそうだ。それを「ジャーナリズムの自殺」と言うのではないですか?テレビ朝日さん。
さすがにカチンときたT君が、警察庁に「本当にそういう発表が(このpdfファイル以外に)あったのか」と問い合わせをした結果、「(このpdfファイル以外)数字は出していないので(テレビ朝日が)独自に計算されたのではないですか?」(警察庁広報課)とのこと。なんだ、話が違うじゃないか。
で、T君、再び「警察庁は知らないと言ってますけど」とテレビ朝日に電話したところ、今度はもう支離滅裂。「あーそうですか、でもこちらとしてはわかりません」、「番組の中身についてはお答えできません(さっきは警察庁発表がソースだって一応答えてたのに、テレビ朝日では数分の内に規則が変わるらしい)」、「今度からちゃんとその点について掘り下げた番組を作るようにします(いや、数字の根拠は何?って当たり前のこと聞いてるだけなんだけど…要するに根拠レスってことですか)」、「(逆ギレ気味に)こういうことに興味があるんですか?(あなた方も興味があるから数字に注目して報道したんでしょうに)」といった感じで、話にならなかったそうだ(T君は完全に頭にきた様で、「BPO(放送倫理・番組向上機構)」に抗議したところ、この件はきちんと報告書にまとめてテレビ朝日に伝えるとのことだったそうです)。
煽る側にいる人たちの中にこういう人間がいるということだけは強く自覚しておきたい。
というわけで、明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしく。

(追記1)
漫画家山咲梅太郎さんのBlogよりトラックバックをもらったhttp://umetarou.sakura.ne.jp/diary/?date=20050105#p04んだけど、強烈な既視感(既聴感?)に襲われました。T君と全く同じ対応を受けてます。言い訳もそっくり。
 > 疲れきったので、TV朝日には電話しませんでした。なんかまた逆ギレされそうだし。
ええ、逆ギレされるでしょうね、確実に。

15・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:22:36
http://macska.org/index.php?p=62
ネオリベラリスティックな衝動に抗して(ミーガン法 Part 4)
以前からここのサイトではいわゆる「ミーガン法」について反対論というか慎重論の立場から様々な資料を紹介してきたのだが、先日奈良で起きた小学一年生誘拐殺害事件http://www.asahi.com/special/041215/index.htmlに関連して容疑者が昨日逮捕され、その容疑者が過去にも女児に対する強制わいせつ容疑で逮捕された経歴のある人物であると判明したことで、過去に子どもへの性犯罪を犯した人の再犯を防止するための対策が社会的に議論されるのは避けられない情勢になった。なんばりょうすけ氏による大手新聞各社の社説のまとめhttp://d.hatena.ne.jp/rna/20041231#p1を見ても分かる通り、ミーガン法に類するものを要求する世論が強まるのは確実。ところがいくらミーガン法に問題が多いとはいえ、「現状のまま何もしない」という主張では、「子どもを守れ」という口実で吹き上がるネオリベラリスティックな衝動に対抗できるはずもない。ではどうやって対抗するか。

対抗戦略の1つ目は、再犯対策の目的が何であるかという問題設定でイニシアティヴを握ることだ。ミーガン法であれ何であれ、その目的は前科者をいたずらに罰したり苦しめたりすることであってはならない。なぜなら、罰は罰金刑なり禁固刑なりで与えるものであり、もし現行制度では罰が軽過ぎるというのであれば重罰化の議論をするべきであって、ミーガン法の議論とは関係ないのだから。ミーガン法的な施策が容認されるとすれば、その目的は「コミュニティが前科者を受け入れ、社会復帰を支援するうえで、最低限必要なコミュニティの安全を守るため」すなわち「コミュニティが前科者と共生するため」でなければいけないはずだ。具体的な施策の是非を論じる前に、施策の目的が前科者の排除や懲罰ではなく「コミュニティと前科者の共生」であるという大きな前提をミーガン法推進論者にも合意してもらおう。それ以外の目的は別の施策でお願いというコト。

16・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:22:55
http://macska.org/index.php?p=62
戦略の2つ目は、ミーガン法の仕組みを細かい部品に分解することだ。大きく別けても、ミーガン法には性犯罪前科者に関する「情報を集めること」(前科者に登録を義務づける)と、その集められた情報を「一般に告知すること」があり、「告知」と一言で言っても政府が積極的にコミュニティに告知を行うものと、知りたい人が政府に聞けば答えてもらえるという受動的なものがありうる。積極的告知の中には、前科者が引っ越す前に警察官が地域にビラを撒くという直接的なものや、学校や医療機関といった特別な公的施設にだけ伝えるというものがあるし、受動的告知には特定の人物について聞けば前科者かどうか答えてくれるものや、地域名をウェブサイトで入力するだけで前科者のリストが全部手に入るものまである。

米国の前例で見ると、前科者の個人情報を一般に告知することは、前科者やその家族に対する暴力や雇用・就職差別に繋がることが明らかであり、本来の目的である「コミュニティと前科者の共生」に大きく反することがわかっている。でも、公開前科者のうち再犯の危険があると判断された人たちに住所の登録を義務づける程度なら、その情報が厳重に管理される限り大きな問題にはならないだろう。登録された前科者は全国どこにいても再犯しないためのカウンセリングや相談を受けられるような仕組みにしておけば登録された人にとってもメリットがあるし、小中学校や医療機関など日常的に職員が他の大人の視線を受けずに子どもと接するような職場に限って、求職者が性犯罪前科者であるかどうかチェックできるようにするというようにも利用できる。最悪の場合、事件が起きたあとの捜査にも役に立つだろう。そう考えると、前科者に住所の登録を義務づけるまでであれば容認できないこともない。多少の問題は残るが、「ミーガン法丸ごと反対」ではなく「一般告知に反対」という形であればより賛同を得られるかもしれない。

17・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:23:10
http://macska.org/index.php?p=62
3つ目の戦略は、当たり前すぎて明言するのもアホらしいけれども、ウソや誇張を徹底的に排し、事実を元に施策の「有効性」そして「対費用効果」を議論するよう仕向けることだ。例えば、ほかの犯罪に比べて性犯罪の再犯率が特に高いという主張が再三なされるけれど、それを示すこれといったデータはどこにもない。米国での数字として「他の犯罪の10.5倍」とか「40%にも及ぶ」と言う連中がいるけれど、もしこれらの数値が正しければ論理的に言って他の犯罪の再犯率は3.8%という脅威の低さとなってしまう。話にならない。

以前出した米民間団体 National Center on Institutions and Alternatives http://66.165.94.98/stories/comnotset1196.htmlの 1996 年の調査によると性犯罪の再犯率は13%弱で、他の犯罪と比べるとむしろ低い方だという。この数字をある人に紹介したところ、いや問題となっているのは「子どもに対する」性暴力の再犯率なんだという反論があったのでそちらも調べてみると、自分の子どもに対する性虐待で逮捕された人の再犯率は5%前後、対してそれ以外の子どもに対する性虐待で逮捕された人の再犯率は16%という研究が見つかった (Greenberg D, Bradford J et al. 2000. “Recidivism of child molesters: a study of victim relationship with the perpetrator.” Child Abuse And Neglect. 24(11):1485-94.)。この数字が絶対だとは思わないが、テレビのコメンテータが無根拠に言うほど再犯率が高くはないと分かると思う。

コミュニティ告知自体の有効性についても、前回紹介したとおりhttp://macska.org/index.php?p=60エヴァーグリーン州立大学の1995〜97年の研究があり(というか、これ以外この種の調査が存在しない)、出所後54ヶ月以内に再犯する確率は告知制度導入の以前と以後で一切有意な差が認められなかった。コミュニティへの一般告知は、「コミュニティと前科者の共生」のうち「前科者の社会復帰」を事実上不可能にするばかりか、コミュニティにおける子どもの安全すら守っているとは言い難いのだ。

18・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:23:28
http://macska.org/index.php?p=62
さらに話を広げると、子どもに対する性的虐待の大多数は被害者の家族内で起きており、また性暴力の大多数は警察に通報すらされていないのが現実であるのに、少数の前科者を監視していれば子どもが守られるとどうして考えられるのか。奈良の事件は確かに悲惨だけれど、子どもに対する暴力の例としては非常に特殊な例だ。前科者監視には注ぎ込まれるコスト(ここでは金銭的なものだけではなく、社会的な注目度や政治的な意志も含むとする)に見合うほどの効果が認められないというだけでなく、より効果のある性虐待予防キャンペーンなり社会復帰支援活動に充てるべきリソースを削ぐことになる。

なんばさんが紹介している産経新聞の社説では「女児に異常な興味を示す、このようなロリコン趣味者を今後、どのように取り締まっていくか」と、まるで犯罪行為でなく幼児性愛の性的な指向を持つ事自体を取り締まるべきだといった論調もあるけれど、これも「子どもに対する性的虐待は、幼児に異常な興味を示す人によって行われている」という間違った認識がベースとなっている。現実には、世間から見てごく普通の生活を営む両親や学校の先生などが、「たまたま身近に存在する、自分の思いのままになる対象」として子どもに手を出している方が圧倒的に多いに決まっている。

本当に子どもを性暴力から守ろうとするならば、「前科者や幼児性愛者とどうやって共生するか」という課題とともに、「子どもに対して大人一般が持つ圧倒的な『力』の濫用としての(性)虐待をどうやって防ぐか」といった課題として問いかける必用があるのに、産経新聞に代表される論調はあくまで性暴力を「一部の特殊な人だけがする行為」として「ロンリコン趣味者」をスケープゴートを仕立て上げたうえで、より一般的な、新聞でも報道されにくいような被害を隠蔽して、それらに対する有効な対策を取れないような方向に議論を捩じ曲げている。

19・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:23:44
http://macska.org/index.php?p=62
もちろん一部の論者はネオリベラリスティックな監視社会を実現する目的で、確信犯的に方便として「子どもを守るため」という論陣を張っているのだろう。けれど、本気で性暴力や子どもの虐待に取り組んでいる人たちは、この動きに決して乗ってはいけない。それ以外の人で奈良の事件についてメディアの報道を見てショックを受けた人も、そうした感情的なやりどころの無さを悪用して極端な社会施策を推進しようとしている勢力がある事に気付くべきだ。それと同時に、奈良で起きた事件ほど極端でないにせよ、性暴力の被害は毎日、一見「普通」に見える家庭や教室で起きているということにも気付いて欲しい。

コトは、単に一部の変質者を排除すれば済むという問題ではない。わたしは、わたしが認識している限り「性暴力」の加害者ではないけれど、それは自分が性暴力の加害者より優れた人間だからだとは思っていない。これまで生まれて生きてきた場所と状況とタイミングが少し違えば、加害者になっていた可能性は十分にあると思う。それに、わたしたちの社会には性暴力というものをやたらと特殊なモノだと決めつける傾向があるけれど、もっと広く「自分の欲望のために周囲の人を傷つけること」(あるいはグローバルな資本主義を通してわたしと繋がっている地球の裏側の人を傷つけること)と捉えてみると、考えてみたら日常茶飯事だ。どうして性暴力の加害者だけがわたしと全く別の人種だと信じることができようか。

20・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2006/01/10(火) 15:24:00
http://macska.org/index.php?p=62
もちろん、実際に加害したかどうかというのは大きな違いではあるし、そうした論理は実際に加害行為を犯した人を免罪する理由にはならない。というのも、ぶっちゃけた話、加害者にそれなりの責任を取ってもらわなければ社会が成り立たないからだ。でも同時に、将来の被害者と加害者双方のために被害の発生を減らすための最大限の努力をする責任が社会にあるとわたしは思うし、実際に被害を減らすための有効な対策を立てることは、「誰でも、自分でも、加害者になりうる」という前提で考えなければ不可能だと思う。結局、いかにそれが醜悪な空想であるように思えても、「性暴力の加害者は、かならずしも特殊な人ではない」「場所と状況とタイミングによっては、自分も加害者になっていたかもしれない」と想像することができて、はじめて「わたしたち」の社会は「わたしたち」自身の問題として「性暴力」に取り組むことができるのだろう。

これまでのミーガン法関連記事:

1)いわゆるミーガン法についてhttp://macska.org/index.php?p=2
2)ミーガン法ふたたびhttp://macska.org/index.php?p=57
3)ミーガン法にトドメをさす http://macska.org/index.php?p=60


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