したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

サイロ・エフェクト - 文化人類学の逆襲

1karino2:2016/04/27(水) 12:52:36
企業や組織が官僚的になってしまう事の弊害を書いた本、というとありきたりに思えるが、なかなか面白いのでスレを立ててみる。

https://wp.jmuk.org/2016/04/25/%e3%83%86%e3%83%83%e3%83%88%e3%80%8e%e3%82%b5%e3%82%a4%e3%83%ad%e3%83%bb%e3%82%a8%e3%83%95%e3%82%a7%e3%82%af%e3%83%88%e3%80%8f-%e6%96%87%e5%8c%96%e4%ba%ba%e9%a1%9e%e5%ad%a6%e3%81%ae%e9%80%86/

jmukのブログを読んで興味を持ったので買ってみた。

2karino2:2016/04/27(水) 13:04:26
現在は経済学者達がサイロにとらわれてみんな間違った、という章を読んでいる。

読んでいると、いろいろと間違いが多い。
これは経済学だけではなく、たぶんこの一つ前の章のソニーでもそうだろう。
全体的に表層的で、なんでもかんでもサイロのせいにする。

ただ、この表層的でその分広い分野を同じように見るのがこの本の意義に思う。
実際はもっといろいろ複雑なのだが、一方でこの過度に表層的で単純な話は間違いか?というとそうとも言えない気がする。

3karino2:2016/04/27(水) 13:13:55
経済学は確かにサイロ的な物になってる気がする。

例えば経済学は予想や予言をする学問では無い、という事になっている。
ケインズが言ってた、症例を見て処方箋を書く、というメタファーが良く使われる。
でもこれは経済学以外の世界ではあんま普通では無い気がする。

例えば市場がまずい事になりそうだ、という事をちゃんと予想して適切な規制とかを考えるのは、恐らく経済学に期待されている。
また、処方箋の内容を実施したらどうなるのか、というのは当然正しく把握している事が期待されるし、それは政策の積み重ねが今であり明日であるなら、市場を正しく予想することが期待されていると言えるはずだ。

4karino2:2016/04/27(水) 13:17:06
マネーを含めないのは馴染まないから、という主張はまぁそうなんだが、一方でマネーを含めようと努力してる人はいっぱいいるしそこが重要と思ってる経済学者はいっぱい居る。
ただ、市場の研究が軽視されてる、というのはある気もする。

経済学の研究が専門化が進み自分の領域以外分からない、というのは増えてるように思う。
これは学問が進めばそうなっていくのは当然、とは思う。

一方でそれらの研究がそのまま中央銀行での仕事の必要条件になりつつある、というのは現状としてあり、それは適切なのか?と言われると確かに良く分からないな。
専門化が進んだ領域の研究が、中央銀行という極めて広い範囲に及ぶ業務の遂行に対してどれほど有効だろうか?というのは議論されて良い部分に思う。

5karino2:2016/04/28(木) 13:18:16
第八章「伝統的な金融理論や経済学は、このようなミクロレベルのインセンティブや社会構造に目を向けようとはしない」
経済学に関してはそんな事は無いだろう。

6karino2:2016/04/28(木) 19:26:27
最後に文化人類学を応用する事でサイロ効果を緩和出来るという話で終わるが、最後はいまいち納得しづらい。
構成的には第二部の所でFacebookだとかそのほかいろいろサイロをうまい事緩和したりする例がいろいろ紹介されているのだが、これらのケースに対する最後に紹介された処方箋の当てはまりがあんまり良くない。

インサイダー兼アウトサイダーたれ、とか言うがザッカーバーグのどこがアウトサイダーなのか。
現場でじーっと見てたという話も無い。
分類方法に着目して見直してたかもあまり良く分からない。

Facebookに限らず、どの例もあんまり文化人類学を使ってるようには見えなかったし、処方箋もそこから導き出されているように見えなかった。

そもそもソニーなんてすげー異文化持ってきてるのに言葉がわからなかったからうまく行かなかった、ってそれ異文化じゃダメって事じゃん!
だいたい文化人類学って言葉違う国でも同じ手法使ってるんなら、うまく行かないとおかしくね!?

ソニーの例はサイロに意識的でもうまく行ってないから、結論がサイロを意識すればうまく行くってのは納得しがたい。

そして処方箋の多くは経営者しか実現出来なさそうなのが多く、イマイチ使いづらい。

7karino2:2016/04/28(木) 19:35:55
そんな訳で読み終わった。

いろいろ文句の言いたくなる所がある。
最後の結論は全く説得力は無かったし、途中いろいろ「それは違うだろう!」というのは多い。

もともと私はサイロという言葉が好きじゃない。
初めて聞いたのはMS時代に偉い人が言ってたんだが、当時は「またコンサルから胡散臭い言葉聞いてきたのか、、、」という程度だった。
官僚的なのは良くない、という何も新しい話でない所に、わざわざサイロという言葉を定義して、コンサル業界もネタが無いのかねぇ、と。
その認識は今から振り返っても全く正しかったと思う。

そんな訳でいちゃもんつけたい気分で最初から居たし、その考えには読んでも別段違いは無かった。

また一つ前にも書いたけど、ソニーのケースでうまく行ってない、というのが、やっぱり全体的な説得力を感じない。認識していても結果変わってないじゃん、みたいな。
それよりはインセンティブ構造気にするとかの通常の経済学的な処方箋の方が効くんじゃない?という気もした。

また、サイロを壊せば良いという訳では無い、と繰り返し言ってるが、それと本書の内容はいまいちチグハグな印象を受けた。
各論では、どうみてもサイロを壊せば良い、と言ってるようにしか見えない。

8karino2:2016/04/28(木) 19:43:04
>>7
家の構造が分類法と相互に強化する、というのは、納得しがたい所もある。

古い日本の企業はセパレータとか無い。
みんな机を並べてる。
島というのはあるが。

でもそれがサイロを作らないような効果を生んでるか?というと全くそんなことはない。
セパレータのあるMSの方がずっとサイロは弱かった。

前職など同じチーム内で島も一緒でも、常駐してる人たちの会社が違う、とかいう理由で凄いサイロは出来てて全然情報共有してなくて、酷い事態になっていた。建物の構造より組織の構造や報酬の構造の方が重要度はずっと大きいし、建物の構造の違いが効いている、というのはこれまでの自分の経験からはいまいち合致してない。
本当にそれは効果があるのか?
そして本書の中にそれに対して説得的な内容も別段無い。
ただFacebook がやってる、と言ってるだけだ。

9karino2:2016/04/28(木) 19:51:26
>>7
これまでにも、同じような現象を説明する方法はもっとあったと思う。
例えば私が好きなのは「NAH症候群」という言葉だ。
Not Applied Here 症候群、の略。

組織に新しい方法論を持ち込もうとすると必ずこういう反応をする、という物。
これでもだいたいサイロ効果と言ってた具体例は説明出来ると思うし、この方が対処法もストレートに思う。
この場合の対処方法は、人間の心はNAH症候群的な反応をしがちだ、と各自が自覚的になっていれば、「自分の所では適用出来ないな」と思った時も、それは一旦我慢してひとまず試してみる、と考える事が出来る。
これは自分の経験に照らし合わせるとなかなかうまく機能する。

また、組織が官僚的になって良くない、というこれまでの話でも、完全に同じ話は出来ると思う。こちらはより完全に同じ話になりそう。

官僚的、という言葉をサイロに置き換えるメリットとはなんだろう?
官僚的よりサイロの方が、指してる物は狭くなってる気がする。だから議論の焦点がぼやけない、といのはあるかも。

10karino2:2016/04/28(木) 19:58:41
>>7
さて、いろいろ文句を書いたが、これらの文句は本書の良い所とは全く関係のない、枝葉の話ばかりだと思う。

この本の良い所は、まずサイロという視点でいろいろな物を無理やり並列に並べて見てみたら、結構似て見えて面白い、という事があると思う。
各論にはいろいろ誤りや単なる思い込みと思われる部分が散見されても、本質的な所はそれなりに正しく見えて、どれも悪い例の方はサイロという物の影響がでかいように見える。
これらは大きく異なる分野なのにサイロという角度で見てみるととても似ている、というのは、確かに面白い。
そしてだからこそサイロという物にもっと普段から注意を向けたらいいんじゃないか?という本書の中心的なメッセージは、そうかもなぁ、と思う。注意を向けても無駄かもしれないが、少なくとも面白いとは思う。

また、文化人類学というのがこういう物だ、というのは、全然知らない自分にはなかなか興味が持てた。
文化人類学の逆襲が成功してるか?というと逆襲のシャアくらい成功してない気がするが。
でも「へー、そういう物なんだ。他の文化人類学者の本を読んでみてもいいかもな」という気はした。
これはこの本としては、大成功と言って良いんじゃ無いか。

11karino2:2016/04/28(木) 20:08:44
>>7
また面白かった事として、この本がサイロに絡め取られないようにオススメする事が、自分がやってる事に凄い一致していた。
例えば旅に出るとか。旅でまくりだよ、俺。
そしてフリーランスとして短期の仕事をいろいろな分野のいろいろな会社でやってるのも、自分はそれぞれの組織を相対化出来ていろいろ良いな、と最近思ってたが、それは割とこの本の主張と一致してる気がする。
シェアハウス住まいで、良く住む場所を変えるのも、整合的に思った。

また、自分は職場では、良く関係ない人とも雑談する。
席に行って何をやってるのかを良く聞いたりする。
それは大切だとも思ってるが、もともとそういう人間だから、という面も強い。
でも前職で回りの人が全然よそのグループと話そうとしないで、そのせいで無駄な事ばかりやってるのを「ほんとにこいつらひでぇなぁ」と思っていた。
それは受託という構造の問題でインセンティブ構造がまずいからだ、と思ってたし今でもその見解に違いは無いが、サイロと戦おうという言い方をしたらもっと分かりやすく回りに何に私が文句をつけているかは伝わったかもなぁ、とかは思った。
そして自分が意識的によそのチームと良く雑談してるのは、サイロと戦おうとしてたんだなぁ、とか自分の行動をサイロという角度から見直してみるのは、俺正しい!という気がしてちょっと気分良かった。

12karino2:2016/04/28(木) 20:10:56
>>7
全体的に良い本だと思う。
説得力は感じないが、それは別段この本の魅力は損ねていない。
組織を改善する為の処方箋を求めるならあんま役に立たない気がするが、教養として新たな視点から物事を眺める手助けとしては素晴らしい出来だし、それはとても優良な知的な刺激を与えてくれるだろう。

という事で私もオススメ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板