「国民国家」 nation state の定義はムズカシイ。
革命期フランスが「国民国家」の典型だとされるので、フランスを中心に考えよう。
state は、状態、国民状態、という意味だ。
一般民衆が国家へある種の忠誠心を持っている「状態」を、国民国家と言う。
フランスなら、民百姓までが「私はフランス人だ」という意識を持っている「状態」を
「国民国家」 nation state という。
『社会契約論』は近代民主主義思想の元祖だ。
道徳を実現する秩序のためには、個人と社会、外面と心情、他人と自分が、完全に
一致した状態になるべきだとルソーは考えた。これらが分裂しているから不幸なのだと
ルソーは考えた。
構成員は、自分の全ての権利を共同体に譲渡する契約を行なうべきだと考えた。
それにより、共同体は「共通自我 moi common 」となり、「一般意志 volonte generale 」
を持つ。自分の自我は全て共同体の自我だ。共同体の意志は全て自分の意思だ。
この状態こそが幸せな状態だ。と、ルソーは考えた。
「一般意志」は単一不可分であり、構成員の意志の単純総和である全体意志 volonte de tous
とは違う。渋々と他の人の意見に合わせるなんて人間は一人もいない。
構成員の意志はすべて一般意志と一致する。社会と個人、自分と他者が一致する。
この「一般意志」に主権があれば、政治体制はなんでもよい。できれば民主制がいいが。
イギリスには、典型的絶対王政がなかった。
絶対王政を敷こうとした王が貴族と地主層に打倒されたのがイギリスの「革命」だ。
フランスのような「市民革命」ではない。
貴族(上院)と地主層(下院 house of common 大衆議院)が王権を抑制する。
法律は判例・前例で判断する。この判例集を「慣習法」と呼ぶ。
裁判官は地元の貴族。日本で言うと、地元の顔役が裃つけて揉めごとの決済をする。