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警察庁利権スレッド

106・゜*ヽ(´ー`)/。・゜*:2005/03/05(土) 03:45:34
http://www.rikkyo.ne.jp/univ/araki/naraki/gyouseki/mini/maeda.htm
 本書が頻繁に用いている「検挙人員率」の意味は、もしも丁寧な作業をしていれば、検挙人員中に少年(口絵の図七では年少・中間・年長・触法)と成人が占める人数を求め、それぞれ人口一〇万人当たりに換算した数値であろうと推測される。そうであれば、万引きや占有離脱物横領(自転車盗)などで検挙されることの多い少年の検挙人員の変動が、自ずと強調されて示されることとなる。それに加えて著者は、検挙率の低下を補正し、少年の検挙人員率が極めて高く、かつ、上昇しているとする。その補正方法は、「一九八八年頃までの検挙率がそのまま維持された場合を想定して認知件数に応じた検挙人員を推定し、それを成人と少年の検挙人員の割合に従って割り振った数値」(八頁)とのみ説明されており、その検証は不可能である。しかも、この補正方法によるのでは、検挙しやすい犯罪の変動がますます強調されることとなる。この点について著者は、「このような補正を行わなくとも、現在の少年犯罪が、数値上は危機的情況にあることは変わらない」(八頁)と述べている。もしもそうなのであれば、補正をしない数値を示して論述し、「科学の基礎」である検証可能性を残すべきであった。なお、本書は、「補正値」を用いる場合にはその旨を注記すると記しているにも関わらず、読み進むと検挙人員率に注記が無くなっている。もしも注記を忘れたのであれば、内容の正確性に疑問が残るし、もしも注記が不要なのであれば、極めて問題の多い「補正値」を何故本書の冒頭部分で用いたのかに疑問が残る。
 少年による強盗のみが近年増加したことは犯罪白書から明らかであり、それを否定する刑事法研究者はいない。また、その増加理由については、粗暴犯である恐喝の一部を凶悪犯である強盗と扱うようになったと理解されている。これに対して著者は、「『恐喝かさ上げ説』は、専門的に見ればまさに奇妙な主張」(一〇四頁)と述べている。粗暴犯である恐喝と凶悪犯である強盗との分水嶺は、抗拒不能であったか否かであるから、被害者の供述録取書にその旨を警察が記載しさえすれば、恐喝ではなく強盗として、検察庁・裁判所にそのまま通用して行く。この意味でこれは、刑事手続の実態についての著者の無理解を露呈した記述である。
 概して本書は、統計処理面では、できればダレル・ハフ著高木秀玄訳『統計でウソをつく法』(講談社ブルーバックス)、谷岡一郎著『「社会調査」のウソ』(文春新書)等を参照しつつ、慎重に読むべき本であり、統計学の名著をも多数刊行している東京大学出版会が、その刊行書籍の品質を問われかねない本であると考える。
    11/10/00  立教大学教授 荒木伸怡(あらきのぶよし)


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