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【破ァッ!!】寺生まれのTさんスレ

1名無しさん:2015/03/02(月) 17:10:29 ID:/sxxuDok
寺生まれのTさんのスレッドです。
ちかとものコメ欄に書き込んでいただくのも嬉しいのですが、1レス800字縛りとかもありますし、可読性がよろしくないので、こちらも使ってみてください!

381盗撮テープ:2015/03/31(火) 21:45:09 ID:8QxNsk16
ある4人家族がとある地方の旅館に宿泊。
深夜に娘か母親がトイレで惨殺されているのが発見された。

全身を刃物で滅多刺しにされ、顔面は誰だか判別がつかなくなる程斬り付けられていた。
死体には舌がなかった。

トイレには格子のついた幅30・、高さ10・程の窓と小さな通風孔があったが、とても人の入れる大きさではない。
カギもかけられていた。誰がどこから侵入してきたのか・・・。

警察はその旅館を経営している夫婦、その息子、近辺の変質者などを聴取したが、現場が密室だったこともあり、迷宮入りになるかと思われたが、ある日、旅館経営者夫婦に付き添われたその息子が署に出頭。

「近所の目もあり、なかなか正直に話すことができなかったが、 とんでもないことになったので、お話します」
「息子は盗撮が趣味で再三注意していましたが、事件当夜もビデオカメラで天井裏から個室を撮影していていたのです。撮影していると格子のはまっている小窓のガラスが開き、ガラスの破片を持った小さな・・・、いや、 このビデオテープに一部始終がはいっていますので・・・。」

息子はビデオテープについて訪ねられると、恐怖が蘇ったのか半狂乱に。
精神に異常をきたすほどの何かがこのテープに入っているのかと思い、捜査員達もテープを再生するのを恐れた。

そのテープには排尿する女性を俯瞰で撮影した映像が収っていた。
和式便器にしゃがんでいた女性が立ち上がろうとしたその時、小窓からガラスの破片らしきものを握った小さな、15〜20cm程の老婆が音もなく飛び込んできた。
女性は悲鳴をあげる間もなく咽を掻き斬られ、そして顔中を、体中を斬り付けられ・・・。

女性が息絶えると、小さな老婆は死体から舌と頭皮の一部を切り取り天井を見上げ、

「次はおまえだよ」

と言って小窓から出て行こうとしたその時、

「次があるなんて甘いことを考えちゃいけねえな、ばあさん」

そこには寺生まれのTさんが立っていた。
そして青白い光を手から放つ

「破ァッ」、「ぎ、ぎゃぁぁぁぁぁあぁ」

そしてカメラ目線ではにかみながら
「俺のことは気にしないでくれ」そう言って出て行った。

捜査員の中には、感動するもの、泣き出すもの、衝撃の余り失禁する 者もいたという。
結局事件は未解決のままだが、警視庁に、件のビデオテープが今なお保管されていると言う。
寺生まれってすごい、改めてそう思った

382二重人格の妹:2015/03/31(火) 21:48:21 ID:8QxNsk16
中学生の頃、妹は二重人格だった。
なんでも、火を見ると「影羅(エイラ)」という魔族の人格が現れるそうで、
真っ暗な部屋の中で唐突にマッチを擦っては、
「……ヘヘ、久しぶりに外に出られた。この小娘は意思が強すぎて困るぜ(笑」
などと乱暴な口調で叫んだりしていた。
ある日、夕食の時に「影羅」が出たことがある。
突然おかずの春巻きを手掴みでムシャムシャと食べ始めて、「久々の飯だぜ(笑」と言った。
「こんな女の子に取り付いて、自分の結界を広げてたのかい、この小悪党め!!」
突如現れたのは寺生まれで霊感の強いTさんだ。「破ぁー!」と叫びまばゆい光を妹に浴びせた。
妹は苦しみもがいて、口から黒いもやのようなものを出した。
黒いもやは光を浴びて苦しそうに身じろぎしたあと、消滅した。
食べ物関係のジョークを一切許さない母が、
Tさんの頭にゲンコツ振り落とすとTさんは涙目になっておとなしくなった。
それ以来、食事時にTさんが出たことは無い。
そして影羅とやらは、その一件以来パタリと出なくなった。

最近になって、高3になった妹にその事を尋ねたら、クッションに顔を埋めて、手足をバタバタさせてのた打ち回っていた。
さらに大学生になったTさんにもその頃のことを尋ねたら、やはりクッションに顔を埋めて、手足をバタバタさせてのた打ち回っていた。

383気味の悪い無言電話:2015/03/31(火) 21:52:52 ID:8QxNsk16
ある女性が気味の悪い無言電話に悩まされていました。
「もしもし?」
「………」
「もしもし?」
「………」
いつもはここで恐くなって電話を切ってしまうところでしたが、我慢できなくなって、彼女は叫びました。
「いい加減にしてよね!」
すると受話器のむこうから、押し殺したような声が聞こえたのです。相手が喋ったのはこれが初めてでした。
「…殺してやる…」
さすがに恐くなって身の危険を感じた彼女は、だめでもともとと警察に相談してみました。
ところが最近は、そういったストーカーの犯罪が深刻化しているためか警察は詳しく話を聞いた上で彼女の電話に逆探知機を設置して捜査を行ってくれることになったのです。

次の日もやはり、無言電話はかかってきました。慎重に受話器を取り上げ、耳に押し当てる女性。
「もしもし?」
「…殺してやる…」
昨晩のあの声でした。そのときです。彼女の携帯電話が鳴りました。警察からです。
「すぐに部屋から出なさい!」
「は?」
「逆探知の結果、電話はあなたの家の中からかかっています。犯人はあなたの家の2階にいるんですよ!」
その時「破ァ-!」2階から声がした。恐る恐るのぞいてみると、Tさんが階段から男を担ぎ降りてくるところだった
「危ないところだったな。まったくこんな可愛い子をストーカーなんて太いヤローだ」
寺生まれってすごい、改めてそう思ったけど不法侵入はTさんも同じなので一緒に警察連れてかれてしまった

384念願の赤ちゃん:2015/03/31(火) 21:53:43 ID:8QxNsk16
ある4人家族があった。おじいちゃん、おばあちゃんに若夫婦。この若夫
婦には子どもがなかったが、ついに念願の赤ちゃんが誕生した。初孫でもあ
り、一家は大喜びであった。

ところがこの赤ちゃん、表情がない。笑うことをしないし、喜怒哀楽を全
く表現しない。そして、何ら言葉を発しなかった。

そして、この子が誕生してから丁度1歳の誕生日に「おじいちゃん」と言
葉を発し、翌日におじいちゃんがポックリ死んでしまった。この後また、こ
の子どもは言葉を一切発しなくなった。

やがて1年が経って、この子の2歳の誕生日。今度は「おばあちゃん」と
言って、翌日におばあちゃんが亡くなった。そして、1年間この子はまた言
葉を発しなかった。

それからまた1年が経って、3歳の誕生日。子どもが「おかあさん」と言
って、翌日に母親が死んでしまった。そしてまた、子どもは何も話さない。
ここまで来ると偶然とは思えず、父親は次の誕生日は自分の番かと、不安で
しょうがない。

やがてこの子の4歳の誕生日がやってきた。そしてこの子が「おとう『破ァッ!』と言った。
寺生まれのTさんが何かを祓ったようだった。
「このこには生まれ持っての強力な言霊の力が備わってる。危ない所だった」
寺生まれは凄い、改めてそう思ったが、いつもの余裕もなく、何故かTさんは異常に脂汗を流していた
なんか腑に落ちなかったが寺生まれは凄い改めてそう思うことにした

385噂のトンネル:2015/03/31(火) 21:54:25 ID:8QxNsk16
ある4人家族があった。おじいちゃん、おばあちゃんに若夫婦。この若夫
婦には子どもがなかったが、ついに念願の赤ちゃんが誕生した。初孫でもあ
り、一家は大喜びであった。

ところがこの赤ちゃん、表情がない。笑うことをしないし、喜怒哀楽を全
く表現しない。そして、何ら言葉を発しなかった。

そして、この子が誕生してから丁度1歳の誕生日に「おじいちゃん」と言
葉を発し、翌日におじいちゃんがポックリ死んでしまった。この後また、こ
の子どもは言葉を一切発しなくなった。

やがて1年が経って、この子の2歳の誕生日。今度は「おばあちゃん」と
言って、翌日におばあちゃんが亡くなった。そして、1年間この子はまた言
葉を発しなかった。

それからまた1年が経って、3歳の誕生日。子どもが「おかあさん」と言
って、翌日に母親が死んでしまった。そしてまた、子どもは何も話さない。
ここまで来ると偶然とは思えず、父親は次の誕生日は自分の番かと、不安で
しょうがない。

やがてこの子の4歳の誕生日がやってきた。そしてこの子が「おとう『破ァッ!』と言った。
寺生まれのTさんが何かを祓ったようだった。
「このこには生まれ持っての強力な言霊の力が備わってる。危ない所だった」
寺生まれは凄い、改めてそう思ったが、いつもの余裕もなく、何故かTさんは異常に脂汗を流していた
なんか腑に落ちなかったが寺生まれは凄い改めてそう思うことにした

386彼女のメール:2015/03/31(火) 21:57:47 ID:8QxNsk16
俺の部屋に彼女が遊びに来た時に、気が付いたら彼女が誰かにメールしてた。
『誰にしてんの?』って聞いても『ん?ちょっとね』って教えてくれない。
ムカ〜っときて、『どーせ男じゃねーの?!』って怒鳴り気味に言ったら、
『○○○(俺の名前)だって、どーせ女からメール来てるんでしょ!!』
って逆切れしてきたから、
『はあ?俺がいつメールしてる?疑うんなら見ればいいじゃん!』
ってポケットから携帯出して彼女の前でこれ見よがしに開いてやったら、
こんな時に限って誰かからメール来てやがんの〜〜、、、、
内心、しまった〜って思いながら、
『・・・・広告か何かだろ、、』ってメール開けたら、件名は

『無題』。

本文が
『後ろを絶対見ないで!何も聞かないで!このメール見たら私と急いで部屋を出て!!』

読んだ瞬間、とてつもない不安感が俺を襲い、たまらず振り返ってしまうと
ベランダから青白い肌をした、闇のように黒く長い髪をした女が此方をにらみつけているではないか!
俺は腰が抜けてしまい、動く事ができなくなってしまった!!
するとその女の後ろに人影のようなものが現れた!
と思った次の瞬間、目の眩む様な輝きを帯びた右腕がその女を貫いたではないか!

「破ぁー!」

謎の人影は大学時代の先輩、Tさんだった

「タバコを買いにいった帰りに不穏な雰囲気を感じたんでな……。
 おっと、若いお二人のジャマをしちゃいけねえな。あばよ」
Tさんはそうとだけ言い残してベランダから颯爽と飛んで闇に消えていった。
それにしてもマンションの5階だというのに、驚異的な跳躍力で瞬く間に駆けつけ、あっという間に除霊をしてしまったのだ。
寺生まれってスゴイ、改めてそう思った

387ヤンデレの彼女:2015/03/31(火) 22:00:13 ID:8QxNsk16
ある田舎町の高校で写真部に所属するオタク男が、同じ学校の女の子に片想いした。
彼女は町外れの古い家でおじいさんと2人暮らしで、
おじいさんの面倒をよくみる、とても優しい子で、みんなから人気があった。
そんな彼女に惚れた彼は、写真のモデルを頼んだりして付き合い、
やがて2人は恋人のような関係になる。

高校を卒業した後、上京を望む彼は、彼女も誘うが、
彼女は年老いたおじいさんを残していく事はできなかった。
彼女のおじいさんの存在がだんだん疎ましくなってきた彼は、
なにかにつけて「おじいちゃんが・・・」と言う彼女に
「その、おじいちゃんが、おじいちゃんが、というの止めろよ!」
と冷たく当たる。

そして、彼が旅立つ日になり、彼女の元へ別れを告げにゆくと、
彼女は「私も連れていって」と懇願する。
彼は「でも、おじいさんはどうするんだよ?」と問うが、
彼女は「おじいちゃんならもう大丈夫」と言う。
不審に思った彼が彼女の家に上がると、彼女のおじいさんは血まみれになって死んでいた。
そして彼の後ろから血のついた包丁を取り出した彼女が、
「おじいちゃん、今寝ているから起こさないでね」と微笑んだ。
彼は恐怖のあまり『破ァーッ!!!』と叫んで一目散に逃げ出し、この町を離れていった。

「霊よりも怖いものもこの世にはあるんだ」
Tさんははにかみながら「ヤンデレには気をつけろよ」とだけ残して帰っていった
寺生まれってスゴイ、改めてそう思った

388地震。世界との比較:2015/03/31(火) 22:06:32 ID:8QxNsk16
震度1
 世界:敏感な人なら気づく
 日本人:気づかない
 
震度2
 世界:殆どの人が気づく
 日本人:敏感な人なら気づく
 
震度3
 世界:全員が気付きパニックを起こす
 日本人:殆どの人が気づく
 
震度4
 世界:家屋の倒壊が起き、死傷者が出始める
 日本人:おー揺れとる揺れとると笑う
 
震度5弱
 世界:大災害。テレ朝がドラえもん募金を始める
 日本人:とりあえずテレビ速報を見る
 
震度5強
 世界:都市壊滅。TBS、日テレが募金を始める
 日本人:コンビニの陳列がヒドいことに
 
震度6弱
 世界:自力復興が出来ないレベルに
 日本人:ブロック塀が倒壊、死傷者が出始める
 
震度6強
 世界:国家消滅
 日本:被害は深刻ながらもテレ東のアニメを見て気を落ち着ける
 
震度7
 世界:文明崩壊
 日本:日本は俺が護る!破ァッ!!!

389スーパーをうろつくおっさん:2015/03/31(火) 22:08:05 ID:8QxNsk16
近所のスーパーで“俺の塩”などを物色しておりましたら、
「萌えー!萌えー!」と叫びながらフロアをうろつくおっさんを発見いたしました。

ああ、夏だな。

ああいうおっさんの存在を根本から抹消したらさぞかし楽しいだろうなと
“塩カルビ味やきそば”を凝視しながらレジへと並びました。
ふとおっさんに目をやると、いつのまにやら幼女がおっさんに寄り添っている
ではありませんか。
これはいけませんと、買い物かごにあった唯一武器になりそうな
“バニラコーク500ml”を握り締めていると、おっさんと幼女の会話が
聞こえてまいりました。
「もえ。お父さんから離れたらダメじゃないか」
「ごめんなさい」
ああ、アレだ。親子だ。もえって名前のお子さんですか。利発そうなお嬢さんですね。
抹消されるべきは私ですね。
「ならお望み通りにしてやるぜ。破ァ!!!」
寺生まれのTさんだと!?俺は急いで逃げようとしたが間に合わなかった
「現世に未練がましく残った理由がロリコンなんてみっともないぜ。とっとと成仏するんだな」
寺生まれ…は凄…い、改めて…そうおもt

390あるダイビング・スポット:2015/03/31(火) 22:09:22 ID:8QxNsk16
私は仲間のダイバーと二人で、あるダイビング・スポットを潜りました。
どんどんと深く潜って行ったのですが、ある地点で海底の異変に気づいたのです。

何かおかしい。

よくよく見ると、海底には一面に人間が生えていたのです。
連れのダイバーを見ると、呆然として固まっています。海底から生えている人間の顔はどれも同じで、美しい少女でした。
どうしたらいいのかわからなくてしばらく眺めていると、いつのまにか連れのダイバーがすぐ側に来て、私の肩を叩き、ある方角を指差しました。
その方角を見やると、ダイビングの装備をまったくしていない、至って普通の格好をした老人が鎌で少女たちを刈り取っているのです。

無表情だった少女は、刈り取られる瞬間、何ともいえない苦痛の表情を浮かべます。
海中でも叫び声が聞えてきそうな表情でした.
しかし、その顔も、やがて切り取られた足下から広がる少女の血によって見えなくなってしまいます。

そうして老人は少しずつ私たちの方へ近づいてきました。
やがて、私たちのすぐ側までやってきた老人は、完全に固まっている私たちの方へ顔を向け、にやりと笑い、
手にした鎌を差し出しました.まるで
「お前たちもやってみるかい?」
とでも言わんばか『破ッ!』
青白い光があたりを照らし、老人と少女たちは泡となって消えてゆきました。

「冒険もほどほどにな」
そういってTさんは水中でタバコをふかしながらあっという間に浮上してゆきました。
機材もなく深海に来て、しかもタバコをふかし、急浮上してもなんとも無い寺生まれって、すごい、改めてそう思いました。

391妻が事故で死んだ:2015/03/31(火) 22:10:15 ID:8QxNsk16
妻が事故で死んだ。
わたしはしばし呆然としていたが、やがて冷静さを取り戻すと、
妻を送るためのあれこれの儀礼のために忙しくなる前に、
現実と向き合うことにした。

息子が、数年前から自室に引きこもっている。部屋に鍵をかけて一歩も出ず、
顔をあわせることさえない。妻が食事を部屋の前に起き、空の
食器をさげるという毎日を繰り返していた。

世間体を気にする妻に強く言われ、誰にも相談できなかった。
わたしが働いている時間帯に息子が暴れることがあるらしく、
だから極力刺激しないようにしてきた。
しかし、妻はもういない。息子も、そのことを理解すべきだ。
わたしだってもう歳だ。いつまでも息子を守ることはできないのだ。

意を決し、息子の部屋の前にわたしは立った。鍵がかかっている。
わたしは息子に声をかけた。返事は無い。
わたしは息子の部屋のドアをこじ開けた。

息子はベッドに横たわっていた。
死後数年はたっているかのように、すでにミイラ化していた。

「破ぁ!!」
その瞬間青白い閃光がすべてを吹き飛ばした。
「もともとあんたには妻も息子もいなかった…そういうことだ。」
「これからは自由に生きていくといい。俺か?俺もあんたと同じ一匹狼さ。」

こうしてわたしは妻も息子も家も失ったがTさんにであった。
住宅保険掛けててよかった、改めてそう思った。

392寺生まれの名無しさん:2015/04/01(水) 00:57:16 ID:3onRhHJM
>>388
Tさん地震自体はさすがにとめられないかwww

393☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/01(水) 01:28:38 ID:9G0864KQ
何か嘘つこうとしたけど、面白い嘘って思い付かないもんだね
(そして東京新聞の特設面が楽しみだ)


嘘考えてたら今日が終わってしまいそうだ…

394寺生まれの名無しさん:2015/04/01(水) 10:41:37 ID:RdxeOG2o
>>390
なんか不思議な話だな。
元ネタが知りたい

395寺生まれの名無しさん:2015/04/01(水) 10:55:01 ID:RdxeOG2o
>>358
残されたケンタッキーをどうするか悩ましい…
だって元生首…

396寺生まれの名無しさん:2015/04/01(水) 10:57:27 ID:RdxeOG2o
>>360
厨二とTさんの組み合わせホント好き��

397寺生まれの名無しさん:2015/04/01(水) 10:59:40 ID:RdxeOG2o
>>362
これは空気読めないパターンじゃなくて嫉妬パターンやな
ホント嫌い

398寺生まれの名無しさん:2015/04/01(水) 11:00:53 ID:RdxeOG2o
>>364
Tさんラーメンの注文だけかい!

399寺生まれの名無しさん:2015/04/01(水) 11:04:39 ID:RdxeOG2o
>>371
ゲーム成立してたね!

400寺生まれの名無しさん:2015/04/01(水) 11:05:29 ID:RdxeOG2o
>>372
泣けますな。゚(゚´Д`゚)゚。

401寺生まれの名無しさん:2015/04/01(水) 15:51:54 ID:5YmAbv42
>>392
台風なら押し曲げる能力は持っているのに!

402( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/04/01(水) 18:19:00 ID:R49lhF8Y
すごい増えてますね♪
ありがとうございます!
ゆっくり読ませてもらいます!

403☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/01(水) 19:18:36 ID:9G0864KQ

http://imgur.com/BMKRyHS.jpg

404chikatomo★:2015/04/01(水) 22:56:36 ID:???
>>403
待ってたよーーー!
Kさんカワイイ!!
そして今回は色まで!

405( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/04/02(木) 18:36:37 ID:v0SXwyw.
>>403
このKさんはズルいッス(笑)

406chikatomo★:2015/04/02(木) 19:25:34 ID:???
>>403
早速今日のTさんSSで使わせていただきました!

407寺生まれの名無しさん:2015/04/03(金) 16:31:11 ID:52elXBns
壁殴り代行と共闘したり、魔法少女を助けたりTさんは忙しいな

408寺生まれの名無しさん:2015/04/04(土) 00:18:41 ID:6su9Hn26
>>407
両方やたら長かったけど悪くなかった
普段がいつものドラえもんで、昨日今日は映画版って感じ

409寺生まれの名無しさん:2015/04/04(土) 11:25:53 ID:ky5t45Lo
やっぱりTさんSSもっと増えてほしい

410八尺様後日談:2015/04/04(土) 14:26:43 ID:CKWGh1lI
それから十年経って、あのことも忘れがちになったとき、洒落にならない後日談ができてしまった。


「八尺様を封じている地蔵様が誰かに壊されてしまった。それもお前の家に通じる道のものがな」


と、ばあちゃんから電話があった。
(じいちゃんは二年前に亡くなっていて、当然ながら葬式にも行かせてもらえなかった。じいちゃんも起き上がれなくなってからは絶対来させるなと言っていたという)


今となっては迷信だろうと自分に言い聞かせつつも、かなり心配な自分がいる。
「ぽぽぽ…」という、あの声が聞こえてきたらと思うと…

「はいっ、これ君のでしょ。受け取ってくれないからちょー苦労したよ」
ニコニコと笑いNの名前の入った虫かごを差し出す八尺様。それ、別の人のものです。
自分の物ではなく知り合いの呪いについての研究論文を書いているNの物だと説明する俺。
「ぽっぽぽぽぽぽっ!?」
自分の間違いに気付き、赤面しあたふたとする八尺様にお汁粉缶(温め)を飲ませ落ち着かせると、彼女が持っていた忘れ物の持ち主の住所を解る範囲で教え地図を持たせた。
「ちょーありがとう。困った事があったら助けに行くよーー」
数年から十数年じゃ取り殺しとか関係無しに単なる事故死だったかもしれないなと、嬉々として走り去る彼女を見てそう思った。曲がり角で破ァと言う声と閃光がした。

411( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/04/04(土) 16:51:43 ID:l4oFDTxY
八尺様かわいい(笑)

412☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/05(日) 01:19:22 ID:Wdsdgaxo
カッコいい男が描けるようになりたいなぁ…
ニヒルなNさんとかさ

>>409SSって読みやすいっちゃ読みやすいよね
時々セリフがごっちゃになるけど

ところでSSって戯曲並みに状況説明が少ないって思っているんだが
どうなんだろう…教えてエロい人!

413寺生まれの名無しさん:2015/04/05(日) 02:28:52 ID:JivlNpMU
>>412
戯曲はよく分かんないけど、ト書きがないんだからどうしても状況説明も心理描写も少なくなるよね。
それがいいとこだとも思うけど。

414寺生まれの名無しさん:2015/04/05(日) 11:47:27 ID:OAivazJA
姦姦蛇螺でヤンチャで未熟だった頃のTさんが、蛇螺さんの阿修羅バスターを食らい「ぐ破ぁーー」とダウンして知り合いに担がれ逃げ出す。
逃げ出した親戚の家で上半身しか使っていなかったんだなと念を押され、技に掛かった際にとっさに首を抜いたから致命傷は避けられたけど、
遊びではない下半身も使った技や威力は下がるがフックが完璧な改良版だったら助からなかったとTさんの祖父、親戚に言われるシーンが姦姦蛇螺を読んでいて浮かんだ。

415寺生まれの名無しさん:2015/04/06(月) 22:47:28 ID:RCYKmq6I
調子に乗って力を悪用するようになり頻繁に警察の厄介になるTさんに頭を痛めた一族がと痛い目を見れば良いと姦姦蛇螺の詳細を話し行かせる
DさんとTさんが姦姦蛇螺が封じてある場所に辿り着く
挑戦者の存在を察したのかフェンスの中にリングと姦姦蛇螺が現れる
挑発に乗ったTさんがリングに上がり姦姦蛇螺と激突
TさんVS姦姦蛇螺を見るため周囲に大量の霊が集まる
場が大いに盛り上がった所で姦姦蛇螺バスターでTさんを下す
満足して成仏する無数の霊、ダウンしたTさんを担ぎ逃げるDさん
戻った家で戦いを見ていたDさんに姦姦蛇螺が掛けた技の詳細を聞き安堵するTさん一族一同
鼻っ柱を折られ遊ばれていたと再戦を夢見て真面目に修行するようになるTさん、リングに上がるため修行するDさん

流れは思いついたけど文章に出来ない。

416寺生まれの名無しさん:2015/04/07(火) 14:18:34 ID:G3IzEMW6
そういやもうすぐで300破ァ!だな
記念に何かやってほしい

417寺生まれの名無しさん:2015/04/07(火) 22:48:23 ID:njGEDMmI
>>416
300破ァ目にはTさん登場するとかって※欄に…無かったっけ?

418chikatomo★:2015/04/08(水) 02:22:19 ID:???
>>416
どんなのがいいかな??

419寺生まれの名無しさん:2015/04/08(水) 09:59:20 ID:SBA5ucmo
きさらぎ駅にTさんルート追加とか…

420chikatomo★:2015/04/08(水) 10:38:39 ID:???
>>419
ほうほう、いいですね。それ!
ちょっと準備期間が必要ですけども

421☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/09(木) 01:15:36 ID:ZLwjLVWg
最近ふと思ったこと
寺生まれのTさんの登場人物って、だいたいは生まれたとこの頭文字から名前がつけられてるが
Nさんは「呪い屋(?)」からきてるよね?
で、その妹のJちゃんは「神社」から来てる

兄弟ではあるが、名前が異なるのは被らないようにとか、後付けって以外で…どういう理由があるんだろう


NさんとJちゃんは正統な子と忌み子で、なおかつ関わりを持つことを許されないため名前を変えて暮らしている(幽遊白書の飛影と雪菜(?)のみたいな)
或いは、両親が離婚して職業・所属が変わっただけなのか
(名前の由来が各々の姓の頭文字から来てるなら、これでもいけるね)


皆さんはどう捉えていますか

422☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/09(木) 01:19:51 ID:od03/5DQ
追記:登場人物の名前の由来や、Nさんの出生に関わる話があったら教えてください
私が無知なだけなのかもしれないので

あと、Tさんのお父さんはそのまま「Tさんのお父さん」で呼ばれてるから姓が由来ってこと考えられないか

いつも改行が変でスミマセン

423寺生まれの名無しさん:2015/04/09(木) 09:59:40 ID:h2R8nk8o
最初は陰陽師のNさんって呼ばれてたんだよね

424chikatomo★:2015/04/09(木) 11:16:59 ID:???
単純に所属の頭文字と思ってました。
寺生まれ→Tさん
神社生まれ→Jさん
教会生まれ→Kさん

だいぶ後になって登場して話も少ないけど、
モスク生まれ→Mさん
大仏の子→Dさん
警察官の爺さん→Pさん

そこそこ登場するのにやっぱりNさんだけ異端かも。
ちゃんと読み返して確認してないんですけど、>>423さんの通り、
最初は陰陽師のNさんだったと私も記憶してます。
それでなんで「Nさんなんだ?」って流れになって、いくつか回答が出た中で、
「呪い屋じゃね?」
「それだ!」
みたいな感じだったかと。

425寺生まれの名無しさん:2015/04/09(木) 12:13:13 ID:h2R8nk8o
Nさんの闇堕ち理由も最終目的も不明なんだよね

426☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/09(木) 14:51:14 ID:9XbJqRr2
2015年4月7日のT記事「テンジンキギャクリョウキョウ」では
「神社生まれのNさん」と書かれていたので、これを書いた人は
Nさんは神社生まれではあるものの何かしらの理由でNと名乗っていると考えている…のかなと思うんだ


姓の頭文字説&生まれの頭文字由来なら
「神保N…さん」「神保(妹)さん」とかもイケるな…
「神宮寺さん」とか…

427合宿所のNさん:2015/04/09(木) 22:41:10 ID:dyzAZWXA
高校2年の夏休み、俺は部活の合宿で某県の山奥にある合宿所に行く事になった。
現地はかなり良い場所で、 周囲には500m〜700mほど離れた場所に、観光地のホテルやコンビニなどがあるだけで他には何も無いけれど、 なんか俺達は凄くわくわくしてはしゃいでいたのを覚えている。

その日の夜の事。
暇をもてあました俺達は、顧問の先生の許可を貰いコンビニまで買出しに行く事にした。
わいわい騒ぎながら10人ほどで外にでて歩き始めると、
昼間はそちらのほうに行かなかったので気付かなかったが、合宿所の裏手に家らしき建物があるのが解った。
その建物には明かりがついていなかった。
多分空き家か民家っぽいけど、別荘か何かなんだろうと思われた。
友人が調子の乗って「あとで探検いかね?」と言い出したが、あまり遅くなると顧問の先生にドヤされるし、
ひとまず買い出し終わってから、合宿所内で今後のことは考えよう、という話になった。

コンビニで買出しをし合宿所に戻る途中、後輩の1人が変なことを言い出した。
例の建物の玄関が少し開いていて、そこから子供がこちらを覗き込んでいたという。
俺達は「そんなベタな手にひっかからねーよ!」と後輩をおちょくったが、
後輩が真顔で「マジで見たんだって!」というので、ちょっと気味が悪くなってしまい、
家が見えるところまで確認に戻ったが、ドアは閉じていて人の気配も無く、特に異常は無かった。
俺達は後輩をおちょくりながら合宿所へと戻った。

合宿所へ戻り、2階の廊下から外を眺めると、例の家の1階部分が木の間から僅かに見えた。
俺が友人と「あそこに見えるのそうだよな?」なんて話をしていると、家のドアが僅かに開き、
暗くて良く分からないがNさんらしい、人影が頭だけをドアから出してこちらを覗きこんでいる。
「…え?」
俺と友人は、同時のその光景を目撃し沈黙した。
その後、最初に口を開いたのは友人だった。

「おい…あれって…」
友人はかなり動揺しながらそういった。
俺も恐怖というより、あまりにも唐突の事で思考が停止してしまっていて。
「Nさん…こっち見てるよな?」としか返せない。
その時、後ろの部屋から笑い声が聞こえてきた。
俺と友人はその声にびっくりし、ハッ!と我に返った。
そして、俺は「これやばくね?ばっちり見えてるよな?」というと、
友人が「おれちょっと携帯持ってきて写真撮る」と、自分の部屋へと走っていった。
すると、騒ぎを聞きつけて、なんだなんだと合宿所にいる生徒が、
(他校の生徒もいたので、総勢60人くらいが合宿所にいたのだが、そのうちの半分くらい、30人ほど)
2階の廊下に集まりだした。
Nさんらしき人影は、まだドアから顔のみを覗かせて、こちらを見上げているように見える。
廊下は大騒ぎになり、とうとう顧問の先生たちも何の騒ぎだとやってきた。
第一発見者の俺と友人が事情を話していると、窓から外を見ている生徒の何人かが「あ!」と声をあげ、
かろうじて聞き取れる音で、パタン…とドアの閉じる音がした。

428合宿所のNさん:2015/04/09(木) 22:43:41 ID:dyzAZWXA
顧問の先生たちが外を見る頃には、ドアは閉じられ人影もなくなっており、
何事も無い林と、明かりもついていない家らしき建物が見えるだけだった。

当然先生たちは信じてくれなかったが、
ノリの良い若い先生2人が一応確認しに行ってくれることになり、合宿所の裏手へと回った。
俺達が窓から様子を見ていると、懐中電灯を持った2人が現れ、家の玄関のところで何かやっている。
どうやらドアが開くか調べているようだが、開かないようだった。
その後「誰かいますか〜?」と声をかけたりしていたのだが、反応がないらしく、5分ほどで戻ってきた。

その後、何人かが携帯で撮影した画像も証拠として出したのだが、
所詮は携帯の画質、真っ暗な画像が映っているだけで何の証拠にもならない。

俺達は先生達に「さっさと寝ろ」とまくし立てられて、自分達に割り当てられた部屋へと戻った。

半端でモヤモヤして寝れない俺達が、
これから確認に行くか、それとも昼間行くかを話し合っていると、
部屋の窓がドンドン!と叩かれた。
窓の外に人影も見える。
俺達はさっきのこともありビビりまくっていると、外から「おーい、あけてくれ!」と声が聞こえてきた。
カーテンをあけると、そこには昼間仲良くなった他校の生徒5人がいた。
やつらはどうも、窓の外にある20cmくらいの幅のでっぱりをつたって、俺達の部屋までやってきたらしい。

5人を部屋の中にいれると、どうもやつらも俺達と同じ話をしていたらしく、
これから例の家に行く事にしたので、俺達を誘いに来たらしい。
俺達もそれで決心が付いたので、これから肝試し?に行く事になった。

メンツは、うちの学校からは俺、A也、B太。
他校からは、C広、D幸、E介。
他のやつは、何だかんだと理由をつけて結局来なかった。

俺達は5人が通ってきた窓の出っ張りをつたい外にでると、
先生に見付からないように一端道路に出て、そこから大回りに問題の家へと向かった。
一応、家の周りは合宿所の2階廊下から丸見えなので、
残ったやつ何人かが、異常があれば廊下から懐中電灯で合図してくれる、という計画になっていた。

家の前につくと流石に不気味だった。
遠目には分からなかったのだが、壁には苔が生えているし、あちこちに蔦も絡まっている。
しかも、外から見える窓は全て板が打ち付けられていて、だいぶ長い事放置された場所のようだ。

最初C広とA也とB太が家の周りを確認しに行ったのだが、
俺が開かない事は分かっていたが、何気にドアノブを回すとすんなりとドアが開いてしまった。
急いで3人を呼び戻し、俺達は中へと入る事にした。

中に入ると、夏場という事もあり室内の湿気が凄くかび臭い。
家の中を探索してみると、埃っぽくカビ臭くはあるのだが、
室内は荒らされた様子も無く、家具も何も無いのでやたら広く感じた。

1階を探索していると、E介が「2階から笑い声しね?」と言い出した。
俺達は耳を澄ましてみたが、笑い声は聞こえない。
E介に「気のせいじゃないか?」といったのだが、E介は気になるらしく、「見に行きたい」と言い出した。
しかし、まだ1階の探索も終っていないので、
仕方なく3人ずつのグループに分けて、片方はそのまま1階を、もう片方は2階を探索する事にした。
グループわけは簡単で、
同じ学校の俺とA也とB太がそのまま1階を、別の学校のC広とD幸とE介が2階を探索する事にして、
何かあったら階段のところでおちあう事にして別れた。

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
と、場違いに明るい笑い声が聞こえてきた。
そしてすぐに「おいE介?どうした?おい!」と、C広とD幸の狼狽した声が聞こえてきた。

429合宿所のNさん:2015/04/09(木) 22:45:53 ID:dyzAZWXA
俺達が大慌てで2階に上がると、一番奥の部屋に3人はいた。
笑い声の主はE介で、窓のほうを向いてまだ、
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」と大声で笑っている。
そしてその横にC広とD幸がいて、真っ青な顔でE介を揺さぶったり頬を引っ叩いたりしていた。
俺達もただ事では無いと、3人のところに行って前に回りこんでE介の顔を見たとき、
俺は今、自分たちが置かれている状況の深刻さに始めて気が付いた。
E介はほんとにおかしそうに笑い声を上げているのだが、
顔は無表情で、しかも目からは大粒の涙を流している。
それに何か臭いとおもったら、どうやら失禁しているらしい。
E介はまるで、俺達の事が見えていないかのように泣きながら笑い続けている。
俺達が狼狽してE介に呼びかけていると、その場で一番冷静だったB太が、
「とりあえずE介このままにしておけないし、合宿所まで運ぼう」と言ってきた。

そして、俺達はE介の手足と肩をもち、外へと運び出そうと1階までE介を運んだ。
が、そこで問題がおきた。
ドアを開けようとしたB太が、声を震わせながら大声で「ドア開かねーよ!」と言ってきた。
俺達はE介を廊下に降ろし、みんなでドアを開けようとしたのだが、
さっきは簡単に開いたのに今はびくともせず、
6人の中で一番体格の良いA也がドアにタックルしてみたのだが、それでもまるで開く気配が無い。

俺達は軽くパニックになり顔を見合わせていると、2階から微かに「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」と、
まるで抑揚の無い機械的な声というか、音というかが聞こえてきた。
E介はまだ床に寝転がされたまま笑っている。
とにかく外にでないといけない、そう考えた俺は、
1階のリビングが、ガラスのサッシのみで割れば出れそうな事を思い出し、
4人にそれを伝えると、リビングへと向かう事にした。
その時、ふと俺は階段の上を見て絶句した。
階段の踊り場の少し上ところから、Nさんがのぞきこんでいる。
月明かりが逆光になっていて、表情とかは何も分からないが、
顔のサイズや髪型からさっきのNさんとわかった。
相変わらず「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」という声も聞こえてくる。
どうやら声の主はこのNさんらしい。

430合宿所のNさん:2015/04/09(木) 22:48:51 ID:dyzAZWXA

しかし何かがおかしい、違和感がある。
俺はすぐに違和感の正体に気が付いた。
Nさんは階段の手すりからかなり身を乗り出しているはずなのだが、なぜか顔しか見えない。
あれだけ乗り出せば、肩辺りは見えても良いはずなのだが…
俺がそんな事を考えながら階段の上を凝視していると、
C広が「おい何してんだ、早く出ようぜ、ここやべーよ!」と、俺の腕を掴んでリビングへと引っ張った。
俺には一瞬の事に見えたが、
どうも残りの4人がE介をリビングへ運び込み、窓ガラスを割り、打ち付けてある板を壊すまで、
ずっと俺は上の子供を凝視していたらしい。
俺は何がなんだか解らず、とりあえず逃げなければいけないと、皆でE介を担いで外へとでた。
外へ出ても相変わらず、「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」という声は、家の中から聞こえてくる。
俺達はE介を担ぎ、D幸が合宿所へ先生たちを呼びに行った。

その後、E介は救急車で運ばれた。
俺達は先生方に散々説教をされ、こんな事件があったので合宿はその日で中止となった。

帰宅準備をしていた昼頃、十台くらいの数の車が合宿所にやってきた。
中から20人ほどのおじさんやおじいさん、あと地元の消防団らしき人が降りて、
顧問の先生たちと何か話しをすると、合宿所の裏に回り、
例の家の周りにロープのようなものを貼り、柵?のようなものを作り始めた。
俺達は何事なのかと聞いてみたが、顧問の先生たちは何も教えてくれず、そのままバスで地元へと帰った。

E介は2日ほど入院していたが、その後どこか別の場所へ運ばれ、4日後には何事もなかったように帰ってきた。
後から事情を聞いてみると、E介には、家に入ったところから昨日までの記憶が何もなかったらしい。

431合宿所のNさん:2015/04/09(木) 22:51:10 ID:dyzAZWXA
E介が帰ってきた日の夜、俺が自分の部屋で寝転がってメールしていると、一瞬、
「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」という、あの声が聞こえた気がした。
びっくりして起き上がり、カーテンを開けて外を見たりしたが、いつもの景色で何も無い。
俺は「気のせいかな?」と、起き上がったついでに1階に飲み物を取りに行くことにした。

俺の家はL字型になっていて、自室は車庫の上に乗っかるような形になっている。
冷蔵庫からペットボトルのお茶を取り出し2階へ上がると、
丁度階段を上がったところの窓のカーテンの隙間から、僅かに自室の屋根の部分が少し見えた。
すると、屋根の上に何かがいる…
この前あんな事があったばかりなだけに、ビビりまくった俺が窓からカーテンを少し開けて外の様子をのぞくと、
屋根の上に和服を着たNさんが、両手を膝の上にそろえて正座しているのが見えた。
それだけでもかなり異様な光景なのだが、それだけではなかった。
Nさんは体を少し前かがみにして、下を覗きこむような姿勢で俺の部屋の窓を覗き込んでいた。

「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」という声も、窓越しにわずかに聞こえてくる。
俺はあまりの出来事に声も出せず、そのまま後ずさりすると1階へ下りた。

432合宿所のNさん:2015/04/09(木) 22:55:58 ID:dyzAZWXA
通報しようかとも思ったが、これで通報してNさんがもういなかったらそれこそ恥ずかしい…
その時なぜかそう思った俺は、そのまま1階のリビングで徹夜した。
たしか朝4時過ぎまで、「ホホホ…」という声は聞こえていたと思う。

翌朝、恐る恐る部屋に戻ってみたが、Nさんはいなくなっており、室内にも特に変わった部分は無かった。

その日の昼頃、自宅の電話に顧問の先生から電話があった。
この前の件で話があるからすぐに来いという。
昨晩のこともあった俺は、嫌な予感がして大急ぎで学校へと向かう事にした。

学校へ到着すると、生徒会などで使っている会議室に呼ばれた。
会議室に入ると、A也、B太、それにC広とD幸までいる。
更に、うちの学校とC広たちの学校の顧問の先生たち、それと見た事の無いおじさんたちも数人いた。

まず、顧問の先生のうち1人が話し始めた。
要約すると、E介にまた同じ症状だでたらしく、とある場所に運ばれたらしい。
そして、俺達に「昨夜おかしな事はなかったか?」と聞いてきた。
俺はすぐさま昨夜のあれを思い出し、
「あのー、深夜になんかNさんが俺の部屋を覗き込んでるのが見えて…」と事情を話した。
A也、B太、C広、D幸には特に異常はなかったらしい。
するとC広が、
「そういやお前(俺)さ、あの家の中で、階段の上眺めながらボーっとしてたよな?
 あれ関係あるんじゃないか?」
と言い出した。

そういえば…
俺はあのときの事を思い出し、
皆に「あの時さ、変な笑い声みたいなのと、なんかNさんの姿見たよな?」と聞いてみた。
しかしみんなは、声はずっと聞こえていたけど、
Nさんの姿は最初のドアのところで見ただけで、家の中では見ていないという。

433合宿所のNさん:2015/04/09(木) 23:15:38 ID:dyzAZWXA
俺達がそんなやり取りをしていると、さっきまで黙っていたおじさんが、事件の詳細を話し始めた。
非常に長い話だったので要約すると。
俺達がであったのは、『浪人中の陰陽師のNさん』と呼ばれるものらしい。
これは受験ストレスから正気を失ったのようで、稀に姿を現し、 様々な場所に現れて、呪いを掛けていくらしい。
そうすると、どこからともなく現れたTさんが破ァしていく、非常に厄介な人だそうな。
ただし、理由は分からないが破ァに周りのものが良く巻き込まれ粉々になると二重の意味で迷惑な人らしい。

ちなみにあの家は、全くいわくも何もなく、ただ『Nさん』が偶然現れただけの場所なのだが、
『Nさん』の存在を察したTさんが現われ破ァしようとした場合、それに対する対抗策があり、
『Nさん』が最初に現れた場所に結界を作り周囲に被害が出ないようにして、簡易的な祠をつくって結界を強化することで、
破ァによる二次被害を防ぐ事ができるらしい。
合宿所から帰る直前、俺達が見たのは、その結界を作る作業だったらしい

おじさんは続けて、ただ今回は何かおかしいのだという。
普通、Nさんが現われればTさんやJちゃん現われ終るはずなのだが、今回はどういうわけだが逃げられてしまって、
E介がまた被害に会い、しかも俺のところにまで現れている。
それに、そもそも現れても割りと知的な『Nさん』が、
喪黒さんの様なトークを展開せず、ただ笑うだけというのも全く前例がないうえに、
『Nさん』はその日、受験を終えた疲れからか自宅で高熱に魘されていたそうだ。

434合宿所のNさん:2015/04/09(木) 23:22:19 ID:dyzAZWXA
ただ、夏に受験を終えるとか、おかしいおかしいといっても、現実に起きてしまっているのだから仕方が無い。
俺達は学校で、村から来たお坊さんに簡易的な祈祷をしてもらい、お札を貰って、
「君たちはこれでダメならTさんを頼ると良い」と言われ、保険の申込用紙と連絡先を渡され帰された。
ちなみに、E介に関しては、暫らくお寺で預かって様子を見て、
その間にもう一度祠を建てて結界を拡大し破ァに備えるとの事だった。

学校から帰された俺達は、各々迎えに来ていた親に連れられて帰る予定だったのだが、
話し合って、ひとまず学校から一番近い俺の家に全員で泊まることにした。
安全と言われていてもやはり不安だし、全員でいたほうが少しは心細く無いと思ったからだった。

その夜、俺達が部屋でゲームしていると、
コン…コン…コン…コン…と、窓を規則的に叩く音がした。

俺の部屋は車庫の上にあり、壁もほぼ垂直なので、よじ登って窓を叩くなどまずできない。
しかも、その窓は昨晩、例のNさんが覗き込んでいた窓だ…
状況が状況だけに、全員が顔をこわばらせていると、
B太が強がって「なんだよ、流石に誰かの悪戯か風のせいだろ?」と、カーテンを開けようとした。
俺は大慌てでB太に事情を話し、カーテンをあけるのを踏みとどまらせた。

窓を叩く音はまだ続いている。
D幸が、「やっぱ正体確認したほうがよくね?分からないままのほうが余計こえーよ…」と言ってきた。
たしかに、何かその通りな気がした。
なんだか分からないものが一晩中窓を叩いている状況なんて、とても耐えられそうに無い。
俺達は階段のところまで移動し、カーテンを少し開けて、隙間から俺の部屋を見てみた。
いた…
昨日のNさんが、やはり昨日と同じように窓から俺の部屋を覗き込んでいる。
そして時々、コン…コン…と今日は棒のような首を伸ばし頭を窓にぶつけている。

435合宿所のNさん:2015/04/09(木) 23:31:35 ID:dyzAZWXA
「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」という、例の抑揚の無い笑い声のようなものも聞こえてきた。
音の正体はこれだった。
異様な光景だった。
そして、昨日は気付かなかったが、あれはNさんと言うより、和服を来た人形のようだった。
頭が窓にぶつかる音も、人間の頭と言うより、中身が空洞の人形のような音だ。
C広が、「Nさんって、高熱で寝込んでいたんじゃねーのかよ…」と呟いた。
その時、俺の親父が騒ぎに気付いて、「お前ら何やってるんだ?」と階段を上がってきた。
その声にびっくりしたA也が、思わず腕を窓にぶつけて、ドン!と大きな音を立ててしまった。

"それ”の棒の先にある頭だけが、カクンッという感じでこっちを向いた。
俺達は顔をはっきりと見た。
"それ”は、笑顔のNさんを模した人形だった。ただし、ただの人形ではない。
顔は人形特有の真っ白な肌なのだが、笑顔のはずの目は中身が真っ黒で、目玉らしきものが見えない。
口も同じで、唇らしきものもなく、そこにはやはりぽっかりと真っ暗な、三日月状の穴のようなものがある。
それでも、目や口の曲線で、『にっこり』と言う感じの笑顔だと分かるのが余計に不気味だった。
親父が、「だからお前ら何やってるんだ?」と、窓のところに来てカーテンを全開にすると、
それはサッ!と屋根の影に隠れて見えなくなった。
が、親父にも一瞬、何かがそこにいたのは分かったらしい。
親父は大慌てで1階に降りると、携帯でどこかに電話をし始めた。
どうやら、昼間祈祷をしてくれたおぼうさんや、おじさん達やTさん、Jちゃんの連絡先を聞いていたらしく、
そこと顧問の先生のところに電話しているらしい。

436合宿所のNさん:2015/04/09(木) 23:42:36 ID:dyzAZWXA
その後、影に隠れたきり、"それ”は二度と姿を現さなかった。

朝になり、昨日のおじさんたちや顧問の先生などが俺の家に来た。
とりあえず異常事態ということで、全員を合宿所近くにあるお寺まで連れて行くという。
みんなの親たちも俺の家に来たのだが、
おじさんが「被害が更に拡大するといけないから、親御さんは来ないほうがいい」と言うことで、
行くのは俺達だけになった。
俺達は着の身着のまま車に乗せられ出発した。

昼前にお寺に到着した。
お寺に入ると、ジャージ姿でゲッソリとした感じのE介が、俺達を出迎えた。
E介によると、あれから色々あったが、なんとか今のところは助かっているらしい。
本堂に入ると、お坊さんと昨日のおじさんが、昨晩の出来事を詳しく教えてほしいと言ってきた。

俺達が順番に状況を話していると、人形の姿の説明のところで、
おじさんが「ちょと待った、人形?首が長い?何の話をしているんだ?」と驚いた顔で言ってきた。
そして、俺達が昨日みた人形の姿を改めて説明すると、
お坊さんと、 応援で来たTさんが
「いや、これはNじゃないぞ、どうなってるんだ?」
「おかしいとおもったんだ。色々辻褄が合わない」
と、2人で話し合い始めた。

そして暫らく話し合った後、俺達に状況を説明してくれた。
結論から言えば、『Nさん』に呪われていたのは全くの勘違いで、
どうも俺達に付き纏っているものの正体は、全く別の何からしい。
俺は、今更それはねーだろ…と思った。
Tさんが続けた。
最初状況を聞いたとき、
・Nさんのような姿
・笑い声
・生徒がおかしくなって笑いながら泣いている
と言う状況から、『Nさん』の呪術だと思ったらしいが、
どうも今詳しく話を聞いてみると、『Nさん』の呪術と症状は似ているが、
その活動が、Nさんの何時もの行動と違うらしい。
そもそも『Nさん』というのは、いかにもな陰陽師の格好(それ以外もある)をした成人男性で
笑い声も、俺達の聞いたようようの無い機械的なものではなく、
笑い声といっても、無機質だが人を不安定にする癇に障る高い声だが成人男性のものとの事だった。

437合宿所のNさん:2015/04/09(木) 23:51:42 ID:dyzAZWXA
俺達は途方にくれてしまった。
ぶっちゃけ、Tさんが来れば全部解決すると思い込んでいたのに、
今更「なんだかわからない」では、どうしたらいいのか…

室内が重苦しい雰囲気になり、皆しばらく沈黙していると、Tさんがこう言ってきた。
「とりあえず、Nと関係が有る式神か魔性のものなのは間違いない。
 少し離れたところに、Nの看病をしているJちゃんがいるので、Nの様子を聞いてくる。
 暫らく皆、座敷でまっていてほしい」
そういうと、破ァと手から出した光弾に乗りどこかへ行ってしまった。
俺達は座敷に通され呆然としていた。
おじさんはしきりにどこかへ電話をし、かなりもめているように見えた。

夕方になり、TさんがJちゃんを連れて戻ってきた。
Tさんが戻ってくると同時に、さっきのおじさんが携帯を片手に「えらい事になった!」と、
Tさんのところに走り寄って来た。
話を聞いていると、どうも村の子供が1人、E介と同じ症状でいるところを発見されたらしく、
これからこっちへつれてくるという。
この寺のお坊さんが俺達に、
「とりあえず後で話をするから、ひとまず君たちはさっきの座敷で待っていてくれ」
というと、大慌てでTさんとJちゃんの3人で本堂のほうへと歩いていった。

438合宿所のNさん:2015/04/10(金) 00:00:37 ID:zRpbAweo
それから15分ほどすると、ワゴン車がやってきた。
車の中からは、E介のときと同じように、けたたましい笑い声がする。
車の扉が開き、中から数人の大人と、笑い声を上げる以外身動き一つしない中学生くらいの子供が運び出され、
本堂へと連れて行かれた。

暫く本堂の中から、
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」という、笑い声とお経を読む音が聞こえていたが、
破ァ、矢ァと言う声と障子の向こうでフラッシュを焚いたような閃光と爆発音がして静かになった。

それから更に15分ほどすると、TさんとJちゃんの2人が俺達のいる座敷に入ってきて、色々と説明し始めた。
さっきの子供のほうは消耗が激しいので、本堂に布団を敷いてそのまま寝かせているらしい。
応援でやって来たJちゃんによると、
どうも話を聞いた感じやさっきの子供の様子から見て、
兄の呪術が原因ではなく、何かしら別の良く似た他の呪物が原因ではないかという。
特に根拠があるわけではないけれど、感覚的にそう感じるらしい。

そして、特定個人を狙ったわけではない呪物の類だとすると、と前置きし、
恐らく、祈祷で呪物と貴方たちの縁を切ってしまえば、なんとかなるのではないかと。
そして、できればその人形も供養してしまいたい、とのことだった。

とりあえずそういう話でまとまったという事で、俺達もそれで解決できるなら早くしてほしいと、話がまとまた。
と、その前に、俺はずっと我慢していたのだがトイレに行きたくなった。
事情を話し、「でも一人じゃなぁ…」と思っていると、他のやつも全員我慢していたらしく、
結局6人で連れションすることになった。

439合宿所のNさん:2015/04/10(金) 00:07:20 ID:zRpbAweo
トイレからの帰り道、本堂へ続く廊下を歩いていると、
どこからか「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」という、例の抑揚の無い声が聞こえてきた。
場所は分からないが、あれがすぐ近くにいるようだ…
C広が「近くにいるよな…」というと、
A也が「かなり近いぞ、やばくね?」と返した。
たしかにかなり近い。でも姿は見えない。
すると最後尾にいたE介とD幸が、
「やばい、早く本堂に逃げろ!」と、窓の上のほうを指差しながら叫んだ。

俺達が指差した方向へ振り向くと、それはいた…
前と同じように屋根から頭だけを突き出し、「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」と笑いながら、
例の真っ黒な目と口の顔をこちらに向けながら、ニコニコと笑っている。
俺たちは全力で逃げ出した。

本堂に着くと、Tさん、Jちゃんとこの寺のお坊さんとさっきのおじさんが待っていた。
今になって気付いたのだが、おじさんはどうもこの村の村長さんらしい。
俺達が事情を話すと、お坊さんはすぐさま俺達を座らせ、お経を読み始めた。

暫らくお経を読んでいると、本堂の天井のほうから、
「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」という例の笑い声と、
コツ…コツ…という、俺の部屋で聞いたあの音が聞こえてきた。
俺達はビビりまくって身を寄せ合っていた。
「何の意図があってかは知らんが未成年を狙う悪党め破ァ!」と光弾を放ち「どこに居る姿を現せ」と走り去って行った。

暫らくすると声が聞こえなくなった。
俺が「終ったか?」と言い切らないうちに、
今度は本堂の横の庭のほうから、「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」という声が聞こえ始めた。

そして、薄暗くなり始めた本堂の障子に、夕日に照らされたあの人形のあたまが映し出された。
あたまはユラユラ揺れながら、相変わらずあんぽ不気味な笑い声で笑っている。

440合宿所のNさん:2015/04/10(金) 00:10:59 ID:zRpbAweo
その時、俺は恐怖心と不安感と連日の寝不足で、もう耐えられなくなっていたのと人形を見て声を失っているJちゃんに格好良い所が見せたくて、
ちょっとおかしくなっていたんだとおもう。
人形の影を見て、恐怖心よりもその姿にイラつきはじめた。
ユラユラ揺れている姿を見ると、とにかくなんだか良く分からないがムカついてきて、
とうとう我慢できなくなった。
俺はお坊さんがお経を読んでいる横の鉄の燭台を掴むと、蝋燭もささったまま引き抜き、
周りが制止するのも振りきり障子を開けた。
目の前にあの人形の顔があった。
一瞬俺は恐怖心に襲われたが、怒りとイラつきが勝って、
そのまま燭台をぶら下がっている人形の頭めがけ、
「ふざけんなーーーーーーーーーー!」と叫びながら振り下ろした。

バキッ!という音がして、燭台の先端が人形の顔にめり込み、そのまま人形は地面に落下した。
俺は裸足のまま庭に下りると、更に燭台を振りかぶり人形に打ち下ろした。
すると、なにか頭の中に妙な感覚が芽生え始めた。
人形はそれでもなお、「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」と無機質に笑っている。
俺はおかしくも無いのに笑いたくなり、なきたくも無いのに目からボロボロと涙が零れ落ちてくる。
明らかにE介たちと同じ状況になりつつあるのだが、
それでも俺は燭台を振りかぶり、人形に打ち下ろすのをやめなかった。
あとから話を聞くと、俺はゲラゲラと笑いながら、無表情でボロボロと涙を流していたらしい。

暫らくそんな状態が続いていると、
どうも燭台に残っていた蝋燭の火が人形の服に燃え移ったらしく、人形が煙を上げて燃え始めた。
友人たちによると、人形の「ホホホ…ホホホ…ホホホ…」という笑い声と、俺の絶叫が交じり合い、
薄暗くなり始めた周囲の雰囲気とあわさって、異様な状況だったという。

441合宿所のNさん:2015/04/10(金) 00:27:53 ID:zRpbAweo
それでも俺は、笑い泣きしながら殴り続けていると、
どこを殴ったのかよくわからないが、メキッ!という鈍い音がした。
その途端、俺の中の妙な感情が消えた。
消えたというか、急にシラケてしまったといえば良いのだろうか、
とにかく人形に対するイラつきも、笑いたいという気持ちも、泣きたいという気持ちも、 Jちゃんに格好付けたいという気持ちも
急になくなってしまった。

俺はその場にヘタり込み、友人たちやおじさんが「…大丈夫か?」と心配そうに近付いてきた。
人形はもう笑ってもいないし動きもしないが、燃えたままでは不味いので、
友人たちとおじさんが砂を掛けて消していた。

理由は分からないが、俺は何故か全て解決したような、そんな良い気分になっていた。
この騒ぎの中、お坊さんはずっとお経を読み続けていたらしい。
人形(もう殆ど残骸に近かったが…)の事は明日詳しく調べる事になり、
箱に入れてお札を貼り、本堂に安置する事になった。
俺達はお坊さんの好意で、そのままお寺に泊まることにした。

翌朝。俺達は本堂に呼ばれた。
どうやら、お経のお陰なのか、俺がぶち切れたのが原因なのか、理由ははっきりしないが、
どうも一応解決はしたらしい。
そして、人形はこのままこのお寺で供養する事になったのだが、
結局この人形は、Jちゃん手作りの物らしい。なぜ、あんな不気味な出来になったのかは謎なままだった。

ただ、燃え残った人形の胴体に、焼け焦げ消えかかった文字で、
『Nさんの誕生日』の記述と、完全に燃えて文字数しかわからない作者の名前、
それと、はっきりとは分からないので、残っている文字の痕跡からの推測だが、
『兄様へ』という単語が読み取れた。
Tさんが言うには、何故そうなったのかは解らないが、Jちゃんが幼い時にNさんの誕生祝いに作った人形である事はまちがいないらしい。
燃え残った残骸に、頭と動を繋ぐ棒の部分があったのだが、
そこにびっしりと、二浪への不安や一発合格したTさんへの嫉妬、全裸を見られたJちゃんにどう接して良いか解らない悩みなどが書かれていて、その負の感情が呪物と化した原因らしい。

その後、今に至るまで、俺も含め当時のメンバーには、知る限り何も起こっていない。
あの時、呪物と化したとは言え自分が丹精こめて作った人形を叩き壊された怒りがあったのかJちゃんは連絡先を教えてくれなかった。
巫女さんはガードが固い俺はそう思った。

442寺生まれの名無しさん:2015/04/10(金) 10:59:00 ID:A0yshrWQ
>>441
大作きた!
渦人形だっけ。うまく出来てるなー

443( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/04/10(金) 18:32:25 ID:TQGcWKbU
合宿所のNさん…じっくり読ませて貰います!

444合宿所のNさん改めN人形 追記:2015/04/10(金) 21:16:21 ID:zRpbAweo
Tさんが本堂を飛び出した後、戻って来るまでの間に何をしていたのか。
Tさん曰く似た感じの別の人形と追いかけっこをしていて時間を稼がれたとの事だ。
姿を知られていない事を利用し自分と似た妖気の俊敏に動ける身代わりを用意して時間稼ぎに徹させる。
その間に誰かに取り憑くか目標を祟り殺すかして目標を達成するとN以上に狡猾な奴で自分も一杯食わされた。破ぁ・・・とため息を吐いていた。
人形(残骸の一部だが)を見たNさんはJちゃんが小学校入学前後に作った人形の方が自分の呪物より出来が良かった事にショックを受け失踪したらしい。

Nさんは受験の失敗、得意とする呪物で妹に完敗から全てを呪うようになったらしい。
呪い屋は面倒だ。面倒だから呪い屋なのか、そう思った。

追記
寺の本堂でTさんに破ァされ、Jちゃんにも矢ァされた子供は半月ほどの通院で済んだようだ。
注連縄に興奮する以外、これと言った後遺症は無く元気に過ごしているらしい。
本堂の中で何があったのか誰も話そうとはせず謎なままだ。

合宿所のNさんよりN人形の方がしっくり来る。

445chikatomo★:2015/04/11(土) 23:23:28 ID:???
>>426
テンジンキ書いたの恥ずかしながら私なんですが、正直そこまで考えておりませんでした…。
神社生まれの、と書いたのはJちゃんの兄であることを強調するため、
それと昔は「寺生まれのTさん」ではなく「寺生まれで霊感の強いTさん」という言い方が多かったかと思うのですが、
それに倣って「神社生まれで巫女のJちゃん」、「神社生まれで呪い屋のNさん」というような考え方をしておりました。

446☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/12(日) 17:58:16 ID:rbKDfgIk
>>445
な、なんだってー(゚Д゚)

447☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/14(火) 01:07:32 ID:qe0RAP3s
さて衝撃の事実が判明しましたが、もう1つお聞きしたいことが

Q1.元ネタの登場人物と「寺生まれのTさん」のメンバーの名前が被っているではないか!あなたはどう読みますか?
1.特に気にしないで読む
2.Tメンと関わりがあるのではないか?と考えながら読む


ちなみに自分は2です
>>372の「お別れ会」に登場したN先生はNさんの父親か祖父だと考えております。
また親(またはその親)世代からの付き合いがあることも、Nさん救出にTメンが奮起する理由になっているのでは…と勝手に妄想して読みました


皆さんに聞いてばっかりでスミマセン

448☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/14(火) 01:36:19 ID:YaR6hWQo
…と今までNさんについて勝手に考察してみてなんだが
Nさん最近小物臭くなってないか…?


無理矢理こじつけてみよう…
受験失敗したNさんは肥大化した負の念(怨念)が生き霊となって
Nさんから分離して悪行を繰り返している
本体は生き霊(魂)が抜けてしまったことにより、生気をなくしてしまった。
TさんKさんJちゃんはNさんを元に戻すために…(以下略)

いや、そうすると裸で走ってきて「ンー!!ンー!!」してたのはどう説明すればいいんだ?

専門家の皆さん教えてください

449寺生まれの名無しさん:2015/04/14(火) 03:50:19 ID:4QbMs4bk
>>448
専門家w誰やねんwww

450( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/04/14(火) 18:27:25 ID:y5cRtiYI
>>447

私もどちらかと言えば2ですね。
というより、ちかともさんのところの記事でTとかKとかいう人物が出ると、寺生まれ?教会生まれ?とかってなってしまいます(笑)

451寺生まれの名無しさん:2015/04/15(水) 00:15:39 ID:UWPkopQQ
>>447>>450
ほぼ同じ。関係ないとは思っているけど、イニシャル見ると頭の片隅で連想してる自分がいる。

452寺生まれの名無しさん:2015/04/15(水) 00:16:32 ID:UWPkopQQ
じゃあ短時間で書いた簡単なTさんでも。

仕事帰りの夜11時頃、サンクスに寄った時、俺が店に入った時からレジ付近にいたおばさん。
55歳くらいで目に生気がなく、ジーーーーーっとこちらを見てきた。
俺はゾクっときたので、さっさとタバコと生茶買って店をでようとした。
出る際、自動ドアに店内反射して映るじゃん?そのおばさん、まだジーーーーーと俺を見ているのがわかった。
なんだよ、まじでと、怖くなり足早に車に乗り、飛ばして走った。
俺の家は人通りの無い所にある。家が見えた。家の前に人影が見えた。
さっきのおばさんだ。
なんで?俺を追い越せるはずがない。てかなんでいるんだ?
俺は混乱し、なぜかパッシングした。
おばさんは微動だにせずまたジーーーーーとこちらを見ている。
俺は車を車庫にいれ、おばさんを見ないように家に入った。
家の中のカーテンの隙間からソッと外を見た。

まだいる。まだ見ている。

そして今もいる。

足元が震えてくる。
幽霊? でもそれにしてははっきり見える。
生きてる人? だとしたらどうして家の前にいる?
もうどちらにしても怖い。
足が震える。
警察に電話しようか。それともどこかお祓い……。

その時だった。
「破ァッ!」
という掛け声とともに青白い閃光が走った!

カーテンの隙間からもう一度ソッと外を見る。

なにもない、いつもの夜道が広がっていた。

453( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/04/15(水) 18:11:42 ID:SpN8LR8U
>>452
読んでてなぜかゾクッとしました…

454寺生まれの名無しさん:2015/04/15(水) 21:18:11 ID:DAe.gqIk
これはTさんが出ていても怖い。

>>447
自分は1.と2.でその都度脳内設定を変える。

455寺生まれの名無しさん:2015/04/16(木) 14:02:26 ID:xJsqqN/s
昨日の夜11時ころ、休日出勤から帰宅した時のこと。

コンビニ袋ぶら下げて自宅アパートの前に差し掛かると微かに猫の鳴き声が聞こえる。
あの発情期の何とも言えない声。
こんな時期に季節外れだなと思いつつ、なんとなく上の方を見ると、7階(最上階)の端の部屋のベランダに
何か白っぽいものが動いてるのが見える。
あー、あんな所に猫居るわー。と思ってホールへ入ろうとした時にビールを買い忘れてた事に気づいた。
着替えて出直すのも面倒なので、そのまま近所のコンビニへ戻る。

買い物を終えてアパートの前に戻ってくると、さっきより猫の声が大きい。
上を見ると7階のベランダには猫がおらず、なぜか6階のベランダにいる。
え?どうやって移動した?・・・でもまぁ猫だからな。とスルーして帰宅。

風呂入ってコンビニおつまみでビールを飲んでると、また猫の声が聞こえ始めた。
ちなみに俺の部屋はさっきの猫が居たベランダと同じ列の3階。
もしかしてあの猫あのままどんどん下の階に降りてきてるのか?と思ってカーテンを開けると、目の前を
裸の赤ちゃんが泣きながら落ちていった。

え?猫の鳴き声じゃなくて赤ちゃんの泣き声?って言うか落ちてってたけど!?

慌てて窓を開けベランダに出て、下の駐車場を見たが赤ちゃんが落ちた様子はない。
見間違いか?
ヤバイな、今日はもう早く寝ようと部屋に戻ろうとした時、自室のベランダの端の白いものに気づいた。
猫がいた。白くて目が赤い猫。
赤ちゃんの泣き声のようなあの鳴き声で鳴きながら近づいてくる。
思わず「うわ!ううわわ!あああ!」と声を出してしまい、おもいっきり窓を閉め……ようとした時だった。

「破ァァァァァッッ!」
俺の悲鳴なんて霞むほどの掛け声が聞こえたかと思うと青白い閃光が走り、思わず目を瞑った!

ゆっくり目を開けると、ベランダにはさっきの不気味な猫は居なくなっており、代わりに袈裟姿の一人の男が赤ちゃんを抱いて立っていた。

これは噂の寺生まれで霊感の強いTさん!

「ふぅ、やれやれ。やっとこのいたずら坊主を捕まえることが出来たぜ。
おっと、君はこの部屋の住人か?
破っはっはっ。お騒がせしてしまって済まなかったな」

「い、いえ!まさか寺生まれのTさんが除霊に来てくれるなんて……光栄です!」
「おいおい、よせよ!俺は俺のやるべきことをやってるまでよ!」

そう言って照れるTさん。
まだ若い精悍な顔つきをした青年だ。
Tさんが顔を上げ、ふと視線が外れる。
その瞬間Tさんの顔色がさっと変わったかと思うと、

「おっとこうしちゃいられねーや。まだまだ俺を待ってる亡霊共がたくさんいるからな!
じゃ!」
そう言ったかと思うと、赤ちゃんを抱えたままベランダの手摺を飛び越えて夜の闇に消えていってしまった。

え!?ここ、3階……。

やっぱり寺生まれってすげえ、そう思ったとき、さっきTさんが顔色が変わったところが気になって見てみた。

窓ガラス一面にヒビが!!

やっぱり寺生まれのTさんっていろんな意味で噂通りだぜ、と俺は思った。

456寺生まれの名無しさん:2015/04/16(木) 14:13:16 ID:xJsqqN/s
20年以上前の話です
春に家族で鳥取に一泊の旅行に出かけました、
乗馬体験をしたのでおそらく大山の牧場だったと思う

乗馬体験っていってもオジサンが引っ張るポニーに股がって環状のコースを一周するだけの簡単なやつ
家族に見送られて出発して一周し終わる頃、家族に混じって知らない女の人が手を振ってるのが見えました
誰だろうと思いながらも終点に到着 知らない女の人はやたら馴れ馴れしく接してくるし
おかしな事にお母さんが見当たらない、「お母さんは?」って聞いても家族は不思議な顔をするばかり
知らない女の人とお母さんが入れ替わってました

暫く立ち直る事が出来ませんでしたが 今ではその女の人がお母さんだと思って生きてきました。

ところが昨日の夜生まれて初めての金縛りにあって。
そんなに怖くはなくて、これが金縛りかー、ホントに動かないなー、とか思ってたら、急に体に何かがのしかかるような感触が。

無理やり、目だけ動かしてお腹のほうを見てみると、袈裟を来たお坊さんのような人が乗っているようです。

「やっと見つけたぜ、グヘヘ」
お坊さんの気持ちの悪い声が聞こえます。
「今からお母さんを乗っ取った悪いもんを祓ってくるからな、グヘヘ」
やはりあの牧場の記憶は……。
それよりもお腹の上のお坊さんが気持ち悪いです。
「ちょっと騒がしいかもしれないから一応挨拶をと思ってな、グヘヘ」
お坊さんが訳のわからないことをいいます。
「じゃ、行ってくるかな」
お坊さんがそういった時体がふっと軽くなりました。

その一瞬後。
破ァッ! っという掛け声が聞こえたかと思うと、地震のように家が震えました。

そのまま私は金縛りが解けたのかどうか確認するまもなくまた眠りに入ってしまったようでした。

朝になりキッチンに降りて行くと。
あの日から見なくなっていたお母さんが笑顔で朝食を作ってくれていました。

これが私の唯一の不思議体験です。

457寺生まれの名無しさん:2015/04/16(木) 14:23:43 ID:xJsqqN/s
もうすっかり夏なので、この前、幽霊アパートに住む先輩のところへお泊りに行った

先輩のアパートの家賃は、水道代や共益費、全部込みで基本14,000円
築五年、鉄筋三階建て、フローリング、1LDK、風呂トイレはセパレート
駅まで自転車で十分、大学まで歩いて五分
おまけに、(別契約だけど)駐車場まで完備ときたら、これは破格の条件だ

それなのに、住人がころころと変わるのは、やはりここが幽霊アパートだからだ
夜中の廊下で、子どもがはしゃいで、走り回る音がする
ドアにべったりと貼りついて、何やらぼそぼそ喋る女が出る
壁のポスターはぎょろりと目が動き、部屋の風呂からはシャワーの音がする
屋上からは血まみれの男が飛び降りて、駐輪場では満面の笑みを浮かべたお婆さんと遭遇する

先輩の部屋に泊まった奴らは、口を揃えて「変なもんを見た!」と言う
でも、俺はどうしても信じられずに、とうとう、先輩の部屋に泊まってしまった

そして、見た。

夜空が光り輝いているのを。逆光を受けた誰かが、ベランダで手招きしているのを
彼か、彼女かも分からない誰かは、執拗に手招きを繰り返し、俺を誘う
その時「破ァッ!」 という轟音が鳴り響いたかと思うと、手招きしてる誰かが霧散していく
代わりに立派な袈裟をまとった何者かが俺に近づいてくる
金縛りにかかっていた俺は、目を閉じることもできずに、気を失うまでその光景を見ていた

翌朝、俺は考えを改めた
幽霊って、やっぱりいるんだと
心霊体験って、実際にあるものなんだと
それに、守護霊。こいつも絶対に存在するんだと、俺は確信した

「よう、小杉君! よく眠れたか?」

えげつない幽霊アパートに泊まっている先輩
タンクトップからはみ出た彼の筋肉は、朝日を浴びて今日も立派に輝いていた

早寝早起き、快食快便、好き嫌いなく何でも食べる
健康優良児の名をほしいままにしている先輩は、幽霊を見たことがないと言う
自分の住んでいるアパートの、どこが幽霊アパートなんだと首を傾げている

本当は幽霊なんて気のせいだとしても、守護霊は確実にいる
大学のトレーニングルームでベンチプレスに励む先輩を見て、俺たち後輩は何度も頷いていた

458寺生まれの名無しさん:2015/04/16(木) 14:25:01 ID:xJsqqN/s
以上3話、シンプルを心がけて書いてみました!
それでもまだ冗長か……。

459☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/04/16(木) 15:13:42 ID:HjbHtqNs
>>458
どれも短いので通学&帰宅中の読み物に最適でしたよ〜

そして2つ目の、ちょっと言動がキモいけどやることはちゃんとやって去るTさんが好きです


GT!

460( ☆∀☆)テラウマレッテスゴイ!!:2015/04/16(木) 18:22:08 ID:p4/UKnvc
>>452
何回読んでも怖い(笑)

>>456
グヘヘってTさんどうした?(笑)

461近所のラーメン屋駐車場で:2015/04/17(金) 09:17:15 ID:n2sFEWSU

3月頃、深夜の帰宅途中に近所のラーメン屋駐車場で
泣きながら店の入り口に貼りつく幼女を見た
気になって観察してたら、どうも車と店先を何度も往復してて
店に入りたいのに入れない様子

嫁が一緒だったんで「どうしたの?ママ中にいるの?」と声かけたら無言でコクリ

見れば春先の花冷え陽気な深夜に女の子は半袖ワンピ一枚で震えてる

とりあえず俺のスカジャン被せて嫁が抱っこして
親が出て来る可能性に賭けて十分だけ待つ事にした
嫁は「保護して警察連れてこうか」っつったけど誘拐と間違われても厄介だし

しばらくしたら男連れの30代くらいの女がバカ笑いしながら出てきて
俺らに気付いた

そしたら女の子が「あっ、ママー」って手を伸ばしたから
嫁が「お母さんですか?この子店の外で泣いてたんで・・」って説明しようとしたら

黙って女の子を引ったくって上着投げ返してよこして

女の子の頭叩いて「あたしらが食べてる間は車で待ってろっつったでしょ!!」と怒鳴りつけた
連れの男(どう見ても父親には見えない20代DQN)は横でヘラヘラ笑ってた

「そこまでだ」寺生まれで生まれつき霊感が強いTさんだ

TさんがDQN男に手のひらを向けて「正体を見せな」と呟くとDQN男は黒い靄に包まれた化け物に変わった
「こんな母親に取り付くか、この小悪党め!破ぁぁぁぁっ!!」

Tさんがそう叫ぶと化け物は青白い光に包まれて消滅した

「小物は幼子の魂を食らう時まず親の魂を狂わす、まあよくある話だな」
Tさんはそう言い残して何事も無かったようにラーメン屋に入っていった

寺生まれって本当に凄い、泣きながら女の子を抱きしめつつ謝る母親を見てそう思った

462ステルビャー:2015/04/17(金) 09:19:55 ID:n2sFEWSU
駅前のちょっと大きなゲームショップにソフトを買いにいった。
夏休みで周りはガキばっか。

そこに20代中頃の無精ひげを生やし太った、一目で判るようなオタク息子と、
母親(酷くやつれていて祖母さんかも)らしい二人連れが入ってきた。
財布を持ってオドオドしている母親を尻目に、息子はPS2を抱えてレジへ。

いい歳こいて、ひでぇ息子も居たもんだ、と見ないフリして見ていたら、
急に息子が、

「ステルビャー(?)くれ!!あるんだろ!早く!!売ってくれよ!!」

店内に響きわたる大声で怒鳴り始めた。
店員は怯えきった表情を浮かべながらも説明していたが、息子は怒鳴り散らすばかり。

店内のガキたちの目は、レジ釘付け。それに気づいた母親が息子をなだめ始めた、
と思った瞬間、息子が母親の腹をパンチ!

463ステルビャー:2015/04/17(金) 09:20:43 ID:n2sFEWSU

と思いきや何者かが息子と母親の間に割り込んだ
寺生まれで生まれつき霊感が強いTさんが腹でパンチを受け止めていた!

「小物の拳なんざ俺には通用しないぜ・・・正体を見せな」

Tさんがそう言うと息子がバタリと倒れ
そこから形容しがたい黒い塊のようなモノが現れた

見るに耐えない酷い光景だった・・・

しかしTさんは、店員と母親を下がらせて
「人の負の感情を増幅させて結界を広げる小悪党め!破ぁっっ!!」
と青白い光弾を撃ち込んだ!
断末魔の悲鳴を上げて消える黒い塊!!

「これで解決だな、息子さんも半日もすれば目覚めるだろう、送っていくぜ」
母親はPS2とゲームの代金を支払って、Tさんと息子を担いで帰って行きました。
寺生まれって本当に凄い、改めてそうおもった

464寺生まれの名無しさん:2015/04/17(金) 13:26:53 ID:Woet./Bw
>>461
スッキリした!

465寺生まれの名無しさん:2015/04/17(金) 13:28:42 ID:Woet./Bw
>>463
母親さんが担いで!?

466この間までわんちゃん飼ってました:2015/04/17(金) 14:26:13 ID:n2sFEWSU
この間までわんちゃん飼ってました。
でも家族で旅行にいくということで泣く泣く保健所にいきました・・・

両親はわんちゃんか旅行か選べといわれ、泣く泣く旅行を選び、
家族でわんちゃんを保健所につれていきました。

わたしは泣いてました。
弟も泣いてました。
母親は「命の尊さがわかったわね」といってくれました(´;ω;`)よくわかった出来事です。

みなさんも命の尊さをわかってください(´;ω;`)

467この間までわんちゃん飼ってました:2015/04/17(金) 14:27:32 ID:n2sFEWSU

「ああ、命は尊いものだ、破ぁ!!」
Tさんがそう叫ぶと私たち家族にある記憶がよぎりました
わんちゃんがうちに来た日のこと、初めて散歩に言ったときのこと

いつでもわんちゃんは私達と一緒にいてくれました

「今なら間に合うぜ、行ってきな」

その言葉を聴いて私は勢いよく家のドアを開け走り出しました
気がつくと弟も母も、父までも走り出していました

すんでの所で間に合い私達は何度も、何度も、わんちゃんに謝りました
 
寺生まれって本当に凄い
家族とわんちゃんも一緒に連れて行ける旅行先を探しながらそう思いました

468寺生まれの名無しさん:2015/04/17(金) 19:40:37 ID:fGkoUhTc
>>327
イザナギとイザナミのお話書いてみました!
長文になってしまいました!

469伊邪那岐1:2015/04/17(金) 19:47:13 ID:fGkoUhTc
まだ日本という国も形作られる前の遥かな昔のこと。
天上に神々の住まう高天原《たかまがはら》というところがあった。

ある時天上の神々が生まれたばかりの下界を見下ろすと、そこにはドロドロの海にクラゲのようなものが漂うばかりで、陸地は全く形作られていなかった。

「このままではいかんなぁ」
「そうだなぁ」
「そうじゃ。誰か使わして手を入れようや」
「それがいい、それがいい」
「おい、イザナギとイザナミを呼んで来い」

話し合いの末、神々は『伊邪那岐命《いざなぎのみこと》』、『伊邪那美命《いざなみのみこと》』の二人の神を呼びつけた。

「ちょっと下界作ってきてくれる?」
「えー、俺達っすか?」
「偉い神様……私たち新婚……」
「でも二人とも能力高いしさー、サクサク作っちゃいたいのよ。それに下界にも神をたくさん作って置いときたいしさ。新婚ならちょうどいいじゃん?」
「ふたりで遊んでたかったなぁ」
「でもあなた……そろそろ子作りも……(赤面)」
「そっかぁ(ニヤケ)? じゃあ仕事して来ちゃうか!」

「おぉ、行ってくれるか! じゃあこれを持って行くといい。かなり工数減らせると思うよ!」
一人の神が二人に聖槍『天の沼矛』を差し出した。

「下界の途中まで橋だけ渡しといたからさ。じゃ、頑張ってね!」


--


天界から大きく下界に向けて張り出す橋に2人は到着した。
「あなた、着いたわね」
「おぅ、ここが『天の浮橋』かぁ。うわぁ、ホントにドロドロだぜ」
イザナギは橋から身を乗り出して下界を見つめる。
「このドロドロが私達の世界になっていくのね……素敵」
「よし、じゃあパパ頑張っちゃうぜ~」

イザナギは天の沼矛を翳すと、下界をかき混ぜ始める。

「おぉう、結構重いな!」
「あなた! 頑張って!」
「よっしゃあ!」

ドロドロドロドロドロ

「あなた! なんか固まってきてる!」
「よっしゃあ! まだまだぁーー!!」

ドロドロドロドロドロ

「あなた! ますます固くなってきてるわ!!」
「そうだな! そろそろいいだろ」

イザナギが天の沼矛を引き上げると、槍の先から雫がポタポタと垂れ落ちる。
すると、その雫一つ一つが陸地を形作っていった。

「あなた! 島よ! 島が出来てる!」
「イザナミ! 上手くいったな!」
「早速降りましょう。わたしたちのく・に・へ♪」

二人は手をつないで仲良く、できたばかりの陸地に降り立っていった。

「ここが最初に出来た島だな。しっかし上手く固まったもんだぁ。さすが神さんの槍だぜ」
「なに言ってるの。あなたのチ・カ・ラ・よ♪」
「お前こそ何言ってるんだよー。イザナミの応援のお・か・げ・さ!」

めんどくさい二人は最初にできた島に「おのころ島」と名付けると、早速御殿を建て始めた。

「新居! 新居!」
「新居♪ 新居♪」

張り切るイザナギはあっという間に二人の新居、というにはあまりにも立派な御殿を建てた。

「あなた……立派なお家ね……(ウットリ)」
「お前のためさ、イザナミ! ここ見てくれ! システムキッチンにしたんだ!」
「素敵! たっくさんあなたの好物をこしらえるわ!」

嬉しそうなイザナミにすっかり満足するイザナギ。
幸せそうな妻の顔を見てるとふと閃いた。

「そう言えば、俺達まだ式挙げてないよな」
「そうね。だって天界の式場は予約でいっぱいなんだもの」
「どうせだったらさ。天界のしけた式場なんかじゃなくて、ここで盛大にやろうぜ!」
「いい考えだわ! 早速お友達に連絡しなくっちゃ!」
「それに一度神さんにも陸地出来たって報告しとくか。じゃ、一旦天界戻ろうぜ!」

再び二人は天の浮橋を通って、手をつなぎながら天界に戻っていった。

「お、もう戻ってきたのか。やっぱり若いモンは早いの~」
「神さん、一応もう陸地は出来たぜ!」
「さすがじゃの」
「で、新居ももう造ってきててさ。そこで結婚式を挙げようと思うんだ!」
「それはいい考えじゃ! 下界の落成式も含めて盛大にやろうぞ!」

結婚式は豪華絢爛を極めた。
神々からの大量の贈り物。飛び交う祝福。
二人は幸せの絶頂にいた。

酔っ払った神々が踏みしめた大地は徐々に広がっていき、現在の本州、四国、九州を始めとした陸地が形作られていった。

470伊邪那岐2:2015/04/17(金) 19:53:03 ID:fGkoUhTc
七日七晩続いた宴も、やがて終わりに近づいていた。

「ふぅ、よく呑んだわい。ちょうど陸地も踏み固められていい具合になったのぉ。
 それにしてもこんなに早く国造りをやってのけるとは、たいしたもんじゃ。ふざけてばかりいると思って追ったが……。
 案外お主のような者がこれからの世界を導いていくのかもしれんのぉ。
 まあよいわい。
 イザナギ、イザナミ、後のことは頼んだぞ!」
「おー、任せとけ、神のおっちゃん! 元気な赤ちゃんたくさん産んだるから、上からよっく見とけやー」
「おいおい、ちょっと飲み過ぎだぞ、イザナミ」



翌日。

「お・は・よ! あなた」
イザナミの甘い声にイザナギに届く。
眠い目をこすって、窓を見ると薄っすらと夜空が白み始めていた。

「おはよう、イザナミ……。なんだ、早いな。もうちょっと寝かせてくれよ……ムニャムニャ」
「だめよ、あなた! 今日からいっぱい励んで家族を増やすのよ!
 ほら、今日はいい天気になりそうよ。お布団干してご飯にするわよ♪」

イザナミはイザナギがぬくぬくと眠る布団を剥ぎ取ると、さっさとキッチンに向かっていった。
「やれやれ」


朝食後。
「はい、あなたコーヒー」
「おう、ありがとう」
イザナギは愛妻の淹れてくれたコーヒーに口をつける。
イザナミ特製の、『かつサンド』でやや脂ぎった口腔に、重厚な苦味が広がっていく。
イザナギはいつものエスプレッソに満足しながら、イザナミに尋ねる。

「それで……どこから手を付けようか?」
「そうねぇ。昨日までの宴で結構陸地も広がってきたじゃない?」
「そうだな」
「この広さじゃ私達だけじゃ目が行き届かないわ。掃除も大変。
 まずそれぞれの島に子供たちを作って置くっていうのはどうかしら」
「ナイスアイデアだ、イザナミ! それじゃ早速……」
「ふふふ、あなたったら朝からなんて……」


うぉりゃあああああああああああああああああ
あーーーーーーーれーーーーーーーーーーー

本州の神、四国の神、九州の神、蝦夷の神が生まれた!


「ふぅ、これで島々は安心だ。イザナミ、次はどうする?」
「そうねぇ。陸地と海ばっかりでちょっと殺風景よねぇ。海も治めるものがいなくてドロドロのままだし。それぞれに子供を担当させるのはどうかしら?」
「ナイスアイデアだ、イザナミ! それじゃ早速……」
「ふふふ、あなたったら連日なんて……」


うぉりゃあああああああああああああああああ
あーーーーーーーれーーーーーーーーーーー

海の神、山の神、川の神、土の神、石の神、風の神、雨の神が生まれた!


「ふぅ、これで自然が形作られていったぞ。イザナミ、次はどうする?」
「そうねぇ、美しい景色は手に入ったけど、もっともっと種類が必要ね。子供たちにも娯楽が必要だし。この際、いろいろ創っちゃうのはどうかしら?」
「ナイスアイデアすぎるぜ、イザナミ! それじゃ早速……」
「ふふふ、あなたったら、逞しい……」

うぉりゃあああああああああああああああああ
あーーーーーーーれーーーーーーーーーーー
うぉりゃあああああああああああああああああ
あーーーーーーーれーーーーーーーーーーー

粘土の神、花の神、魚の神、動物の神、火の神……とにかく多くの神々が生まれた!


「はぁはぁはぁ……」
「はぁはぁはぁ……。頑張りすぎたな……」
「ううう」
たくさんの子供たちを生まれ、たくさんのものが手に入ったイザナギだったが、ふと妻を見ると、喜んでくれると思っていたイザナミがお腹を抑えて苦しんでいる。
「ど、どうした!?」
「あなた……お腹が……焼けるように痛いの……」
見るとイザナミの下腹部が大やけどを負っている!

「お前! どうしたんだこれは!!」
「きっと最後に産んだカグツチね……」
「あの野郎!!」
「あなた! あの子を叱らないであげて。あの子はただ生まれてきただけ。この世界を見たかっただけ。あの子が望んでこうしたんじゃないもの……」
「そ、そりゃあ、そうかもしれないだけどよ……」

そこにやんちゃな末っ子『火の神カグツチ』がちょうど帰ってきた。
「ただいまー」
「お、おかえり……カグツチ……」
「ん? どうしたんだ母ちゃん、お腹なんて抱えて。また子供か?」
そう言うとニヤリと笑う火の神。
あまりにも軽い末っ子の態度がイザナミの癇に障る。

「おい、カグツチ!ちょっとここに座れや!!」
イザナギは末っ子を目の前に正座させる。
「なんだよ、父ちゃん。俺帰ってきたばっかりで疲れてるんだけど。竈《かまど》の神の兄ちゃんは俺がいないとなんにもできないしさぁ」
「カグツチ、この野郎!」

471伊邪那岐3:2015/04/17(金) 19:53:24 ID:fGkoUhTc
バチーン!!
イザナギが生意気な末っ子の頬を張る。

「なにすんだ!」
カグツチは頬を抑えながら、ギラついた目で父親を見返す。

ボゥッッ!
室内の温度が急上昇していく。
火の神カグツチは真っ赤な炎を纏い、今にも父親に飛びかからんとしている。

ガチャッ!
対するイザナギは、床の間に据えてあった、聖槍『天の沼矛』を手に取ると、中段に構える。
青白い闘気を纏い、火の神を迎え撃つ態勢をとった。

一色触発の空気。
ほんの少し動くだけで燃え盛り、弾け飛びそうな空気の中、イザナミの悲痛な声が響く!

「やめて!もう止めなさい!!」

「……」
「……」

先に構えを解いたのはイザナギの方だった。
「済まなかった、カグツチ。……そうだな、わざとじゃないんだもんな」
「ふん」
火の神カグツチもその身に纏う炎を収めると、そのまま身を翻し、つまらなそうに家を出て行った。

「ごめんなイザナミ。お前が注意してくれていたのにもかかわらず……」
「いいのよ、あなた。私を心配してくれただけだものね」
イザナミは腹部を抑えたまま弱々しい、しかし慈しむような笑顔を夫に向けた。
「今日はちょっと早いけど休ませてもらうね」
「あぁ、お休み……」
寝室に向かう妻の後ろ姿を、イザナギはいつまでも心配そうに見つめていた。



翌日。
「お・は・よ♪ あなた」
体調が悪いにもかかわらず、イザナミは今朝も先に起きだしてくれていた。爽やかなコーヒーの香りが漂ってくる。
イザナギは妻の優しい声で目を覚ました。
「おはよう。どうだい、体調は?」
「えぇ、もう大丈夫よ。さ、ご飯にしましょ」
笑顔でキッチンに向かうイザナミ。

しかし……。
どう考えても昨日の今日で良くなっているはずがない。
俺を心配させまいとして気丈に振舞っているんだろう。

キッチンに向かうイザナギ。
バターとミルクのいい匂いがする。
美味しそうなフレンチトーストがちょうど焼き上がったところだった。

「さ、ちょうど出来たわ。あなた食べましょ?」
「いただきます! モグモグ……。
 おお! 今日もうまいぜ、イザナミ!!」
「良かったわ。たくさん焼いたからどんどん食べてね♪」
「勿論いただくぜ! それはそうとさ、イザナミ。もうちょい休んでろよ」
「もうイザナギったら。もう大丈夫だってば、心配屋さんね」
そう言いながらイザナミは夫の頬に軽いキスをする。

「今日も子作りするわよ♪」
「おいおいなに言ってんだ。まだダメだ! まだ火傷だって癒えてないだろう」
子作りは魅力的だが、妻の体が心配なイザナギは慌てて反論する。
しかしイザナミは真剣な顔で夫を諭すように話し始めた。
「でももう国作りは始まってしまっているわ。今は万物に神を置いて、秩序と調和が必要な時。私達の大事な国を守っていくためにも、各地を治めてくれている子供たちのためにも、今は頑張らないと!」
「し、しかし……」
「ほら! もうその話は終わり! 早く食べちゃってください、あ・な・た♪」
「お、おう……」

(確かに国作りのことを思えば、イザナミの言うとおりではあるが……。大丈夫だろうか……)
モグモグ

472伊邪那岐4:2015/04/17(金) 19:53:43 ID:fGkoUhTc
「さぁ、あなた。大事なお国のためよ。頑張りましょ!」
迷いながらも妻の言うことに逆らえないイザナギ。
「ほら、どうしたの? 来なさい、あ・な・た♪」
魅惑的な妻の姿に先ほどまでの逡巡も吹き飛ぶイザナギ!
イザナミ本人が大丈夫だと言っているんだ。
ここでイカなきゃ男じゃないぜ!


うぉりゃあああああああああああああああああ
あーーーーーーーれーーーーーーーーーーー

池の神、湖の神……多くの神々が生まれた!
イザナミを見ると気丈に振る舞ってはいるが明らかに弱っている!

「たくさん産まれたわね……。
 さぁ、あと少しよ、あなた……」
「イザナミ! もう十分じゃないか! もう多くの神をお前は産んでくれたじゃないか!」
イザナギも今度ばかりは、涙を流しながら訴える。
「いいえ、あなた。まだよ。もう少しだけ、もう少しだけ頑張りましょう」
「でも!」
イザナミは真っ直ぐイザナギの目を見つめる。

ふぅ、本当に頑固な奥さんだ。
「全ては子供たちのため……か?」
「そうよ。中途半端は争いを産む。私はこの私達の国を秩序と平和が支配する国にしたい。そんな国を作りたい」

透き通るような瞳でまっすぐ夫を見つめる。
涙が流れるままになっている夫も諦めたように首を振る。

「分かった。俺達の国。俺達の子供。そしてそれはイザナミのためでもあるんだもんな。最後までやりきろう」
「ありがとう、あなた……」
イザナギとイザナミはお互いに涙を流しながら抱き合った。

うぉりゃあああああああああああああああああ(涙)
あーーーーーーーれーーーーーーーーーーー(涙)


水の神、谷の神、鉄の神……八百万の神々が揃った!!!


その夜。
「あなた……ごめんなさい。無理を言って……」
既に身を起こすこともできなくなったイザナミがベッドに横たわっている。
「イザナミ……お前こそ無理しやがって……」
イザナギは痩せて骨張った妻の手を優しく擦る。

スリスリスリスリ。
「こんなになるまで頑張りやがって……」
スリスリスリスリ。
「あなた……。あなたの体温が気持ちいいわ……」

もうイザナミの先は永くない。
やっぱりあの時。
火の神を産んだあの日。
秩序を失ったとしても……、この国を失ったとしても、イザナミを無理させるべきじゃなかった。

イザナギは後悔に咽び泣く。
そんな姿を見て妻は少し悲しそうな顔を夫に向ける。

「あなた……。あなたがそんな顔をしていては、私は黄泉へ旅立てないわ。
 こんなことになって、あなたには本当に申し訳ないし、この国がどう発展していくのか見れないのは少し残念だけど……、あなたも私も頑張ったでしょう? 最後は笑って見送ってほしいわ……」
イザナギは妻の小さな手を両手で包み込む。
「ウッ……ウッウッ……、イ、イザナミ……」

もうすぐで空が白み始めようかという刻、イザナミは弱った顔に精一杯の笑顔を浮かべて黄泉の国へと旅立っていった……。
「ウォォォォォォォォ、イザナミーーーー!!!」
その新しい国には妻を失った男の慟哭が木魂した。


イザナギはイザナミの体をキレイに清めると、出来たばかりの国の中でも、特に見晴らしのいい『比婆山』に妻の亡骸を葬った。
「イザナミ……。こっからなら俺達の、いやお前の造った国が全部見渡せるぞ!」
比婆山には柔らかな風が通り過ぎる。


妻を失ったイザナギだったが、イザナミが残してくれたこの国を守っていくために懸命に働いた。
その甲斐もあって、二人の造った国はますます美しい国へと発展していった。

少しの手も抜かず、国造りを子供である多くの神々と進めていくイザナギ。
しかし、胸中には黒い感情が一つだけしこりのように残っていた。

「カグツチ……。やはりあいつだけは許すことが出来ない……」

毎日忙しく働いて何とかその黒い感情を葬り去ろうと努力していた。

473伊邪那岐5:2015/04/17(金) 19:54:15 ID:fGkoUhTc
しかし、ある時のカグツチの不用意な一言がイザナギをキレさせる。

「ヒノカグツチ。母さんの墓参りに行こう」
「嫌だよ、墓参りなんて。俺も忙しいんだぜ」
「なに! 嫌とはなんだ!」
「なんだよ。まだ俺の所為で母ちゃんが死んだと思ってんのか? 俺は火の神だぜ。ああなるのは分かってるってもんだろ」
「貴様! その口の聞き方はなんだ!!」
「だってそうだろ! じゃあ俺はどうやって産まれたら良かったんだ! 俺を産んで死んだのなら、それが母ちゃんの寿命だ!」
「きぃさぁまぁ~~! 許さんぞ!」

ガチャ!
イザナギは秘蔵の『十握剣《とつかのつるぎ》』を握りしめる。
「父ちゃん。その剣を使うんだな。俺を殺すつもりなんだな!」
カグツチも全身から真っ赤な炎を舞い上げて、臨戦態勢に入る。
「おおともよ! イザナミを侮辱する貴様など切り捨ててくれようぞ!」

バチーン!!
ガ・キーン!!!
シュオオオオオオ!!!

激しい剣戟と炎があたりを支配する。
何十合にも及ぶ凄まじい戦闘となる!

「これで最後だ!」

イザナギが雄叫びを上げる!
長時間に渡る戦いは、果たしてイザナギの勝利に終わった。


イザナミを侮辱したとはいえ、とうとう息子の一人であるヒノカグツチをその手で葬ってしまったイザナギ。

国はそれまでの頑張りが功を奏して上手く回っていた。
多くの子供神々達がそれぞれの役割を上手くこなしていた。

子どもたちも独立し、傍らにイザナミもいない。
イザナギは寂しかった。

来る日も来る日も比婆山の山頂から海を見て過ごした。

来る日も来る日も。

来る日も来る日も、一人で海に向かって妻に話しかけていた。


ある日の夕暮れ、いつものようにイザナミとの時間を(一人で)過ごしたイザナギは家に帰ろうと腰を上げた。
その瞬間。
「もう、イザナミのいない世界は我慢できない」
イザナギは一つの決断をした。

「死の国に行こう」

神であるイザナギにとっても大きなタブーではあるが……、黄泉まで降《くだ》って行って彼女を連れてこよう。
どんな結果になるとしても。

そう決断すると、もうイザナギは居ても立ってもいられなくなった。
「今すぐ! 今すぐイザナミの元へ!」

取るものもとりあえずイザナギは黄泉の入り口まで走っていった。
イザナギの健脚に、夜のうちに地底への穴に到着した。
もう一度、星空を見上げて決意を固めると、ゆっくりと深い地の底へと潜っていった。


--


薄暗い洞窟をどんどん進む。
長い長い道のりだったが、ようやくイザナギは黄泉の国の扉に辿り着いた。

「ここが黄泉か……。寂しいところだな」
イザナギは巨大で殺風景な扉の前に立つと大声を張り上げた。

「私は伊邪那岐命という者だ! 先日こちらに我が妻がやってきたはずだ!
 迎えに来たぞ! イザナミ!!」

……。

返答はない。
イザナギは巨大な扉に手を掛けてみるが、巨大な石の扉はびくともしない。

「おーい、イザナミー。俺だよー、イザナギだよー! 
 会いに来たよーー」
イザナギの大きな声に涙が混じる。
「……出てきてくれよ。イザナミ……。もう一度会いたいよ……」

無駄足だったのだろうか?
やはり生者が来る場所ではないのだろうか?
イザナミを連れて帰ることは叶わないのだろうか?
せめてひと目イザナミを見ることは叶わないのだろうか?

474伊邪那岐6:2015/04/17(金) 19:54:27 ID:fGkoUhTc
その時、扉の向こうでなにか気配がした。
「イザナミ! いるのか、そこに!!」

扉の向こうからか細い声が返ってくる。
「あぁー、あなた……。イザナギなのね……。来て……くれたのね……」

イザナミだ! 確かにイザナミの声がする!!

「もちろんだ。あぁ、早く顔が見たいよ、イザナミ。まだ俺達の国造りも終わってないじゃないか。
 一緒に帰ってもっとたくさんの神々を産もう。
 いや、神などもういなくてもいい。二人で静かに暮らしていきたいんだ!」
「あなた……」
「失ってしまって初めて思い知らされたんだ。イザナミがどんなにか俺に必要なのかってことに。
どんなに俺がイザナミを愛しているかってことに!」
「あぁ、あなた……」
「イザナミ!帰ろう、一緒に!!」

イザナギは扉に遮られ、姿の見えない最愛の妻に精一杯の愛を伝える。
暗く湿った地底の奥の奥にある黄泉の国にはまるで似合わない言葉だった。
それでもイザナギは精一杯の愛を妻に伝えた。

扉の向こうでは、イザナミの啜り泣く声がする。

「どうしたんだ、イザナミ。まだあの火傷が痛むのか?」
「あぁ、あなた。イザナギ……」
ますます泣き声は大きくなっていく。

「どうしたんだ。イザナミ! 大丈夫か? ここを……ここを開けてくれ、イザナミ!」
「あぁ、あなた。あぁ、どうして……」
一層イザナミの悲しげな声が響く。
「どうして……どうして、もっと早く来てくれなかったの……」

早く?
そうだ。どうしてもっと俺は早く迎えに来なかったのだろう。海に向かって悲しみに暮れていても仕方なかった。もっと早く妻をこんな暗い場所から連れ出してやるべきだった。
「ごめん。ごめんよ、イザナミ遅くなって」
「あぁ、あなた……もう……もうダメなの……」

ダメ? 何がダメなんだ? 今だってはっきりイザナミの声が聞こえている。俺の妻を、俺が連れて帰れないなんて莫迦なことはない。もし黄泉の国の神が邪魔しようとしているなら切り捨ててでも連れて帰る。
そう考え、十握剣を握りしめる。
だが、イザナミの返答はそんなことではなかった。

「私……、昨日までは我慢していたの……、でも、もうどうしても我慢できなくなってしまって……食べてしまったの……。
この……黄泉の国の食べ物を……」
「なんだって!?」
黄泉の国の食べ物を口にする……。
それは生者との縁を切ってこちらの世界の住人となることを意味していた。

イザナギの胸中に後悔が広がる。
なんてバカな時間を過ごしてきたんだ……。
すぐにでも来ていれば……。

「イザナミ!すまない、迎えに来るのが遅くなってしまって……。でも、どうしてもダメなのか? もう帰れないのか?」
「あなた……。
私はこちらの食べ物を口にしてしまったけれど、あなたがせっかく迎えに来てくれました。地上に返してくれるかどうか、一度黄泉の国の神様に相談してみるわ」

微かな希望の光が灯る。
もしかしたらイザナミと一緒に帰れるかもしれない!

「でもね。一つだけ約束して。
私が戻ってくるまで決して……この扉のこちら側には来ないで欲しいの……、いい?」

なぜ今すぐ扉を開いてくれないのだろう。
俺は今すぐにでもイザナミの顔が見たいというのに!

しかし、どちらにしろさっき試して通り、この巨大な扉は開かなかったし、生者が動かせるものではないのかもしれない。
それに待っていれば、イザナミがこっちの神様と相談して戻ってきてくれるはずだ。

「分かった。約束するよ! その代わりっ……、必ず戻って来てくれよ!」
「もちろんよ、あなた。それじゃちょっと行って来るわね……」

扉の向こうでイザナミが動く気配がした。

黄泉の入り口でイザナギは待つ。

475伊邪那岐7:2015/04/17(金) 19:54:42 ID:fGkoUhTc
……。
…………。
……………………。

暗い洞窟で、ただイザナギはじっと待つ。

……。
…………。
……………………。


どのぐらいの時間が経過しただろうか。
暗くて分からない。

もともと気の長い性格ではない。
早くイザナミと会いたいという逸る気持ちも抑えられない。

「イザナミは待ってろといったが……」
もしかしたら黄泉の国の神がなかなか首を縦に振らないのかもしれない。
加勢に行かなければいけないような気がしてきた。
愛するイザナミのために!

「よし、行こう!」
と、決意してふと目の前の扉の事を思い出す。
さっきも開けようとした……しかし、この巨大な扉はイザナギの力を持ってしてもびくとも動かなかったのだ。

「もう一度試してみよう」
冷たい石の扉に両の掌を当てて力いっぱい押しこむ。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
やはりその扉はびくともせずに目の前に立ちはだかる!

もう一度。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
やはりその巨大な扉は微動だにしない!

「ふぅ……」
やはり生者には開くことの出来ない扉なのだろうか?
そうしている間に経過した時間でもイザナミは姿を現さない。
「クソっ!」
イザナギは忌々しげに石の扉を水平に蹴りつける。

ズズッ……。

「えっ!?」
暗くて定かではないが、今扉が動いたような……。

もう一度同じように扉を蹴りつけてみる。

ズズズッ……。

動いているっ!
今度ははっきりと扉が移動するのが視認できた。

……。

これはもしや……引き戸?

引き手のようなものはついていないようだが、真横に動く構造になっているようだ。
イザナギは掌を扉に添えると横方向に力を込めてみた。

ズズズズズッ

難なく石の扉は動き、黄泉の国はイザナギの前に姿を現した。

「くそったれ! 俺としたことが慌てすぎていたぜ。生者がどうとか全然関係ねーじゃねーか」

扉を開けた先からは饐《す》えたような臭いが流れてくる。
洞窟の両側にはロウソクが灯り淡い光を放っている。
だが、長い一本道になっていて、その先の中心は闇に収束しており先が見えない。

「行くしかねぇ。待っててくれ、イザナミ!」
イザナギは冥界へのその一歩を踏み出した。

476伊邪那岐7:2015/04/17(金) 19:55:33 ID:fGkoUhTc
暗くジメジメとした地を踏みしめながら一歩一歩進む。
時折、体の腐乱した餓鬼がちょっかいをかけてくるがイザナギは意にも介さない。
しつこい餓鬼は十握の剣で切り捨てながら、イザナミの姿を探す。

「イザナミは黄泉の国の神に聞いてくると言っていた。恐らく最深部が一番目立つところに違いない」

辺りは暗く見通しは悪いが、其処此処に気味の悪い火が焚かれていて道を失うほどではない。
そして何よりこの酷い匂いの強い方向に向かえば、黄泉の神とイザナミのもとに辿り着けるという確信があった。


イザナギがちょうど餓鬼を百匹ほど切り捨てた頃、目の前に大きな登り階段が立ち塞がった。
階段の先は闇が深く、何が待ち構えているのかここから伺うことは出来ない。しかし、この先から漂ってくる強い悪臭が黄泉の神の居場所を予感させた。

「ここだな。よし、行くぜ! 待っててくれ、イザナミ!」
黄泉の神を説得するため、そしてイザナミと一緒に帰るため、イザナギは一気に階段を駆け上がる。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! イザナミ〜〜〜〜!」

長い階段を予想していたが、ほんの二十段ほどで階段は終わってしまった。頂上には、半径五十メートルほどだろうか。円形の広場が広がっている。
壁には松明が焚かれ、中央に何やら大きな影と、もう一つの人影を確認することが出来た。

「イザナミッ!」
人影は妻に間違いない!
イザナギは一気に駆け寄る!

ゆっくりと人影が振り返る。

「イ……イ、イザナミ?」

振り返ったその顔は悲しそうでいて、恨めしそうでいて、怒っているような、悲痛な表情を浮かべていた。
「あなた……来て……しまったのね」

その姿を見てイザナギは驚愕する。
愛する妻はすっかり変わってしまっていた。
片目は垂れ下がり、あらゆる皮膚はただれて剥がれ落ち、かろうじてイザナミと分かるほどに醜悪な姿となっていた。
そしてこの強烈な悪臭は、他ならぬイザナミから漂ってきていた。

「こんな姿あなたに見られたくなかった……」
顔を伏せたイザナミの空の眼窩から、涙らしきものが零れ落ちる。

「イザナミ……」
イザナギの胸に、後悔、恐怖、嫌悪、そして妻に迎え会えたという僅かな歓喜といった複雑な感情が去来する。

「どうして……、どうして待っていてくれなかったの!!!!」
顔を上げたイザナミには、激しい憎悪の感情が宿っていた。

「こんな姿あなたに見られたくなかったのに! 待っててってお願いしたわよね!?」
イザナミは怒りをイザナギにぶつける。

「フハハハハハハッ。だから言ったろう、イザナミよ」
イザナミの背後に鎮座する男が高笑いする。
「既に黄泉竈食ひ《よもつへぐい》を済ませたお前が地上に帰れるわけがなかろう。
フハハハッ、それよりも見てみろ、お前の元旦那の驚愕した表情を! 
フハハハッ! 確かに仕方ないのぅ。生者が妻のこんな姿を見てしまってわな」

黄泉の神の下品な高笑いを響き渡る。
その傍らでイザナミは泣き崩れる。
イザナギはただその場に立ち尽くしていた……。

「こんな姿をあなたに晒すなんて。
 私にここまでの恥をかかせるなんて……」
イザナミはキッと顔をあげて真っ直ぐにイザナギを見据える。

「あなたなんて死んでしまえばいい!」

イザナミは強烈な呪詛の言葉を投げつける。
それを聞いたイザナギは悲しそうにイザナミに背を向けると一筋の涙をこぼした。
と同時に、どこから湧いたのか、わらわらとイザナミの背後に群れる者達がいた。

「さあ、黄泉醜女ども! かつて私の愛したあの男を殺しておしまい!」

477伊邪那岐9:2015/04/17(金) 19:56:01 ID:fGkoUhTc
イザナミの号令とともに数十体の黄泉醜女が一斉にイザナギに襲いかかる。
イザナギは背を向けたまま微動だにしない。

「キシャアアアアアアアアアア」
黄泉醜女は次々とイザナギに飛び掛かり、幾重にも折り重なってイザナギを取り殺そうとする。
あっと言う間にイザナギを中心に小高い山のようになった。

「フハハハハッ。なんの戸惑いもなく元旦那を手に掛けるとは、ますますお前は見どころがあるのう。やはりお前こそ黄泉の神たる儂の妻にふさわしい!」

「キシャラアアアア」
黄泉醜女に続いて、腐乱した顔面に憤怒の表情を浮かべて、イザナミも夫に飛び掛かる!
イザナギは呆気にとられているのか微動だにしない。

「死ねぇ、イザナギィィィィ!」
獣のように立てたイザナミの爪が、イザナギの肩に食い込む。

「そうじゃイザナミ! 現世での夫を喰らい儂の妻となるがいい!」
「あぁぁぁ、イザナギィィィィ」

ガブリッ

イザナミは涙を零しながら、大口を開けてイザナギの首元に喰いついた。

一筋の血が流れ落ちる。
イザナギはそのまま……

478伊邪那岐10:2015/04/17(金) 19:56:26 ID:fGkoUhTc
両手を広げると、イザナミを引き寄せた。

「なっ!?」
黄泉の神が驚愕の表情を浮かべる。

「イザナギッ!?」
イザナミはビクッと身を震わせる。

「イザナミ。愛する妻よ。
 いいんだ。姿形なんて。
 黄泉竈食によって、どんな姿になったとしても……イザナミに変わりはないじゃないか!」

イザナミの牙が夫から離れる。
イザナギは肩に手を添えたまま、妻を真っ直ぐに見つめる。

信じられない面持ちのイザナミ。
「あなた……」
夫は優しく微笑む。
「大丈夫。俺たちならまたやっていけるさ」
「……ホントに? こんな……こんな私でいいの?」
「こんなってなんだよ。もちろんさ!」

「きぃさぁまぁらぁ」
その時、黄泉の国の神が怒りの唸り声をあげる。

「何を儂の前でくだらない話をしておるか!」
イザナミを妻に迎えるはずの算段が狂いそうな神は怒りに身を震わせる。

「貴様! 本当に目がついておるのか!? そのかつて妻だった女の姿が見えているのか?」
「なに言ってんだ。当たり前だろ。こんなもんちょっと派手なイメチェンみたいなもんじゃねぇか」
「あなた……」
イザナミがウットリとする。腐乱した顔面ではあるが。

「うぬら〜。そんなことは許さんぞ! もうイザナミは儂のもんじゃ! イザナミ! こっちへ来んか!」
黄泉の神はイザナミに向かって手を翳す。

「うぅ」
イザナミの体が黄泉の神に引っ張られる。
「あなたっ! 体が! 体が言うことを効かないの!!」
イザナミが夫に向かって助けを求める。

「大丈夫だ。そんなくだらない戒めは……。
 この俺が打ち破ってやる!」
イザナギはもう一度強くイザナミを抱き寄せる。

「ほう、黄泉の戒めをのぉ。して……どうする気じゃ?」
「決まってんだろ! イザナミを縛ってる大元をぶち壊しちまうのよ!」
「ふん。挑んでくるか」
「おおよ! あんたをぶっ倒してイザナミはこの俺が連れ戻す!!」
「ホッホッホッ、生意気を言いおって、この若造が!
こっちこそ貴様を殺して、イザナミは儂が娶ってやるわ!」

「イザナミはやらん!」
「貴様の死体は黄泉より更に深いところまで沈めてやろうぞ!」

「うるせぇ、いくぜ!」
イザナギは十握剣を構えると、猛然と黄泉の神に走りかかる!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「そんななまくら刀で儂が切れると思うな! ふんっ!」

黄泉の神が気合を入れると、体中から濃い紫の霧が吹き出す。
紫の霧はまるで生き物のように蠢いて、黄泉の神の体を覆っていく。

それにも構わず、イザナギは十握剣を振り下ろす。


ボヒュッ……。

手応えが……ない。
黄泉の神もまるでダメージを受けていないようだ。

「くそっ。もう一度だ!」
イザナギはより一層大きく振りかぶると、剣を再び黄泉の神を目掛けて叩きつける!


ボヒュー……。

「クックックッ。何度やっても同じよ。始まりの神の一人である儂にそんな攻撃が効くわけがなかろう」

「ハァハァハァ」
幾度も幾度も剣を無為に振り回したイザナギは肩で息をする。
「どうした? もう終わりか?」
十握剣も紫の霧の効果か、既にすっかりと黒く変色してしまっている。

「ハァハァハァ」
「ふん、もう答えることも出来ぬか。
 まぁ生者が儂のそばでそれだけ動けただけでも大したものよ。
 では……。消えてもらうとするか!」
「あぁ、あなたーーーー!」

479伊邪那岐11:2015/04/17(金) 19:56:53 ID:fGkoUhTc
「……。」
イザナギはその時、結婚の宴の時の天上の神の言葉を思い出していた。

「国造りも難なくやってのけて……。お前のような者がこれからの世界を引っ張っていくのかも知れんのぉ」

天上の神も認めるイザナギの力。
「そうだ! これからの世界は俺が! 俺とイザナミが導いていく!!」

「何をぶつぶつと言っておる! さぁこれで終いじゃ!!」
黄泉の神の翳した両の手から邪悪な黒い波動が放たれる。

イザナギは変色した十握剣を手放すと、片手を突き出した。
「ホッホッ、なんじゃ? 儂の闇の波動を受け止めるのか? 面白いやってみよ!」

バシュウウウウ

闇の波動とイザナギの掌が接触する!
「うおおおおおお」
イザナギは気合いを込める。

イザナギの体が青白く発光していく!
「うおおおおおおおおおお」

青白い光はより強く輝き出す!
「うぉぉぉりゃぁぁぁっ」
再びイザナギが気合いを込めると、黄泉の神の放った闇の波動は四方に拡散し、静かに消えていった。


「な、なんじゃと!」
「あなたっ!」

「これが、俺の力。これが……力の解放か!」
全身が青白い光弾と化したイザナギが黄泉の神に向き直る。

「黄泉の神よ……。もう終わりにしよう。
 今までこの閉じた世界で好き勝手やってきたお前も……これで終わりだ!」
「そんなことはさせん!
 まだ儂の力はこんなものではないわ!」
そう言うと黄泉の神はそこら中の餓鬼や黄泉醜女をもしゃもしゃと喰い始める。
みるみるうちにその体が膨張していく!

「ガッハッハッ。それでは真の儂の力を見ていただくとしよう。
 消え失せろ! 小者が!!」

「真の力を見せるのは俺も同じさ!
 さあ、行くぜ! 黒豚神様よ!」

イザナギが纏っていた青白い波動もどんどん膨張していく。
餓鬼も黄泉醜女も、イザナミまでも青白い波動に飲まれ、部屋中に浸潤していく!

バチバチバチッ!!

やがて部屋の中心で、イザナギと黄泉の神の気がぶつかり合う。

「決着だな!!」
「さあ来るがよい!!」

両者同時に飛び掛かる。

バシュッ!!
張り裂けそうなほどに膨張したお互いの気が、そこら中で爆発を起こす!

刹那。

より大きな爆発が起こり……、部屋は青白い光で満たされた!!

「なにぃぃぃぃ!!」
「これで最後だ!
 破ァァァァァァァァァァッ!」

イザナギが突き出した拳から、青白い光弾が矢となって射出され、深々と黄泉の神の胸に突き刺さるっ!

「ぐはぁああああああああ」
断末魔の叫びをあげる黄泉の神。

「ま……ま、まさか。儂がこんな……名も無き若造に……」
強い光りに照らされ明るい広場で見る煉獄の王は……、嗄れた老人のようだった。

「最後に……貴様の名を……、儂を打ち倒した若者の名をもう一度……」
イザナギが黄泉の神に歩み寄る。
「俺はイザナギ。最高の妻を娶る『高天原のイザナギ』だっ!!」

「た……たかまが……はらの……い……ざな……」

黄泉の神のか細い声はやがて消えてゆき、後には煤けたような砂山だけが残った。

480伊邪那岐 ラスト:2015/04/17(金) 19:57:20 ID:fGkoUhTc
「はっ!?」
イザナギは慌てて振り返る。
「イザナミっ!?どこだっ、大丈夫か!」

イザナギはうずくまっている妻のもとに走り寄る。
どうやら気を失っているようだ。
腐乱した肉体が崩れ落ちないよう注意して抱き起こそうとする……その時!

「お前!!」
「っ……。あ……あなた」
目覚めたイザナミが顔を上げる。
「どうして!? すっかり元の綺麗な顔になってるぞ!」
「え!?」

イザナミは懐から円鏡を取り出す。
そこに映しだされていたのは……。
若く、張りのある美しい生前のイザナミの姿だった。

イザナミは自分の体中を確認する。
そこには腐乱している部位は全くない。
見回すと、ついさっきまで餓鬼や黄泉醜女だった者達も生前の姿を取り戻していた。

「あなたっ! あなたのお陰でわたしは……」
イザナミは感涙の涙を流す。
「イザナミっ! 俺も嬉しいよ、綺麗になって!」
意地悪に泣き顔を作って、イザナミは夫を見つめる。
「綺麗になって嬉しい? やっぱり腐乱した私も愛すなんて嘘だったのね……。シクシク」
「違う! 違うよ、イザナミ!
 腐乱しててもなんでももちろん会えただけで嬉しかったさ、でも、ほら、あれだよ、」
慌ててどもってしまうイザナギ。
そんな夫の姿を見てイザナミは舌を出してお茶目に笑う。
「う・そ・よ、あなた。本当にありがとう」
「なんだよー、脅かすなよー」
イザナギは額の汗を腕で拭う。

「それにしてもあなたが『高天原』を名乗るなんてね」
照れくさそうにイザナギが笑う。
「あの『気』の出し方に気づいた時に、天上のおっさんを思い出していたもんでな」

「でも、どうしてこの姿に戻れたのかしら。それも部屋中みんな」
「黄泉の神が居なくなっちまったからじゃねぇのか?」
「いいえ、そんなはずないわ。それじゃ生者で溢れかえってしまうもの。それに肉体の遡及なんて聞いたことがないわ」

その時階下から騒がしい音が聞こえてきた。

「何事じゃあ」
武装した餓鬼隊長たちが登って来る。
その姿はやはり異臭を放つ、冥界の者そのものであった。

「貴様らぁ!黄泉様をどうしたー!?」
肩をいからせてイザナギ達を恫喝する。

「そうか、黄泉の神の在り無しではなく、きっとあなたの力が原因なのね」
「俺の力?」
「そう。あなた剣を置いた後、青白い光を操り始めたでしょう」
「あれは、操っていたわけじゃないけどな」
「とにかくあなたからあの光は放出してたわよね。
 あの光を浴びたものが生者の力を回復させることができてるんじゃないかしら?」
「そうか、なるほど。だからこの部屋にいた者達は……」

「貴様ぁ!聞いておるのかぁ!!」
恫喝を無視された形になっている餓鬼隊長は、腐った顔を真っ黒にして怒鳴り上げる。

「よし! じゃあ五月蠅いあいつも戻してやるか。
 破ァッ!」
イザナギは掌を餓鬼隊長に向けると、青白い光弾を放つ!

「ウギャアアアア」
悲鳴とともに餓鬼隊長は消散した。

「ありゃ!? 消えちまったぞ」
「なるほど。あなたに敵意を向けてる相手には回復の力は働かないみたいね。それどころか致命的な攻撃になる、と」
イザナミはもう一度部屋を見回すと、元いた餓鬼や黄泉醜女の数よりも生者たちの人数は少なくなっているようだった。
「この部屋にいた餓鬼たちも、あなたを攻撃しようとしていた者は、黄泉の神と一緒に消え去ったみたいね」
「そうか、そうじゃなきゃ黄泉のおっさんも倒せねぇもんな」

階下はますます騒がしくなっていく。
「よし! 黄泉のおっさんも居なくなってイザナミも戻ってきたとなれば長居は無用だ! 下が溢れかえっちまう前に脱出するぜ!」
「はい! あなた!」
イザナギは大声で部屋中の生者に呼びかける。
「この部屋の生きてる者よ! 今からこの黄泉の底から脱出するっ!
 俺が露払いをする。遅れずに着いて来いよっ!」

そう告げるやいなや、再び青白い闘気を纏って、階段を飛ぶように降りていく!
イザナミもそれに続く。

「破ァァァァッ!」
襲いかかる魔物たちを、いとも容易く消滅させながら、イザナギとイザナミは手と手を取り合って暗いトンネルを登っていくのだった。


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