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【破ァッ!!】寺生まれのTさんスレ

1名無しさん:2015/03/02(月) 17:10:29 ID:/sxxuDok
寺生まれのTさんのスレッドです。
ちかとものコメ欄に書き込んでいただくのも嬉しいのですが、1レス800字縛りとかもありますし、可読性がよろしくないので、こちらも使ってみてください!

2chikatomo:2015/03/02(月) 17:12:38 ID:/sxxuDok
とりあえず、今までブログのコメ欄に投稿のあったものをこちらにも貼っていきます!

3青いネックレス 1/10:2015/03/02(月) 17:20:06 ID:/sxxuDok
ある日、女子高生のA子さんは友達のB子さんに、B子さんが東北地方への温泉旅行で買ってきたという不思議な「ネックレス」を見せてもらう。何の宝石かは分からないが、それには青白い光を放つ石がついていて、B子さんはとても気に入った様子で、A子さんに自慢してきた。
そしてその日から、B子さんは毎日この「ネックレス」を身に付けるようになった。

しかし、それから何日か経つと、B子さんは急に学校に来なくなってしまう。心配したA子さんがB子さんの家にお見舞いに行くと、B子さんは「何だか、金属アレルギーになってしまったみたい。」と語り、よく見るとB子さんの「ネックレス」をしている周りの皮膚が炎症を起こしており、所々皮が剥けている部分もあった。A子さんは心配に思ったが、「大丈夫、そのうち治るから。」というB子さんの言葉におされ、学校でB子さんの回復を待っていると約束を交わした。
しかし、その後もB子さんが学校に来ることはなかった。

それから一ヵ月ほど経ったある日、B子さんから「うちに来てほしい」とのメールが届き、A子さんはすぐにB子さんの家へと向かった。A子さんがB子さんの家に着くと、そこには完全に変わり果ててしまったB子さんの姿があった。ガリガリに痩せこけた体、ほとんど抜け落ちてしまった髪の毛、それに皮膚も黒っぽく変色している。
驚いて言葉も出ないA子さんに、B子さんは震える手で「これを受けとって欲しいの…。」と言いながら、あの青白く光り輝く「ネックレス」を渡してきた。「もう私にはいらないから………。」
か細い声でB子は言うと、A子さんにネックレスを押し付けた。
「ごめんね、少し寝るね。
必ず……大好きなA子ちゃんに持っててほしいから必ず持って帰ってね……」
そう言ったきりB子さんは目を閉じてしまった。

4青いネックレス 2/10:2015/03/02(月) 17:20:59 ID:/sxxuDok
B子さんから「ネックレス」を託されたA子さんは少し気味が悪いな、とは思ったが、不吉に思うなんて闘病しているB子さんにも失礼な気がしていたし、何よりも正直ちょっとだけ羨ましいと思っていた「ネックレス」が手に入って浮かれた気持ちも半分あったので、裸で持ち、失くしては大変だと思い、早速首からぶら下げて帰路についた。

光にきらきらと反射する青い石はとてもキレイで、A子さんはもう不吉に感じていた気持ちは吹き飛んでいた。
胸元の青い石を見つめていて、うっかり向かいから来る人たちとぶつかりそうになってしまうほど夢中だった。

「あ、ごめんなさい。よそ見していて……」
A子さんはそう言うと体をさっと左に躱す。
「あ、大丈夫っすよ!こちらこそ大男が二人も広がって歩いてすみませんっす!」
袈裟を来たお坊さんに、十字架をぶら下げた神父さん、それにおみくじ売り場にいそうな巫女の女の子という珍妙な3人組が横を通り過ぎて行く。

「……T。見たか?」
「おう、見たぜ。ありゃー良くねぇなぁ」
「え、K様、T様、一体何のことっすか!?」
「かーっ!!Jちゃんもまだまだだなぁ。破ァ〜、いつでも注意をいろんなとこに向けとかないとだめだゾ!」
「はいっ!精進しまっす!!ところで良くないものとは……?」

「お嬢さん」
A子さんの横を通り過ぎた神父の格好をした男が呼び止める。
「は、はい?」
突然話しかけられたA子さんは不審そうに返事をした。
「大変不躾な質問をさせていただきますが……、その「ネックレス」はどちらで?」
「ネ、ネックレス……ですか?」
初対面の見知らぬ神父に何故身につけているネックレスのことを聞かれないといけないのか、という疑問が頭を過るA子さんだが、問いかける神父の方はA子さんをジッと見つめて目を離さない。

5青いネックレス 2/10:2015/03/02(月) 17:21:34 ID:/sxxuDok
「そのキレイな青い石のネックレスです。どちらで?」
そう言いうとなお一歩近づいてA子さんの顔をジッと見つめる。
「……」
A子さんはこの時すでに走って逃げ出したい気持ちにかられていた。

「破ァ〜、おいおいKさんよぉ。本当にお前は不躾だなぁ。お嬢さんに対してそんな訊き方はねぇだろう」
神父の背後からニュッと顔をのぞかせたと思うと、今度は袈裟の坊さんがA子さんの正面に立つ。
中腰になると「ネックレス」の10cmぐらいまで顔を寄せる。

「これ。キレイだなぁ」
「は、はい。ありがとうございます……」
「このネックレス。最近貰ったもんだよなぁ」
「!」
A子さんは顔をひきつらせる。
「な、なぜそんなことを……」
何故坊さんがさっきB子さんに貰ったことを知っているのか、何故そんな質問を見知らぬ神父と坊さんにされなければならないのか、という思いが一つの質問として飛び出す。
「お友達に貰ったの?それとも知らない誰かからのプレゼント?」
ネックレスから目を離し顔を上げた坊主の男は、笑顔を見せながら質問を続けた。

男の笑顔を見ただけで何故かA子さんはさっきまで感じていた不信感が吹き飛んでしまったそうだ。
素直に男たちの質問に答える気になっていた。

「……友達……からです。ついさっき……貰いました」
坊主の男は難しい顔をすると、
「そぉかぁ、お友達かぁ」
と呟くと坊主頭を撫で上げた。

「T様、この石……」
T様と呼ばれた坊主は頷くと、再びB子さんに向き直る。

「破ァ〜、お友達ってことならちょっと言いにくいんだけどよぉ。
このネックレス、アンタへの『呪い』が込められちゃってるわ」
「の……の、呪い……ですか……?」
Tさんの突拍子もない一言にA子さんは固まる。

6青いネックレス 4/10:2015/03/02(月) 17:26:54 ID:/sxxuDok
「そぉなんだよ。残念なんだけどさ。
これはまだ生霊だな。
これをくれたお友達って今病気してるよな。今にも亡くなってしまいそうなほどの」
「!」
きっとちょっと前までお友達が身につけてたネックレスだったはずだ。
それを病に臥せっちまったもんで、アンタにプレゼントとして寄越した。そうだろ?」
「!!!」
A子さんのついさっきの状況を見て来たようにピタリと言い当てる坊主のTさん。

「「「それに」」」
坊主と神父と巫女の女の子3人が同時に声を出す。
「お!?Jちゃんも、もう分かった?」
「もちろんです。兄様のですから……」
そう言って一瞬悲しそうな顔を見せた、Jちゃんと呼ばれた少女はA子さんにこう質問した。

「きっと、お友達は旅行か何かで東北に行って、このネックレスを購入してきたはずです。どこかの神社で」

「!」
確かにA子さんはB子さんにそう聞いていた。

『温泉旅館の近くの山道を登ったところに歴史の有りそうな神社があってね。そこで……』

「残念ですが、このネックレスには2重、いや3重の呪いがかかっていると思われるっす。
信じて欲しいっすが、今!直ちに!これを外したほうがいいっす」
A子さんは目をパチクリさせる。
この時、突拍子もないことではあるが、とても嘘を言っているとは思えないと感じたそうだ。

7青いネックレス 5/10:2015/03/02(月) 17:27:26 ID:/sxxuDok
「Jちゃん、3重まで見抜くとは素晴らしいですね」
「破はっ!Jちゃんも成長してるってことよ!
それじゃあJちゃん、このお嬢さんに3重について説明してやってくれ。ただ今すぐ外せって言っても納得しにくいだろ」
「了解っす」
Jちゃんは再びA子さんに向き直る。

「一つはその神社の神主……実は私の兄様なんですが、兄様の呪いがかかっているっす!このネックレスをして亡くなった方を眷属として呼びだそうとする魂胆だと思います。生前から呪いを掛けていたほうが式の力が高まりますから」
「……」
A子さんの知らない単語が続々と出てくる。
「次に……これは直接呪いとは違うんですが、効率よく呪い殺すために、なにか良くない『石』が使われているようです」
「よくない……石ですか?」
「はい、そうっす!青くてきれいな石ではありますが、これは石自体が良くないはずっす!呪いがなくてもヤバい気配がプンプンっす!」
「ヤバい……石……」
A子さんは病床に臥せるB子さんの姿を思い浮かべる。
説得力は十分だと感じた。

「最後に……これは兄様の呪いとは全然関係ないと思うのですが……」
最後の呪いの説明だけJちゃんは言い淀む。
何か言いにくいことを言おうとしているのだろう。
ただ……、A子さんにはこの時Jちゃんが何を言おうとしているのかを既に察していた。

8青いネックレス 6/10:2015/03/02(月) 17:27:57 ID:/sxxuDok
「B子さんの……、お友達の呪い……なんですね……」

「ほう」
神父さんが感嘆の声をあげる。
「破ァっはっは!大したもんだ。
その通りだぜ、残念だがお友達は自分の石で呪いを連鎖させようとしちまった。Nの呪いも何も関係ないところでな」
豪快に笑い飛ばしながらTさんが後を繋ぐ。
と思いや真面目な顔をすると、
「でもな、お嬢さん。急速にNの呪いと石の力で命が弱まっていく中での出来事だ。
だからこそお友達の呪いの力がかなり強く入っちまってるが、お友達を許してやってくれるかい?」
A子さんにはB子さんを怨みに思う気持ちはもうなかった。
なんだかこの3人の近くにいるだけでそんな黒い気持ちが浄化されていくような不思議な幸福感があった。

「はい。もちろんです」
ハッキリとした口調で、A子さんはTさん達をまっすぐ見つめてそう言った。

「破ァっはっは!よし、偉いぜ!
となると次は後始末をしなきゃなんねぇな」
「とにかく早くそのネックレスを外したほうがいいでしょう。できれば手にも持たないほうが良い」
そう言ってKさんが手を差し出す。
A子さんは慌ててネックレスを外すとKさんの白い手袋の上にネックレスを渡した。

「アーメン」
Kさんがそう言うとネックレスを握った手が、微かに発光しているようにみえた。

「この状態なら大丈夫。ただどこかで調査する必要がありますね」
「そうだなぁ、俺達は全員科学者ではないからなぁ。まぁこのまま破ァして壊しちまってもいいが、Nの手の内を識るためにも調べておきてぇなぁ」
「そ、それなら!」
A子さんが慌てて口を挟む。

9青いネックレス 7/10:2015/03/02(月) 17:28:28 ID:/sxxuDok
「親戚のおじさんが宝石店をやってるんです。石の事詳しいから……調べてもらえると思います!」
「お、そうか!それは助かるぜ!」
「では私がネックレスの方を担当します。TとJちゃんは……」
「おう、そっちは任せとけ!」
「任せて下さいっ!」
「呪いを掛けて生霊飛ばしまくってるお友達をちょっと助けてくるわ!
逝くぜッ、Jちゃん!」
「はいっ!T様っ!」

そう言い残して二人は颯爽と消え去ってしまった。
……。
あの二人。
B子さんの家は分かるのだろうか?
そんなA子さんの表情を見抜いたのか、KさんがA子さんに説明した。

「心配ありませんよ。これだけ呪いの力があって、これだけ近ければ迷わず二人は着きます。
ほら、あそこに見えるマンションの7階でしょう?」
そう言ってKさんはB子さんのマンションを指さす。
と同時にB子さんの部屋から、まるでネックレスの宝石と同じような青白い光が放たれているのが見えた。
「もう始めてるようですね。
それよりも早速このネックレスを調べてしまいましょう」
「は、はい分かりました!」

A子さんは携帯電話を取り出すと親戚のおじさんに電話をする。
「今から行っても大丈夫だそうです!」
「では参りましょう」

親戚のおじさんが経営している宝石店に「ネックレス」を持って行き、調べてもらうことにした。

10青いネックレス 8/10:2015/03/02(月) 17:29:00 ID:/sxxuDok
「おじさん、いきなりごめん。コレなんだけど……」
Kさんがネックレスをカウンターに置く。
「ほう、キレイな色だなぁ」
おじさんはルーペでまじまじと石を観察する。
「でもあんまり見ない石だなぁ。
すまんけどすぐには分からんわ。ちょっと成分分析してみよか。結果は明日になるけど……」
A子さんはKさんを振り返る。
「構いませんよ」
「おじさん、じゃあそれでお願いします!」

すると翌日の朝、おじさんからA子さんに怒鳴り口調で電話がかかってきた。
「こんな危険なものどこで手に入れたんだ!?この青白い石はウランの結晶なんだぞ!!」
「ウ、ウラン!?」
聞いたことはあるけど宝石だと思っていたA子さんにはピンと来ない。
「放射能だよ!最高に有害な!こんなもんうちにも置いとけねぇぞ!!」
「それには及びません」
激昂するおじさんの電話口の向こうから聞き慣れた声がする。
「お、アンタか!今A子に電話してたんだけどな、この石のことで!」
「はい、聞こえてましたよ。こちらはNが何を媒介にしていたか分かれば今回はそれで十分。
早速浄化しますよ」
「じょ、じょう〜か〜」
電話口の向こうで二人は会話を続けている。
「ふふっTもやりたがっていたようですけどね。ここに来るのが遅いのが悪い。
それにあなたにはとても幸運なことでしたよ。
Tに宝石店を破壊されなくて済んだんですから」
「お、おめー、何言って……」
「アーーーーーーーーーーーーーーメン!!!」
思わずA子さんは受話器を耳から離した。
突然の大音声に耳鳴りが止まない。
「う、うわーーーーーーーーーーーーーーーー」
おじさんの悲鳴も聞こえる!
「もしもし!もしもし!おじさんっ、大丈夫!?」
「もしもし!もしもし!」

「もしもし!もしもし!」

「もしもし!」

11青いネックレス 9/10:2015/03/02(月) 17:29:37 ID:/sxxuDok
何度目かの呼びかけでおじさんの返事がやっと返事をしてくれた。
「A子か……」
「おじさんっ!大丈夫?どうしたの?」
「おぉ、今な。神父の野郎が突然叫んで、青い石を手で覆ったかと思ったらな、なんか真っ白い景色に包まれちまって……。
一瞬のことだったと思うんだが、視界が戻ったらもう神父の野郎がいねぇ」
「Kさんが……」
「おおぅ!?」
「なに?今度はなに?おじさんっ!?」
「ウランが……、ウランが……石ころになっちまってる!!」

12青いネックレス 10/10:2015/03/02(月) 17:30:15 ID:/sxxuDok
3日後、B子さんの母親からA子さんに電話が入った。
B子さんのお母さんの、啜り泣くような、しかし気丈な声がA子さんに届く。
「B子、もう長くは持たないそうなの……。最後にA子さんとお話したいと……。
もしお時間があれば、来てあげてくれないかしら……」
「すぐ行きます!」
そういうと取るものもとりあえず、A子さんはB子さんのもとに走った。


--


キレイな青空に煙が立ち上っていくのをA子さんは見つめていた。
今、B子さんは白い煙となって天国へ向かっていく。
最後の会話はもう私が泣きじゃくっていてよく覚えていない。
だけどB子さんの穏やかな表情はよく覚えている。
ネックレスのことでB子さんに謝られたと思う。
でもそんなこと私にはもうどうでもよかった。
良くなって欲しかった。
これからも友達をしていたかった。
……。
それでも。

それでもあの人達に会えてよかった。
B子さんの言葉がふと蘇る。

「A子さんには本当に悪いことをしてしまった。
ごめんね。
だけどね、最後の最後にね。
寺生まれのTさんと神社生まれで巫女のJちゃんが私を救ってくれたの」

青い石のネックレスの呪いはもうない。
あの3人はB子さんも私も救ってくれた。

「私きっとまたこの世界に還ってくるわ。笑顔で」
B子さんと交わした本当に最後の言葉。

もう、煙も見えなくなりそうだ。
あとには雲ひとつない青空が広がっている。

寺生まれのTさん。
教会生まれのKさん。
神社生まれで巫女のJちゃん。

あの人達ってほんとに凄い。
改めて私はそう思った。

14chikatomo:2015/03/02(月) 18:01:17 ID:???
元ネタはこちら!
http://chikatomo.doorblog.jp/archives/42846999.html

15泉の広場の女 1/4:2015/03/02(月) 18:03:44 ID:/sxxuDok
三年近く前、泉の広場のところでヘンな女がうろついていた。通勤の帰りによく見かけた。
三十前後で、赤い色のデザイン古そなドレスっぽい服着てて、小柄で、顔色悪く目がうつろ。

三年近く前、泉の広場のところでヘンな女がうろついていた。通勤の帰りによく見かけた。
三十前後で、赤い色のデザイン古そなドレスっぽい服着てて、小柄で、顔色悪く目がうつろ。
髪は背中近くまであって、伸ばしっぱなしに見えた。
目立つ服の色と、なんか独特の雰囲気があって、目がいってしまう。
でも怖い(キ印っぽい)感じして、何気なく観察はしても、目はあわせんようにしてた。
女はいつも広場の中をうろうろしてた。
地下出口を出たとこの何本か外れた飲み屋筋に、立ちんぼのねーちゃんの多い場所があって、そこのねーちゃんかな?と思ってた。

ある日の仕事帰り、広場内の薬局の店頭でコスメの安売り見てた。
私は買い物するの時間かけるほうで、そん時も多分一時間近く店にいたと思う。
その夜も女は広場をうろついていて、いつものことなんで特に気にとめてなかった。

でも、店から出た時、視線感じて顔上げると、広場の真ん中の噴水を隔てて女がこっち見てた。
なんかヘンな感じがした。
私は目が悪くて、眼鏡かけてても、少し離れた場所だと相手の顔とかよく見えないのに、女は妙にくっきり見えたんよ。3Dみたく。

16泉の広場の女 2/4:2015/03/02(月) 18:04:16 ID:/sxxuDok
目があった途端、気持ち悪くなった。
何か本能的に怖くて、びしぃ!とチキン肌立って。
うわ、ヤバい。でも何が?
自分でも思考回路謎のまま、それでも反射的に店内に戻ろうとしたけど、金縛りかかったみたいに身体が動かん。
助け求めようとして、声すら出ないことに気付いた。
いつもふらふら歩いてるはずの女が、すっと素早く近寄ってくる。
明らかに普通じゃない様子で、髪振り乱してドレスの裾ゆらしてこっち来るのに、誰も気付いてくれない。
もの凄い顔で笑ってて、その表情の怖さにふーっと気が遠くなった。
だって、目のあるとこ、全部黒目にかわってるんやで。
怖い、もうあかんって思ったときに、いきなり誰かが後ろからぎゅっと腕を掴んできた。
驚いて顔上げる(ここで身体の自由が戻った)と、袈裟を着た男の人と巫女さんみたいな背の低い女の子で、話しかけようとしたら「静かにしろ」って小声で注意された。
呆然として顔見上げてると、男の人はますます手をぎゅーっと握ってきて、怖い顔で前を見てる。
「T様!ダメですよ、ここでは!」
「しかし彼女を解放してあげなくては!」
「とにかくここではダメです!こんなトコで撃ったら弁償代がどれだけ逝くか……」
巫女さんの女の子は店を見回して青い顔をしている。
T様と呼ばれた男は噴水の方向を凝視している。

吊られて視線戻したら、女がすぐそばに立ってて、男の人を呪い殺しそうな目つきで睨んでた。
すごい陰惨な顔してて、怖くて横で震えてたけど、女はもう、うちのことは眼中にない感じで、「…………殺す……」ってつぶやく。
「破っはっは!よっしゃあああ、いい度胸だ。表に出てもらおう!」
男は満面の笑顔で黒目の女に喧嘩を売っている。
「……ちっ」
女は舌打ちすると、男の人の横をぶつかるみたいに通りすぎて、店内に入ってった。

17泉の広場の女 3/4:2015/03/02(月) 18:04:40 ID:/sxxuDok
「T様。彼女この地下街から出れないんじゃ……」
「おそらくそうだな。ここはじゃあJちゃんに任せるわ」
「分かりました。では」
そういうとJちゃんは胸の前で印を結ぶ。
「滅っ!」

「ぐぎゃああああああああああああああああああああああ」
その瞬間店の中から、この世のものとも思えぬ叫び声が聞こえる!
「もう少しの辛抱です!」
Jちゃんの体がぼうっと発光しているようにみえる。
断末魔の叫びはまだ続いているっ!
でもそれなりに混んでる店内の他の客が全くそちらに注意を払わないという異常な光景だった。

「さけ……さけびごえがっ……」
やっとのことでそれだけ声に出すと手を握り合っているT様を振り向く。

「おっと。君にはちょっとキツイか」
男の人はその後、私をぐいぐい引いて、駅構内までくると、やっと手を離してくれた。
駅が賑やかで、さっきあったことが信じられんで呆然としてると、
「大丈夫か?」って声かけてきたんで、頷いたけど、本当はかなりパニクってたと思う。
相手の名前聞いたりとか、助けてもらった?のにお礼言うとか、まともにできなかった。

18泉の広場の女 4/4:2015/03/02(月) 18:05:08 ID:/sxxuDok
男の人は改札まで見送ってくれた。
別れ際に「もうあそこ通ったらいかんぞ」とか言われて、
「でも仕事あるし。それにあの女の人はもう……」
「命惜しかったらやめとけ」
答えようがなくて黙ってると、
「今日は運よかったんだ。君の守護さんが俺を呼んで、君を守ってくれたんだぞ」
「………………」
「たまたまなんだ。わかるか?
君が助かったの、たまたま守護さんがわかる俺たちが、たまたまそばにいた、それだけのことだ。
彼女は確かにもういない。でもここは溜まりやすいんだ。
いくら俺でも街の形を変えることはできない。
そんなことをしたらJちゃんにどつかれるからな!
な、もう通らん方がいい」
守護さんって何やのん。守護霊のことか?
霊なんて見たことなかったから、自分の体験したのが何なのかわからなかった。(正直、今もわからない)
女はどう見ても生身の人間に見えた。
それで返答に困ってると、その人は私に何度も「一人で通るなよ」と繰り返して、行ってしまった。

未だにアレが何だったのかわからない。
私は二ヶ月後、そこの仕事場辞めたけど、その間、夜は泉の広場を一度も通らなかった。
男の人も女の子も、黒目の女も全部謎。
男の人の名前、T様っていってたっけ。助けてくれたんなら(今も半信半疑だけど)お礼言いたかった。
反面、かつがれたんかな?と思わなくもない。(でも目的は何さ?)
すっきりしない。

ところがさ、最近オカルト関係のブログとか読み始めてみたらTさん超有名人でびっくりしたで。
今はTさんが注意してくれた泉の広場にTさんに会いたくて通ってるんや。
でも最近また私を見つめる視線を感じる。
Tさんと泉の女、どっちに先に会うんかな……。

19chikatomo:2015/03/02(月) 18:14:14 ID:/sxxuDok
泉の広場の女の元ネタ

http://chikatomo.doorblog.jp/archives/27061692.html

20二階の燃え方変やね 1/2:2015/03/02(月) 18:15:19 ID:/sxxuDok
543: 本当にあった怖い名無し 投稿日:2009/06/29(月) 17:50:01 ID:Qaze1SRJ0
去年の冬、実家の近所で深夜に火事がありました。

火事のあった家と実家の間に小学校のグラウンドがあり、私の部屋はその家が見える位置にありました。
その家は過去に二度、長男のタバコの不始末などで小火を出していました。
部屋から火事の様子を見ていると、町内の人達の騒ぎ声や叫び声で母が起きて私の部屋に来ました。
母と二人で近くまで言って見ようとなり、野次馬だらけの道路ではなく高台にある小学校に行きました。

私達は、調度その家の二階の窓を道路を挟んで少し見下ろす場所から火事を見ていました。すると母が、
「二階の燃え方、変やね」と言いました。よく見ると一階はボーボーと全体が燃えていて、二階は部屋
の中央で炎が踊っているように見えました。窓越しに炎が左右に動いたり伸び上がったりするのを、
何だろうと眺めていると「消防車はまだかー!」と怒号が聞こえて来ました。下を見るとバケツリレー
で消火してました、サイレンの音は見当違いの方向で行ったり来たりしてました。

私は二階の炎を見続けていました、暫く見ていると、炎は部屋の中央に止まって一瞬巨大な炎になったかと思うとあっというまに拡散して周辺の日が亡くなってしまいました。
それと同時に2つの光が飛び去ったように見えました。
それから5分程で消防車が2台来て、まだ燃え盛っている箇所に放水を始めました。パトカーと救急車も1台づつ来てました。
消防隊員に罵声を浴びせる方々も居ました。 私達は体が冷え切っていたので、家に帰りました。

21二階の燃え方変やね 2/2:2015/03/02(月) 18:15:57 ID:/sxxuDok
翌日、通学前に火事の家を見ると半焼状態で真っ黒でした。帰宅して母から火事の詳細を聞きました。
隣家の方の話では、あの家は前から一家離散していて家に住んでいたのはご主人だけだったそうで、
「御主人、気が狂ってたって、毎晩犬みたいに吠えたり家中をドタバタと走り回る音がしてたって。
しばらく音がしなくなってたと思ったら家で首を吊ってたって」
と聞いた瞬間ゾッとして、私は「どこで!?」
と聞くと母は下を向いて「二階でって」と教えてくれました。

二階。あの炎が変な動きをしたところだろうか?
「でもねぇそれが変なのよ」
「変?」
「うん、近くで見てた人に聞いたんだけどね。
ご主人一人暮らしだったはずなのに、家の中から声がハッキリ聞こえたって」
「声?」
背筋が凍る。幽霊でもいたっていうの?それとも犯罪者?
「……どんな声が聞こえてたの?」
「それがねぇ、変なのよ。
『T様、だから出力下げてって言ったじゃないですか!』
とか
『すまんすまん、破ァッ!!』
みたいなまったく場所にそぐわない声をハッキリ聞いたらしいのよ」

あ……。
Tさんだ。
寺生まれのTさんと神社生まれのJちゃんだ……。

私達はあのとき、生きたままTさん達が燃えているのを見続けていた…
今でもあの光景を忘れられない…

なぜTさんはいつもああなんだろう……。
改めて思った。Tさんの除霊は紙一重だと。

22名無しさん:2015/03/02(月) 18:17:43 ID:/sxxuDok
元ネタ

http://chikatomo.doorblog.jp/archives/42863503.html

23名無しさん:2015/03/02(月) 18:20:29 ID:/sxxuDok
これは同僚に聞いた話。
もう何年もの付き合いになるが、普段は無口であまり社交的とは同僚だった。
ただ、気付いたのは何年目の事だったか定かではないが、一年に一度だけ決まった日に有給休暇を取る。
そしてその日が近づくと無口な同僚が、一層落ち込んでいくように見えた。

今年もその日が近づいてきた。
やはり今年もひどく落ち込んでいるようにみえる。
いや、何かに恐怖しているのだろうか。
野次馬根性かもしれないが、無口ながらも誠実な同僚に親近感を感じていた私は、どうしても同僚の有給の訳を知りたくなってしまった。

「今日終わったら、軽く飲みに行かないか?」
有給が明日に迫ったその日、私は友人をつれ出してみることにした。
「……。ああ、いいよ」
「!」
誘ったのは私だがまさか応じてくれるとは思わなかった。
今から話すのはそこで同僚に聞いた話だ。
同僚はひどく酔っ払ってしまった。
こうして書き起こしてみると、直接聞いた私にも俄には信じがたい風習だ。
とても信じられるものではない。
しかし、それでもなお同僚の話は真実であると私は感じている。
酔っぱらいの戯言ではないと思う。
誘いに応じてくれた時に、第三者に話すことを決めていたのだろう。
実際に人が亡くなり、関係者であった同僚の語り口は嘘ではなかったと思う。
前置きが長くなって申し訳ないが、そんな話を皆さんに聞いてほしい。

24 テンジンキギャクリョウキョウ 2/5:2015/03/02(月) 18:21:13 ID:/sxxuDok
そもそも天神逆霊橋っていうのは、神奈川の話ではない。
詳しい地名は失念してしまったが、東北の方のある村の話だった。
その村では悪さをする子どもに、「天神様の橋を渡らせるよ」と言って嗜めるのだ。
天神様の橋というのは、その村からそう遠く離れていない山中にある吊り橋で、その橋を渡ることは禁忌とされていた。

ただ、一年に一回だけその橋を渡る日があった。『逆霊祭り』の日である。
逆霊祭りとは我々が良く知るお盆の様なもので、死者の霊が帰ってくる日を祝う、といった趣旨のものである。
そして逆霊祭りには、死者の霊を労うという名目で『イケニエ』の儀式も行われていたのだ。
8〜12歳位の子どもがイケニエとして選ばれる。
選ばれた子どもは、村の年長者に連れられ橋を渡っていく。
そして、神社に置いていかれるのだ。
翌日には棺桶のようなものに入れられたイケニエが、村に連れられて帰ってくる。
イケニエは村に帰ってくると、棺を開けられることもなくそのまま埋められる。

ある年の祭りの夜、一人の男が天神橋を密かに渡った。
男はその前の年の祭りで、自分の息子を亡くしているのだ。
もちろん、彼の息子はイケニエに選ばれたのである。
男は自分の息子に何があったのか知りたかった。だから、村では禁忌とされている橋を渡ったのだ。

橋を渡りきり、獣道のような道なき道を小一時間ほど進んでいくと、伝えられているとおり神社があった。
境内には灯篭があり、それには火が灯っていた。そのため、薄暗いが境内の様子は見る事ができた。
境内には誰もいなかった。
男は社のほうに向かおうとした。イケニエはそこにいると思ったのだ。
しかし、聞こえてきた足音に、男は近くの木の陰に身を隠さざるを得なかった。

25 テンジンキギャクリョウキョウ 3/5:2015/03/02(月) 18:21:42 ID:/sxxuDok
足音は社の裏手から聞こえてきた。社の裏は深い森である。
村の者はもちろん、この社の向こうには誰も住んでいるはずがない。しかし、足音の主は姿を現した。
社の裏から正面に回ってきたのは、ボロボロの服を着た数名の人間だった。10人はいただろうか。
男もいれば女もいる。若者も年寄りもいる。ただ、子どもの姿はなかった。
彼らは社の前で一度集まった。全員いるか確認しているようだった。やがて一列になって社の中に入っていった。
ほどなく、子どもの泣き叫ぶ声、争う物音、そして、聞いたこともないような声・・・。
男は社に向かい中を覗いた。
中では、イケニエ少年を先ほどの連中のうちの数人がが取り押さえ、他の連中が少年の上に馬乗りになって、何かをしている様子が見て取れた。
先ほどまで泣き叫んでいた少年は、すでに声も出さず、抵抗もしなくなっていた。
遠くで村からの祭囃子が聞こえた。それ以外は実に静かなものだった。
社の中からは、「ガブリ」「クチュクチュ」というような音だけが響いていた。
男は何が行われているのか理解した。この連中は少年を生きたまま喰っているのだ。

なぜこの村で、この連中に少年をイケニエとして差し出していたのか、それは男には分からない。
彼らはこの山に住む民なのだろうか。それとも人の姿をした魔性のものなのか。
その晩、男は震えながら木の影にいた。

明け方、彼らが帰っていくのを見届け、充分に時間がたってから、男は社へ向かった。
中には変わり果てほとんど骨だけになった少年の姿と、大量の血痕だけが残されていた。


これが、同僚から聞いた話だ。同僚がこの話の主人公。
男はその後この村を離れ、神奈川に移り住んだのだ。

そして、この話の後日談(?)も存在する。

26テンジンキギャクリョウキョウ 4/5:2015/03/02(月) 18:22:08 ID:/sxxuDok
男が神奈川に来たのは、30年くらい前のことだった。
そして、その年。神奈川県で、子どもの行方不明が頻繁にあったという。
これは当時の新聞などでも分かるが、事実である。
私もなんとなくではあるが、そんな事件が頻発していたことは記憶している。
児童失踪事件の多くは迷宮入りした。
実は中には死体で見つかったものもあったそうだが、その死体の惨たらしさから報道はされなかった。
見つかった死体はイケニエ同様、生きているまま喰われたようだったのだ。歯形が体中についていたという。
警察は同僚にも話を聞きに来たらしい。

「俺はやつらに見つかったんだ。やつらは俺を追って神奈川まで来たんだ」
「やつらって?」
「呪いの正体だ」
「正体?」
「そう、これは人災なんだ。人が起こしているれっきとした事件だ」
「それなら警察に言えば……」
「間違いなくその男は目的をもって事件を起こしている。でも警察じゃ捕まえられないよ。君が警察だったら信じられるかい、『僕の子供は呪われて殺されました』って。
呪いなんだ。
その男は殺人鬼と言っていいと思うが、直接手をかけているわけでない。今の警察では彼を捕まえることはできない」
「彼って……。誰だか特定できているのか?」
「……占筮だ」
「せんぜい?」
「その神社の神主のことだ。まぁ、神主とは違うのかもしれないがその少年はそう呼ばれていた」
「少年!」
「そうまだ年端もいかない用に見えたよ。その時は。でも彼が必要としていたんだ……。僕達の子供をっ……」
「その少年は?」
「神社生まれのNさんと呼ばれていた。今は行方はしれないよ。どこにいるのかも知らないし、知りたくもない。
毎年有給を取っているのはそれが息子の命日だからだよ。
僕には息子のために祈ることしかできない」
「そうか……」

27テンジンキギャクリョウキョウ 5/5:2015/03/02(月) 18:22:27 ID:/sxxuDok
なんということを私は同僚に打ち明けさせてしまったのだ。
先ほどまでの野次馬根性を私は恥じた。
「おいおい、そんな顔しないでくれよ。
それから……、これは後日談の後日談みたいな話になるんだが」
そう言って、かなり水っぽくなったスコッチを口に含む。
「息子を供養して頂いているお寺なんだけどね。
ここ数年は姿をお見かけしないが、お坊さんのご子息がいてね。
お参りしている時に声をかけていただいたのが、すごく印象に残っているよ」
「なんて言われたんだい?」
先ほどまでの恥じ入る気持ちもすっかり忘れて私は問いかける。
「短い言葉だったよ。息子は成仏したこと、呪い屋と身を貶したNは自分が止めることを伝えてくれた。
なんにも説明していないのにこの青年は全てを理解していると悟ったよ。
そしてひとつ教えてくれたんだ」
「それは!?」
その時の私は既に不躾な芸能リポーターのようになっていた。
「難しいかもしれないが恨んではいけないと。
奇習と思い息子の輪廻の幸せを考えなさいと」
「それはまた難しいことだなぁ。息子を殺されて恨みに思わないなんて……。
あっ、すまない」
「いいよ」
本当に不躾な言葉を吐いてしまった私に同僚は微笑みを返してくれた。
「理由があるんだ。
一つは恨みの気持ちに息子が同調して留まってしまうこと。
もう一つは恨みに思う気持ちすらもNの力になってしまうこと。僕の怨嗟はNの大好物らしい」
同僚は淡々と語る。
「今はその言葉が信じられるよ。復讐の気持ちにこの身を囚われたくないと思う。
そう思えるようにさせてくれたのは彼だ。
彼は息子も私も救ってくれたんだ。
感謝しているよ、寺生まれのTさんに!」


これが私の知っているテンジンキの話。

28名無しさん:2015/03/02(月) 18:23:58 ID:/sxxuDok
元ネタ
テンジンキ | 天神逆霊橋
http://chikatomo.doorblog.jp/archives/28337790.html

29しゃがみこむ妊婦1/2:2015/03/02(月) 18:25:08 ID:/sxxuDok
昼食をとり終えた頃、いい天気なので同僚と散歩にでも行こうと思い出た。
歩きだそうとしたとき、10メートル先に妊婦がしゃがみこんでいるのが目にはいる。
すぐに二人で駆けつけ、「大丈夫ですか?」と声をかけるが返事はこない。
「どうしました?」
またも返事はない。
さすがにまずいと思い、「救急車を呼びますね」と言い、携帯を取り出した。
そのとき妊婦が口を開いた。
「あのー、すいませんこの近くに交番はあり……」

「破ァッ!!」
「ぐあああああああああああああああ」
黙って成り行きを見ていた同僚が突然叫ぶ!
同時にうずくまっていた妊婦さんも悲痛の叫び声を上げる!

ひっくり返った妊婦さんを見ると、ゆったりとしたマタニティドレスから包丁が顔を覗かせている。
包丁?

30しゃがみこむ妊婦2/2:2015/03/02(月) 18:25:42 ID:/sxxuDok
「危ないところだったな」
「同僚……お前、まさか寺生まれの……T……」

妊婦さんからは黒い靄が立ち上っていき、やがて拡散していった。

「おい、しっかりしろ」
同僚、もとい寺生まれのTさんは妊婦さんの横にしゃがむと優しく肩を抱く。

「う……、うぅん」
「だ、大丈夫ですか!?」
僕も慌てて妊婦さんに駆け寄る。

「はい……もう大丈夫です……」
妊婦さんの目からは涙が流れる。
「わ、私……どうしてあんな事したのか……」
「破っ破っ破」
寺生まれのTさんは声も高らかに笑う。
「気にすることはねぇ、奥さん。もう悪いもんはアンタには憑いてねぇよ」
「「憑いて!?」」
「あぁ、ありゃー生霊だな。妊婦ってなぁ幸せの象徴みてぇなもんだ。
歩いてるだけでも生霊を飛ばされちまうことも結構あるんだよ」
「生霊……」
「あぁ。でももう大丈夫だ。今頃呪詛は本人に帰っていってるぜ!もう立てるか?」
妊婦さんは
「そうですかありがとうございます」と言いながら立ち上がり、
続けざまに「それではまたどこかで」と言うと、妊婦は去っていった。

今思い出しても背筋が凍りつく。
もしあの時同僚の寺生まれのTさんがいなければ、どうなっていたのだろうか。

「まだ時間ありますね。今日は本当にいい天気だ。もうちょっと散歩しましょう」
そう言ってTさんは歩み始める。

寺生まれってすごい。改めて俺はそう思った。

31名無しさん:2015/03/02(月) 18:27:23 ID:/sxxuDok
元ネタは意味怖
http://chikatomo.doorblog.jp/archives/42846148.html

32名無しさん:2015/03/02(月) 18:31:30 ID:/sxxuDok
上尾市周辺で5人の女子中高生に性的暴行を加えたとして、強姦(ごうかん)と強盗強姦などの罪に問われた、元少年T(23)=犯行当時(19)=の裁判員裁判の判決公判が10日、さいたま地裁で開かれ、裁判長は懲役23年(求刑・懲役25年)を言い渡した。

裁判長は、抵抗されないように若い女子中高生を狙っており、怪しげに煌めく掌を見せつける犯行態様は「執拗(しつよう)で悪質」と指摘。
犯行当時19歳だったことに関しては、未熟だったと認めながらも「本件犯行が許されないものであることは十分理解できたはず」とした。
一方で、住職の父親が被害者への賠償を行っている点や、元少年Tが性犯罪防止プログラムを受講していることを考慮した。

判決によると、元少年Tは20xx年11月から14年6月にかけて上尾、桶川市内で、当時14〜17歳の女子中高生5人に性的暴行を加えるなどした上、うち3人から現金計約4600円を奪った。

331/3:2015/03/02(月) 18:31:54 ID:/sxxuDok
「T様、今朝の新聞ご覧になったっすか?」
待ち合わせ時間に遅れているJちゃんは、駆け寄って来るなりそう問い質した。

今朝は神社生まれで巫女のJちゃんからの電話で、朝6時に叩き起こされた。
「T様、アンタまたやっちゃったんすか?」
寝惚け眼で電話を取るなり、大声が耳に飛び込んでくる。
「んぅん?どうしたんだよ、Jちゃんか?」
「Jちゃんか? じゃないっすよ、T様!また新聞に載っちゃってるじゃないですか!」
「新聞?」
「まーた、そんな呑気な声を出して!今度は強盗ですか!?
そ、それに……それにゴ……」
「おい、本当にどうしたんだよ、Jちゃん。
なんだ、ゴって」
「ゴ、ゴ、ゴ……ゴーカンまでするなんて!」
「ゴーカンー!?」
「T様……もう本当に見損ないましたよ、私は。
これじゃ兄様と変わらないじゃないですか!
だから寺生まれとか神社生まれとかは、もう本当にこれだから!
それに情けないですよ!4600円なんて!」
「とりあえず落ち着けよ」
「落ち着いていられません!もうこれはK様にも報告します!!」
「ゴーカンって強姦のことか?
そんなこと俺はしねぇよ」
「でも新聞に!」
「俺は天井にはりつくことはあっても強姦なんてしねぇ。
大体捕まって新聞に載ってる俺がなんで今電話してんだよ」
「あ……」
「破ぁ、まったく……。とにかく俺の名前がまた載ってるのか?」
「そ、そうなんですよ!
陰謀っす!これはT様のご名声を地に落とそうとする陰謀っすよ!」
「陰謀ねぇ」
「はい!間違いないっす!」
「本当、朝からテンション高ぇなぁ、Jちゃんは。
とにかく一度新聞確認してみるよ。
2時間後に霊の場所で落ち合おう」
「了解っす」

342/3:2015/03/02(月) 18:32:17 ID:/sxxuDok
というわけで午前8時半。
寺生まれともあろう者がこんな時間から外をうろつく羽目になったってわけだ。
「それでもう目を通して頂けたんっすか?」
「あぁ、来る時にコンビニで買ってきたよ。これだな」

買ったばかりの新聞の社会面を広げる。
そこには紙面の四分の一ほどのスペースを使って強盗強姦の事件が報じられている。

『上尾市の元少年T、複数の強姦強盗事件で懲役23年確定――――」

「陰謀ってこたぁねぇだろうが。
まぁ嫌がらせ程度には考えてたのかもしれねぇな」
「やはり兄様でしょうか?」
「いや、Nはさすがにこんな姑息なことはしねぇだろ。
やつは俺を消したいだけで、こんなことをしても仕方ねぇと思ってるはずだ」
「それじゃ一体誰が?」
「おそらく……こんなことするのは、おんなじお寺さん連中だろうな」
「お寺さん!?それじゃT様の身内じゃないですか?」
「破はっ、寺生まれだからって皆が皆味方ってわけじゃないさ。
真言の連中とは何度も大きな争いもあるしな」
「真言!!それは知ってるっす!
確かT様と兄様が共闘されたっ……」
「そうそう、あの頃はまだな。
Nはあん時ももすげぇ強くてな……。おっと脱線しちまったな」
「T様……」
「まぁとにかくこういう七面倒臭いことすんのは多分、真言か南都六宗(なんとりくしゅう)の下っ端だよ。
ほっときゃいい」
「そうっすか……なんか安心したっす。T様、昔はやんちゃだったって、兄様とかK様とかから聞いてたから……」
「破はっ、もうそんな歳じゃねぇよ」

353/3:2015/03/02(月) 18:32:43 ID:/sxxuDok
「ところでT様、その肩に乗ってるのは式ですか?」
「いや違うよ。ここで迷って憑いてきたやつだ」
「あー、それで霊の場所を指定したんすね」
「どうせ外に出るしな」
「ここ区画整理で、通り道なのにちょうど袋小路になっちゃいましたもんねー。結構いますね」
「な。
でもまぁこの程度の数ならJちゃん一人で逝けるでしょ?」
「はい!もちろんっす!」
「じゃ、あとよろしくね」
そう言って俺は踵を返し帰路につくことにする。
「滅っ!!」
背後でJちゃんが早速印を結び始める。

破ァ〜ァ。
朝は苦手だ。帰ってもう一度寝ることにしよう。

36名無しさん:2015/03/02(月) 18:33:20 ID:/sxxuDok
>>32,33,34,35
は元ネタ不明

371:2015/03/02(月) 18:35:31 ID:/sxxuDok
俺にはちょっと変な趣味があった。 その趣味って言うのが、夜中になると家の屋上に出て そこから双眼鏡で自分の住んでいる街を観察すること。 いつもとは違う、静まり返った街を観察するのが楽しい。 遠くに見える大きな給水タンクとか、酔っ払いを乗せて坂道を登って行くタクシーとか、ポツンと佇む眩しい自動販売機なんかを見ていると妙にワクワクしてくる。

382:2015/03/02(月) 18:35:50 ID:/sxxuDok
俺の家の西側には長い坂道があって、それが真っすぐ俺の家の方に向かって下ってくる。 だから屋上から西側に目をやれば、その坂道全体を正面から視界に納める事ができるようになってるわけね。 その坂道の脇に設置されてる自動販売機を双眼鏡で見ながら 「あ、大きな蛾が飛んでるな?」 なんて思っていたら、坂道の一番上の方から物凄い勢いで下ってくる奴がいた。

393:2015/03/02(月) 18:36:08 ID:/sxxuDok
「なんだ?」 と思って双眼鏡で見てみたら、全裸でガリガリに痩せた子供みたいな奴が、満面の笑みを浮かべながら、こっちに手を振りつつ、猛スピードで走ってくる。 奴はあきらかにこっちの存在に気付いているし、俺と目も合いっぱなし。 ちょっとの間、あっけに取られて呆然と眺めていたけど、なんだか凄くヤバイ事になりそうな気がして、急いで階段を下りて家の中に逃げ込んだ。 ドアを閉めて、鍵をかけて 「うあーどうしよう、どうしよう、なんだよアレ!!」って怯えていた。

404:2015/03/02(月) 18:36:28 ID:/sxxuDok
すると、ズダダダダダダッって屋上への階段を上る音が。 明らかに俺を探してる。 「凄いヤバイ事になっちゃったよ、どうしよう、マジで、なんだよアレ」って心の中で呟きながら、声を潜めて物音を立てないように、台所の前で武器を手に握って構えてた。 しばらくしたら、今度は階段をズダダダダッって下りる音。 もう、バカになりそうなくらいガタガタ震えていたら、ドアをダンダンダンダンダンダン!!って叩いて、チャイムをピンポン ピンポン! ピンポン ピンポン!!と鳴らしてくる。

415:2015/03/02(月) 18:36:52 ID:/sxxuDok
「ウッ、ンーッ!ウッ、ンーッ!」って感じで、奴のうめき声も聴こえる。 心臓が一瞬とまって、物凄い勢いで脈打ち始めた。 「あー、もうダメだ、我慢の限界だ!」 俺は鍵をはずし、勢いよくドアを開けて 奴の腕を掴んで家の中に引きずり込んだ。 ドカッ!っと仰向けに倒れた奴の上にかぶさり 「久しぶりの食事だ!」ってヨダレを垂らしながら言った。 奴は今までの笑みから恐怖と絶望の表情に変わり、俺は手にした武器(包丁)を奴の喉に突き刺して腹まで裂いた。 俺は何度も何度も、包丁で奴を刺しまくった! これだから、夜中に双眼鏡を覗くのはやめられない。

426:2015/03/02(月) 18:37:17 ID:/sxxuDok
刺す!刺す!刺す!刺す! 俺は喜びのあまり キャッキャッハハハハー!と笑ってしまった。 すると突然振り下ろしていた包丁を握っていた腕を掴まれた。 驚いてうしろを振り向くと、俺の腕を掴んでいる一人の男が立っていた。 「誰?アンタ…」って言うと男は静に答えた。 「なに、消滅依頼があってな、悪いが二人とも そのまま消えてもらうゾ」 俺は訳も判らずに「ハァあ?」って返した、すると男は手のヒラを俺の前にかざし、ゆっくり静に 「破ァァァァァァァァ…………!!」って言った。 俺が最後に見た光景は、まばゆい光の中、ニッコリと微笑んでいる男の顔だった。 俺は心の中で呟いた 「寺生まれの……T…さん?………す…すごく…ネ!………………」

43名無しさん:2015/03/02(月) 18:38:05 ID:/sxxuDok
元ネタは双眼鏡
http://chikatomo.doorblog.jp/archives/26972736.html

441/8:2015/03/02(月) 18:39:14 ID:/sxxuDok
「Jちゃん、この間はご苦労様だったね」
「いえいえ、余裕でしたよ!
とりあえず兄様の資金源、一つ潰せて良かったっすね」
「そうだな」
「取り逃がしたのは残念だったっすけど」
「それは、俺が甘かった。すまない」
「いえいえ!そういう意味じゃないっすよ!
でも……、この作戦で兄様を追い詰められるといいっすね」
「あぁ、今度こそ捕獲するつもりだ!
奴を此処で捉えねば、この世は未練で溢れちまう。
NもそろそろJちゃんのところに帰りたいだろ」
「はい……兄様が目を覚ましてくれればいいけど……」

ペットショップで陰陽師のNをあとわずかのところまで追い詰めながら逃してしまったチームT。
その後の調査でどうやらNが、この町に潜伏していることを突き止めていた。

プルルルル
電話がなる。

452/8:2015/03/02(月) 18:39:36 ID:/sxxuDok
「こちらT」
「私です」
どうやら電話の主は教会生まれのKさんのようだ。
「掴んだか?」
「いえ、残念ながら……。
しかし手口が判明しました」
「ほう?やはり『暗示』か」
「そうです、さすがですね。
今この街ではやたらと通り魔の事件が多発してるでしょう?
あれです」
電話口からKの声が漏れ聞こえてくる。
Jの顔が思わず歪む。
「兄様……、また犯行を重ねて……」
「Nはターゲットに暗示をかけ、その者は他者の家に押し入り殺害。
そこを潜伏先にしており、その数も徐々に増やしているようです」
「くっ!兄様!
はっ!?
でもT様、どうして兄は潜伏先の人間に暗示を掛けずにわざわざそんなことをするんすか!?」
「Kも俺も暗示を掛けられている人間を見れば一発で分かる。というかこの町程度の広さなら、大凡どの辺りに暗示が掛けられている人間がいるか分かる。
Jちゃんもそうだろう?」
「はい、私程度では街全体は把握できませんが」
「うん、Nもおそらくそれは分かっている。そうするとだな、」
「なるほど。そういうことですか」
「そう、それでは潜伏先にならない。
おそらく暗示を掛けられた人間は全てを忘れて自宅に戻ってるはずだ」

「そこでです、T」
電話口から再びKさんの声がする。
「先ほど新たな暗示の気配を感じました。すぐ近くです」
「なに!?すぐ食い止めねば!」
「まちなさい、T。作戦はこうです。
まず私が暗示の者のところまで行きます。
なに、そんなに時間はかからないでしょう。
そこでNの暗示はそのままに、Nの目を盗み電話の通知先だけなんとか確認します。
そこで……」
「よし、その作戦で行こう」

こうしてTさんとKさん、JちゃんのN包囲網作戦は再び開始された。

463/8:2015/03/02(月) 18:40:02 ID:/sxxuDok
「よう!久しぶり!」
「久しぶり…ゴホ!ゴホっ!」
「どうした?風邪か?」
「ああ悪性のインフルらしい。今、家で寝てるとこ」
「インフルかよ。物騒だな。気をつけろよ」
「本当最近物騒だよ。近所では通り魔事件が多発してるらしいし」
「何だそれ」
「何でも突然部屋に入ってきて後ろからロープで首をギュッ、といくらしい」
「何それ。気付くだろ。普通。まあ俺なら即返り討ちにしてやっけどな」
「返り討ち?言うねー、そんなマジキチ相手に?」
「余裕っしょ!」
「マジでか。でさ………ゴっ!ごほっ!ゴホっ!ゴホおっ!!」
「おいおい大丈夫かよ?」
「………わりい。大丈夫大丈夫。風邪ひどくなってきた」
「大丈夫か。声変わってんぞ」
「ああ…ところで今度お前んち行きたいんだけどさ。道教えてくんない?」
「おいおい。何回も来たことあるだろ?」
「忘れちまった。住所教えてくれたら行くよ」
「しょうがねえな。XXXX町XXXX番地な。もう忘れんなよ」
「わかった。今度必ず行く」
「じゃ安静にな」
「ああ」

ガチャ。

「ご協力どうもありがとう」

さっき急にこの男たちが訪れてきた時には驚いた。
「急なことで混乱するかもしれないが、今、君は狙われている」
「狙われていまっす!」
「はい?」
突然現れたこの袈裟の坊主と巫女さんは、最初の言葉で僕の命の危険を知らせてきた。

474/8:2015/03/02(月) 18:40:39 ID:/sxxuDok
「最近この街で通り魔事件が多発しているのは知っているか?」
「知っていますかっ?」
通り魔事件……、たしかに通学路にある交番の掲示板にそんなことが書いてあった気はするけど……。
「とにかくその通り魔が君を狙っている」
「狙っていますっ!」
むしろこの二人組が怪しいんだけど……。

「T様。この方もしかして私たちを疑ってませんか?」
「うむ」
「暗示……、かけちゃいます?」
「待て。この者には罪も悪気もない。そんな者に簡単に術を使うなんていけないよ、Jちゃん」
「はい!すみませんっした!T様」
うわ、本当に怪しいぞ……!

「君、まもなく君のところに電話が来るだろう」
「で、でんわ?」
「そうだ。そこでおそらく君の住所を聞き出そうとするはずだ。怪しい者が訪ねてくるためになっ!」
すでに怪しい者に訪ねられちゃってるんですけどっ!

「いや、あの結構ですので……」
こんな人たちと関わっちゃいけない。
そう判断した僕はなんとか玄関をドアを閉めようとする。

485/8:2015/03/02(月) 18:40:59 ID:/sxxuDok
「破ァッ!!」
男の手が目の前に突き出されたかと思うと、僕はゆっくりと意識を失っていった……。

「……。
T様……。なにやってるんすか、アンタ」
「……。
Jちゃん……。これは緊急措置というやつだ。
ここでこの青年と問答している時間はない!
目的を忘れるでないぞ!」
「……」

目を覚ました時、そこは天国だった。
巫女さんの膝枕の上に僕の頭は乗っており、暖かな光を放つ手が翳されていた。

「あ、目を覚ましましたか?
すみません、ウチのT様が……」
「あ、いえ……」
美しい少女の鈴の音のような声が気持ちよく耳に入ってくる。
「私は神社生まれで巫女のJといいます。
それでですね、お訪ねした訳は……」

Jちゃんのいうことなら信じられる!
僕は電話の応対を任されることにした。

--

Tさんの携帯とKさんの携帯は通話状態になっている。
「ここまでは順調ですね」
「あぁ、しかし……」
「そうですね。電話の主はもうまもなく……おそらく5分ほどでここに来る程度の場所に位置しているはずです。
しかしNの気配を感じません」
「奴は気配を消すのも上手い。でもこれはそういう感じじゃないな」
「おそらく犯行時は別の場所で待機しているのしょう。慎重なやつです」
「ということは、蟲毒を使ってがっちり暗示を掛けられている可能性が高いな」
「はい。蟲毒を退け、なおかつ目的を達成したと思わせNのところまで案内していただく。その上、その者を無傷でNから回収しなければならない。
難しいミッションになってしまいました」
TさんとKさんが難しい顔をしている横で、神社生まれで巫女さんのJちゃんはしょんぼりしている。

496/8:2015/03/02(月) 18:41:31 ID:/sxxuDok
「すみません、本当に。兄様のことで皆様に迷惑をお掛けして……」
TさんもKさんも優しい笑顔をJちゃんに向ける。
「気にすることはありませんよ。これは主から与えられた私の仕事です」
「そうだぜ。これは俺とNとの因縁でもある。
今さら気にするのはなしだぜ。破ァ!」
Tさんが軽くJちゃんの肩を叩く。
「ひゃぁぁ。
あ、あ、あの……T様といえども婚姻前の異性に触れることはっ、その……
はしたないですっ!」
「さっきはこの少年を膝枕してたじゃねぇか」
「T様っ!あれは治療っす!」
「お、もうすっかりいつものJちゃんだな!」
「T。セクハラしてる場合じゃありませんよ。
もうまもなくですよ!」
「おう!分かってるぜ!」
Jちゃんも真顔に戻って玄関を見つめる。

ピンポ〜〜ン

「よし、ここは俺がまず応対する。青年とJちゃんは警戒させないよう隣の部屋に」
「了解っす!」
「わかりました」

ピンポ〜〜ン
再びチャイムが鳴る。

「はぁ〜い」
Tさんが小走りで玄関に向かう。
「どちら様?」
「ゴホッ、ゴホッ。俺だよ、俺!さっき行くって電話したろ?」
「はぁ〜い、ちょっと待ってねー」

扉を開けると、そこにはまだ秋口にもかかわらず真冬のようなコートを着込み、ニット帽を被り、マスクをした職質待ったなしの男が立っていた。

「まってたよ!入って入ってっ」
「ゴホッ。あぁ、お邪魔します」
Tさんがスリッパを出そうと背を向けたその時!

507/8:2015/03/02(月) 18:41:55 ID:/sxxuDok
「う……う…。あ……」
Tさんの背後で男の呻き声が聞こえる。

「どうした!?」
Tさんが慌てて振り返る。

「う……う……」
苦悶の表情を浮かべ、呻き声を上げながらも男は不気味な笑顔を形作る。

「T……、いるんだろ……Kも……J……も」
焦点の合わない目で男の口から音が漏れ出る。
とてもこの男の体から発せられているとは思えない。
体が芯から震える。
そっと肩に暖かな手が差し伸べられる。
「大丈夫だよ、青年。
私がいるから!」
Jちゃん!

「ククッ……クッ……。
……残念……だったな……。
俺を……おびき寄せる……つもり……だったか……ゲフッ」
マスクが鮮血に染まるっ!
男がマスクをかなぐり捨てるとベチャッという音がしてマスクが叩きつけられる。
現れた男の顔は……見知らぬ男だった。

「ククッ……こんな……罠には嵌らんよ……
お前たちへのペナルティとして……この男を……
蟲毒爆弾……として……差し上げるよ……ガフッ」
男が再び盛大に血を撒き散らすっ!
あぁ、大家さんに怒られるっ!

「Jちゃん!手伝えるかっ!?」
「はいっ!」
Jちゃんも玄関先に飛び出す。
僕も訳も分からず一緒に飛び出してみる!

「まずい、体内の蟲毒が暴れている!」
「うわ!かなりの数っすね!」
見ると、まるでエイリアンの映画のように体内を何かが蠢いている。
今にも皮膚を突き破りそうだ!

「ゲフッ!ガフッッ!!」
男の体が、さながら操り人形のように右に左に大きく揺さぶられる。

「一気に蟲毒を消し去ればこの男の体が持たない」
「そのようっすね」
「出力を抑えて消していくしかない。いくぞ!」
「はいっ!」

「「破ァッ!!」」

TさんとJちゃんが同時に男に手を翳す!
男の体がますます大きく揺れていき、体内を這う何かの動きが激しくなっていく。

518/8:2015/03/02(月) 18:42:31 ID:/sxxuDok
「「破ァァァァァァッァァッァァァl」」

光が強くなっていく。
信じられない光景が目の前で繰り広げられているっ!

「くっ!凄い数だっ!」
「はい、この方の体がこのままじゃ持たないっす!」

「アーメン!!!」
その時男の背後に全身真っ白な男が踊りだす。

「K!!」
「K様!!」

「アーメン!
私が体の維持を担当しますっ!
あなた達は一気に蟲毒を消し去ってください!」
「よっしゃ、行くぜ、Jちゃん!」
「はい、T様!」

真っ白な光に包まれ、もう目の前も見えないっ!

「「破ァァァァァァッァァッァァァl」」
「アーーーーーーーーーーーーーメン!」

……。
一瞬の静寂の後、視力が回復した。
操り人形のようだった男はKさんにお姫様抱っこされている。

「ふぅ、なんとかなったな」
「はいっす!」
「この方は教会に寄ってもらえばもう大丈夫でしょう」

「だけど今回も兄様は捕まえられませんっしたね……」
「あぁ。だが仕方ない。また一から追跡だ」
「そうですね。私も尾行が甘かったかもしれません」

「よし!じゃあまたそれぞれNを追うことにしよう」
「はいっ!私も必ず兄様に罪を償わせます!」
「Jさん、見つけたらまず私たちに連絡してくださいよ」

「では青年!世話になったな!」
「じゃあね、青年君!」
「青年よ、神のご加護を」

そういうと謎の一行は一瞬で姿が見えなくなってしまった。

……。
夜の静寂が帰ってくる。
まるで夢の中の出来事のようだ……が、これは間違いなく現実の出来事だ。
あぁやって世界を護ってる人たちもいるんだな。
いろんな世界がある。
ひとつ大人になった日だった。

……。
幻覚だったらよかった。
この血塗れの玄関……どうすんだ……これ……。

52名無しさん:2015/03/02(月) 18:48:39 ID:/sxxuDok
ほぼ原型を留めていませんが、原型は↓の意味怖。

「よう!久しぶり!」
「久しぶり…ゴホ!ゴホっ!」
「どうした?風邪か?」
「ああ悪性のインフルらしい。今、家で寝てるとこ」

「インフルかよ。物騒だな。気をつけろよ」
「本当最近物騒だよ。近所では通り魔事件が多発してるらしいし」
「何だそれ」
「何でも突然部屋に入ってきて後ろからロープで首をギュッ、といくらしい」

「何それ。気付くだろ。普通。まあ俺なら即返り討ちにしてやっけどな」
「返り討ち?言うねー、そんなマジキチ相手に?」
「余裕っしょ!」
「マジでか。でさ………ゴっ!ごほっ!ゴホっ!ゴホおっ!!」

「おいおい大丈夫かよ?」
「………わりい。大丈夫大丈夫。風邪ひどくなってきた」
「大丈夫か。声変わってんぞ」
「ああ…ところで今度お前んち行きたいんだけどさ。道教えてくんない?」

「おいおい。何回も来たことあるだろ?」
「忘れちまった。住所教えてくれたら行くよ」
「しょうがねえな。XXXX町XXXX番地な。もう忘れんなよ」
「わかった。今度必ず行く」

「じゃ安静にな」
「ああ」

531/4:2015/03/02(月) 18:49:58 ID:/sxxuDok
今の街に越してきて、2週間ほどたった頃のことだ。
残業を終えて終電で最寄り駅を降りてから、自宅まで急ぎ足で向かっていたときのこと。
途中信号機のない高架下の道路と、高架沿いの道路が十字にクロスした交差点があり、
見るからに暗く、夜間女性が一人で歩くのは勧められないような横断歩道を渡りきったところで、 ふいに背後から「すみません」と声を掛けられた。

飛び上がるほどびっくりして振り向くと暗い表情の女性がすぐ背後に立っている。
交差点を渡るとき、いずれの方向にもその女性は見えず、背後から足音も聞こえていなかったので、「あれ?」という凄まじい違和感があったのだが、ハッキリした存在感があり、少なくとも幽霊とは思えない。

「先週この交差点でひき逃げ事件があったんです。」
「ひき逃げ? そ、そうでしたか…。」
「私、ずっと目撃者を捜しているんです。」
「えっ、個人的に探されているんですか?警察には届けられました?」
その問いかけを無視するように右手をすっと挙げて、俺の背後を指さす。
「向こうからきた車にひかれたんです。」
その様子や仕草、表情の不自然さにゾクリとしながら、指さされたその方向をゆっくりと振り返る。車もまばらな国道が目にはいる。
と、その時だった。

542/4:2015/03/02(月) 18:50:20 ID:/sxxuDok
「破ァッッッ!!!」

何者かの気合が背後で迸るっ!

慌てて振り向くと、袈裟を着た男が女性に向かって手を翳していた。
男の手を中心に白い淡い光が広がる。

「ああああああああああああああああああああ」
女性は苦悶の表情を浮かべ、この世のものとも思えない叫び声をあげる!

それでも掌を向けられた女から目を離すことができない。
「そうだな、苦しいな。すまない」
男がつぶやく。
それでも男は翳す手の力は緩めていないようだ。
「もうしばらくの辛抱だ。破ァツ!」

その時違和感に気づく。
見ている風景が少しおかしい。
……!
透けてる!?

男は女に手を翳し続けている。
女性の体が透けていっている!?

「ああああああああああああああああああああああ、
あああああああああああああああああ」
間違いない!
女性の体は黒っぽい煙に包まれながら徐々に透けているっ!

「さあ、もうすぐだ。破ァッッッ!!!」
より一層の気合が男から放たれるっ!
女性を包む黒い煙はまるで女性にしがみつくように、うねりながら体にまとわりつく!
「未練であろうっ!しかしあなたは次に行かなければならないっ!
逝くのだっ!破ァッッッ!!!」
「ああああああああああああああああああああああ」
さっきまでの悲痛な叫び声とは違う、どこか安堵感が混ざったような絶叫を響かせながら女性を包む黒い霧は消し飛んだ!

553/4:2015/03/02(月) 18:50:56 ID:/sxxuDok
女性は白い光りに包まれている。

「ありがとう。寺生まれのTさん」
「ふん、これが仕事だ。おまえさんもよく頑張ったよ」
「はい。苦しかったけど、この場所に縛り付けられ続けると考えたらもっと恐ろしい……。
寺生まれのTさんが来てくれてよかった」
「そうか。もう迷わず逝けるな?」
「はい。犯人のことは心残りだけど……。
私轢かれる瞬間の記憶がなくて……」
「それは、俺に任せろ。さっきお前さんの最後の記憶が俺に飛び込んできたよ。
必ずお縄にしてやるから」
女性を包む白い光が強くなっていく。
「そろそろお別れだな」
「はい、さようなら寺生まれのTさん。
人として逝かせてくれてありが……と……う」

パアア……
優しく光る白いモヤが球体となって拡散する!

一瞬の後、訪れたのはいつもの帰り道の風景だった。
声を掛けてきた女性の姿も袈裟の男の姿も見当たらない。

……。
仕事で疲れて幻覚を見ていたのだろうか?
周りをもう一度見回すがやはりどちらの姿もない。

夜だけど……、白昼夢でも見たか。
ふと交差点の看板が目に入る。

『ひき逃げ事故発生!事故を目撃された方は下記連絡先までーー」

564/4:2015/03/02(月) 18:51:25 ID:/sxxuDok
やはり幻覚ではなかった!?
さっき声を掛けてきた女はやっぱり!?
死ぬほどの恐怖が全身を凍り付かせ、ガクガクしてもつれる足を蹴り出し、自分でも訳のわからない叫び声を出しながら、なんとか帰宅した。

それにしてもあの袈裟の男。
寺生まれのTさんと呼ばれていた男は何者なんだ!?

翌朝の出勤時。
昨夜の交差点にさしかかる。
信号で止まる。
明るく交通量の多いこの交差点を見ると、ますます昨日の出来事が夢だったように感じる。

あれ?
看板がなくなっている!?
昨夜間違いなく確認した、信号の向こうの『ひき逃げ事件発生』の看板が撤去されていた。
代わりに看板のあった場所には真新しい花が置いてあり、花の間には紙……、手紙だろうか、が挟まっているように見える。

信号が青に変わる。
通り過ぎる時、手紙に書かれた一行の文字が目にはいる。

『犯人捕まってよかったね。安らかに。○○ちゃん』

さすがに仕事が速いぜ、寺生まれのTさん。
心の中で小さくガッツポーズをした。

574/4:2015/03/02(月) 18:54:03 ID:/sxxuDok
元ネタ
http://www.enigmarvel.com/blog-entry-6969.html

58名無しさん:2015/03/02(月) 18:56:19 ID:/sxxuDok
http://chikatomo.doorblog.jp/archives/42500124.html#comments
でのコメ欄の発言

5. (´д゚lllノ)ノ ヒイィィィ!! 2015/02/15 00:45
勇気を出して言ってやるゾ! 言うゾ! 「Tさんネタは もう いいんじゃないかなぁ なんてね」

59名無しさん:2015/03/02(月) 18:56:46 ID:/sxxuDok
8. (´д゚lllノ)ノ ヒイィィィ!! 2015/02/15 02:19
ちょっと不思議なことが起きてるんだけど聞いて欲しい。
なんでもいいから手がかりがほしいんだ。

俺には中学からずっと一緒の友達がいてな。
全然タイプが違うんだけど何故か馬が合って、結局大学まで一緒になってもう10年の付き合いになる。
あ、どっちも男なんだけどな。

友達は中学は科学部とかいう何やってるんだか分かんない思いっきりインドアで、俺はずっとサッカー部で、タイプが全然違うのに、本当になぜか一緒にいて落ち着くやつで、こうして夜になるとだいたいどっちかの家に行ってたりするんだよ。

それでな、今日もバイト終わりに友達のところに来てるんだ。
俺はまだ実家なんだけど、友達は大学に入ってから一人暮らししてるから、こっちに来ることが最近では多くなってな。
バイトの後も寄りやすいし。

今日は10時半ぐらいに上がったから、ここに着いたのは多分11時ぐらい。
いつもみたいに缶ビール4本買ってきて、シャワー借りてそれぞれチビチビ飲んでたんだ。

60名無しさん:2015/03/02(月) 18:57:02 ID:/sxxuDok
9. (´д゚lllノ)ノ ヒイィィィ!! 2015/02/15 02:20
毎日のように、というか毎日おんなじようにしてるから話すことなんて別になくてさ、というかそういう、話しなきゃみたいな空気を全く感じないところもいいところなんだよな。
すまん脱線したけど、とにかくバラバラにビール飲んでてさ、あいつはパソコンでなんか見てて、俺はボーっとテレビ見てた。

ちょうどCMになったんで、「なに見てんの-?」って聞いてみたら「こわいはなしー」って返ってきてさ。
俺は怪談とかそういうの超苦手だから「ふーん」とか言ってまたテレビに戻ったんだ。

それからこの辺からよく分かんないんだけど、確かビールを一本飲みきって、新しいのを取りにいこうとしてたんだけど、
あ、そうだ。見てたニュースがスポーツに変わって、これ見たら冷蔵庫行こうと思ってたんだ。
1Kのけっして広いとは言えない部屋だからさっさと取りに行ってもよかったんだけど。

野球のキャンプ中継が終わって、「サッカー……」ってアナウンサーの声が聞こえたところで急にテレビが、プツン、と切れたかと思うと、視界が一面青白くなって、なんも見えなくなったと思ったら、すげえ轟音っていうか、雄叫びみたいのが頭に鳴り響いた。
と思ったら次の瞬間にはまたいつもの光景に戻ってな。
テレビでも明日のJリーグのことやってた。
多分一瞬のことだったと思う。

61名無しさん:2015/03/02(月) 18:57:18 ID:/sxxuDok
10. (´д゚lllノ)ノ ヒイィィィ!! 2015/02/15 02:20
なにが起きたかもう訳分かんなくて、「おい、今の!」って友達の方振り向いたら、デスクに座ってなかったんだ。
トイレでも行ってたかと思って呼びに行ったがトイレにもいない。
もちろん風呂にもいなかった。
玄関を見ても、友達の靴が置いたままになってるから外に出たとも思えない。
ドアが開いた音もしなかったし。
さすがに出かけるなら、一声掛けてから行ってると思うんだよな。

さっきの変な光もそうだし、いい年して友達がなんか悪ふざけしてんのかと思ってさ。
もう一回家の中を隈なく探してみたんだ。
って、さっきも言ったけど1Kの部屋だから隈なく探すっていっても、トイレと風呂、クローゼットを見たら他に探すところもない。
デスクの下にでもいるのか覗いてみたけどもちろんいない。
その時手を掛けた椅子にまだ温かさが残っているのがなんか気味悪かった。

まあ、そんな悪ふざけをするようなやつじゃないんだ。もともと。
だからこそ今の状況が意味が分からない。
一応共通の友達とかにもLINEしてみたけど、お前のがアイツのことは詳しいだろって返されるばかりだ。

そん時、隣の家のやつが、俺はあんまり話したことないんだけど、友達と同じ学部だったのを思い出してさ。
さっきの轟音とかのこととかもあるし、もしかしたら隣までだから裸足のまんまってこともあるかもしんないと思って、夜遅くて悪いと思ったけど行ってみたんだ。

62名無しさん:2015/03/02(月) 18:57:40 ID:/sxxuDok
11. (´д゚lllノ)ノ ヒイィィィ!! 2015/02/15 02:21
チャイムを鳴らしたら、すごい不審そうな感じだったけど、名乗ったらドアをすぐ開けてくれてな。
こっちに友達が来てないか聞いてみたら、いないって。
というか一度も家を行き来したことはないって。

それからさっきの音って何だったんだろうな、って聞いたら「音って?」って言うんだ。
いやついさっき、超馬鹿でかい轟音ていうか、雄叫びっていうか、とにかくすげー音がしたろ! って言ってもそんな音は聞いていないという。
もちろん光も知らないって。
で、DVD見てる途中だからもういいか?って言われてすごすご帰って来た。

最後に会話してから、あの青白い光りに包まれて轟音を聞くまで、たぶん2,3分だったと思う。
本当に一瞬で友達が消えてしまった。
もう何をしていいか、どこを探していいか分かんなくて放心しちゃってたと思う。

しばらくどうしていいか分かんなくなってたんだけど、パソコンが目に入ったんだ。
もう画面は黒くなってたけど、マウスを触ったら、このサイトのこの画面が表示された。
よく分かんないけどさ、このサイトって怖い話のサイトなんだよな。
もし知ってたら教えて欲しい。
人が突然消えることなんてあるのか?
ちょうど開いたこのページに『心おきなく破ァされてくれ! 』って書いてあるけど、これは何のことなんだ?
この文字見て確信したんだけど、さっきの青白い時の雄叫び。

確かに『破ァッッッ』って言ってたように聞こえたんだ。

631/3:2015/03/02(月) 18:59:20 ID:/sxxuDok
先日、栃木県鬼怒川の河川敷と那珂川町のがけ下で、チワワやミニチュアダックスフンド、トイプードルといった小型犬約80匹の死骸が発見されるという痛ましい事件が発生した。

11月18日には元ペットショップ店員が逮捕され、
「犬の引き取り料として100万円を受け取った」
「販売目的で犬を引き取った」
と供述。

見つかった犬の死骸が避妊や去勢がなされていない成犬だったことから、繁殖目的だった犬をブリーダー(繁殖家)から引き取ったのではないかと見られている。

だが、こうした事件は氷山の一角に過ぎない。『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(太田匡彦/朝日新聞出版)には、犬をめぐる悲しい現実が生々しく描かれている。

まず、全国に約60店舗を展開するという大手ペットショップでアルバイト経験がある男性の証言を紹介しよう。

彼が見たペットショップの裏側は、悲惨なものだった。照明に照らされて透明のケースに入れられた子犬たちが売られている一方、
バックヤードでは〈皮膚病にかかっていたり、店員が誤って骨折させてしまったりして「商品」にならないと見なされた子犬〉が13匹、段ボールに入れられていた。

そして、ある朝、店長がベテランのアルバイト女性にその段ボールを「もう持っていって」と言った。
男性がどこに持っていったのかをたずねると、ベテランのバイトはこう答えたという。

「保健所に持っていった。売れない犬を置いていても仕方がないし、その分、スペースを空けて新しい犬を入れた方がいい」

64名無しさん:2015/03/02(月) 18:59:43 ID:/sxxuDok
(2/3)
2009年に兵庫県尼崎市で約300匹の犬を違法に飼育し、年間50匹もの売れ残った犬を
市の保健所で殺処分していたことが発覚したが、同様のケースは数多い。
一般家庭から飼育放棄された犬だけでなく、ペットショップの犬もまた、保健所で殺されているのである。

また、専門学校の研修で別の大手ペットショップチェーンで働いた男性の証言は、さらにショッキングだ。

研修開始から3、4日後のこと。彼は店長が生後約6か月のビーグルの子犬を〈生きたままポリ袋に入れている〉のを目撃してしまう。店長は、この研修生にこう言ったという。

「このコはもう売れないから、そこの冷蔵庫に入れておいて。死んだら、明日のゴミと一緒に出すから」

あまりの店長の言動に動物が好きで好きで、いつでも一緒にいたくてペットショップにはいった研修生は絶句してしまう。

「店長…、できません……。この子を出してあげてください」
「あれ?研修生ちゃんが買ってくれるの?
じゃあもうすぐ成犬だし、従業員割引ってことで……」

飼いたい。
飼ってあげたい。
この子だけなら飼ってあげられるぐらいのお金はある。
でも。
こんなことがこの店ではきっと続いてる。
いつでも助けてあげられるわけじゃない。

65名無しさん:2015/03/02(月) 19:00:00 ID:/sxxuDok
(3/3)
「どうしたの?そっか、やっぱりやだよね〜、こんな大きくなっちゃったビーグル。
あとさ、あのケージのダックスだけどさ、来週中に売れなかったらおんなじようによろしくね!」

やっぱり!
助けてあげたい!
でもどうすることもできないの?

「はやく〜。
僕他にも仕事あるんだから今持って行ってよ」

どうしよう……
できない……

「もうしょうがないな〜。これも仕事のうちだよ。
ペットショップは可愛がるのが仕事じゃなくて、売るのが仕事なんだからさ」

たしかにそうかもしれない。
ペットショップはワンちゃん達を売るところ。
……。
だからって、売れ残った子を見殺しにするなんて。
うぅん、見殺しなんかじゃない、殺さなければいけないなんて。

「はやく〜」

仕事のうち?
割りきらなきゃいけない?

もう思考が停止しそうだ。

急かす店長に促されるように、無意識にビーグルの入れられたビニール袋に手を伸ばす。

「その必要はない」

不意に後ろから声がする。

「いいんだ、研修生ちゃん。そんなことをする必要はない」
振り返ると一人の男が立っている。
誰?

「誰だ、お前は?ここは従業員以外立ち入り禁止だ。出てってくれ」
そう言って店長は私の横を通り過ぎると、見知らぬ男の肩を押す。
「ほら早く!」

店長は見知らぬ男を押し出そうとするが、男はびくともしていない。
店長より頭ひとつは大きい男が、屈んで店長の目を覗きこむ。

66名無しさん:2015/03/02(月) 19:00:17 ID:/sxxuDok
(4/3)
「きさま、操られているな?」
「操られている?訳の分からないことを言うな。
ほら!はやく出て行ってくれ!」

「ふん、しかし所詮は同じ穴のムジナか……」

見知らぬ男は手の平を店長に向ける。

「破ァッ!!」
男が一喝すると手の平から青い光弾が放たれるっ!!

一瞬部屋が白く煌めいたのち、店長は膝から崩れ落ちていった。

「店長っ!」
「大丈夫だ、心配ない。死んではいない」
店長はうつ伏せに倒れたまま口から泡を吹いている。

店長を見下ろしていると
「破ァッッッ!!」

また男の叫ぶ声が聞こえる!
光弾は店長室のドアを破壊するっ!

「ༀ༌(オーム)」
店長室から低い声がすると光弾が収束していく。

「やはり貴様が黒幕か、N」
店長室からゆっくりとした足取りで一人の男が姿を現す。
この店では見たことのない男だ。
「もう嗅ぎつけたか、T」
「貴様の資金源は全て潰させてもらうぞ、破ァッ!!」
Nと呼ばれた男は光弾をふわりと躱す。

ドォーン!ペットフードが山積みとなった棚を破壊していく。
勢いは止まらずその先の窓ガラスをも撒き散らしていく。

「ふん、相変わらず見境がないな、T。
まぁいい、どうせ此処を嗅ぎつけられたということはもうここでの駕ぎもやっていけないよう準備をしてきたんだろう?」
「もちろんだ!そっちは今Jちゃんに行ってもらってる。
N!もう資金源は断たれたぞ!」
「いいだろう、この場は貴様に譲ろう。
またすぐに会うことになるだろう。クックックッ」

Nと呼ばれる男はそう言い残すとまた低い声で何かを詠唱している。
「ༀ༌(オーム)」
その謎の言葉を最後にフッとNの姿は掻き消えてしまった。

「逃したか……。おっと研修生ちゃん、大丈夫だったかい?」
「は、はい」
「うぅ〜〜ん……」

その時足元の店長が目を覚ましたようだ。
体を起こして首を振っている。

67名無しさん:2015/03/02(月) 19:00:30 ID:/sxxuDok
(5/3)
「あれ……?ここは?」
「店長!大丈夫ですか!」
「研修生ちゃん……そうだ、さっき研修生ちゃんにビーグルを……
なんであんな事を……、それで『破ァ』という声が聞こえて……」
「目覚めたか」
見知らぬ男が店長に問いかける。
「『破ァ』?、もしやあなたは寺生まれのTさんでは?」
「ふん、俺のことなんてどうでもいい。
それより貴様なにをしていたか覚えているんだろう?」
「はい……、犬や猫たちには本当にひどいことをしてしまいました……」
「うむ。いくらNに操られていようと殺生を繰り返すほどのイメージを与えるにはその者の根底に魔がなくてはならない」
「はい、申し訳ありません。お金に目が眩んでおりました……」
「破ァッッツ!」
Tさんが一喝する。

68名無しさん:2015/03/02(月) 19:00:48 ID:/sxxuDok
(6/3)
光弾は出なかった。
「店長っ!俺に謝ってどうする!貴様のやらなければならないことはなんだ!」
「うぅ、奪ってしまった命に謝罪をするばかりです……」
「そうだ、奪ってしまったものはもうこの世に還すことはできない。
だがお前がないがしろにすれば成仏できない霊となって、未練を残して現世をうろついてしまう。輪廻の機会も失われたままにな」
「はい」
「うん、もう大丈夫なようだな。研修生ちゃん、君もしっかり店を立て直してくれよ!」

Tさんはそう言って最高の笑顔を見せると、先ほど自分が蹴散らした窓枠を器用に飛び越すと夜の闇に消えていった。

「店長……」
「うん、研修生ちゃん。君にもヒドいことを頼んでしまったね。申し訳ないことをした……。
僕は明日警察へ行くよ。
全てを自供して殺めてしまった命のために祈りたいと思う」
店長はさっきまでとはちがう、澄んだ目で私に語りかける。
「僕は取り返しのないことをしてしまった。償っても償いきれない。
だけど研修生ちゃん。
ここにはまだ多くの犬達が幸せな家庭に行けることを待ち続けている。
あの子たちを君に頼んでもいいかい?」
「店長……、もちろんです!」
そう言うと店長はニッコリと笑って片付けを始めた。
「寺生まれのTさんに感謝しなければ、な」
「はい」

寺生まれのTさんが来なければ、私も殺生の道に踏み込んでしまったのかもしれない。
それにしてもあのNという男は?
店長に……。
いや、もう言うまい。
私には関係のない話だ。
Tさんに感謝して動物たちのために働いていこう。
そう心に誓って私もTさんが蹴散らしたペットフード500kg分の片付けを始めることにした。



69名無しさん:2015/03/02(月) 19:02:11 ID:/sxxuDok
元ネタはペット流通の闇
http://chikatomo.doorblog.jp/archives/42591486.html

70名無しさん:2015/03/02(月) 19:06:05 ID:/sxxuDok
http://chikatomo.doorblog.jp/archives/42035884.html

しかしながらその願いは「破ァ」という声とともに霧散した
はっとなって俺は顔をあげると朝日に照らされた本やノートの山に囲まれていた
先刻の声の元を見遣ると部屋の戸口に一人の男が立っていた「危ないところだった。俺がこなけりゃお前はその世界にのまれ帰って来ることはなかったろう。」「勉強もほどほどに、たまには外の景色に目をむけろ」そういうと男は本棚にあったいかがわしい本を数冊手にとって家を出ていった。
俺は唖然としつつもカーテンをひらき外をみると銀世界が広がっていた。その中を男が歩いて行くのを見、俺は寺生まれは甚だしい者だと思ったのだ

71名無しさん:2015/03/02(月) 19:07:27 ID:/sxxuDok
http://chikatomo.doorblog.jp/archives/42374106.html

7. (´д゚lllノ)ノ ヒイィィィ!! 2015/01/22 01:31
手紙を受け取った町の人々は、感謝の意を込めて、その手紙を老人の墓前に供えた。そして、その行為が年中行事となる、一年間分の溜まったストレスを手紙に込め、墓前に供える事により、笑顔の絶えない平和な町となった。一年分の多くの悪意がこもった手紙のせいで、老人は今も成仏できずに、苦しんでいるという……。
8. (´д゚lllノ)ノ ヒイィィィ!! 2015/01/22 08:27
↑スカッとした
9. (´д゚lllノ)ノ ヒイィィィ!! 2015/01/22 10:11
一年間のストレスを書き留めた手紙を老人の墓にそなえるようになってから
ある日和服を着た男が訪れてきた
男は老人の墓がある丘から町を眺望し「ここは負の念が多過ぎる。このままでは念に呼び寄せられた悪鬼達が町に来てしまう…」と呟くと
両手を掲げ一言「破ァ!!」と叫んだ
すると両手から蒼白い閃光がとびだし、町を包み込んだ
男は「これで町は安泰だ」と言って墓地にある供え物を袂に入れながら町を去っていった
この日以来町の人たちは手紙を書くこともなくなり、それぞれが平和に暮らしている
10. (´д゚lllノ)ノ ヒイィィィ!! 2015/01/22 14:03
Tさんか? Tさんなのか?

72chikatomo:2015/03/02(月) 19:11:29 ID:???
えーと、ブログのコメ欄に書き込まれたのはこんなところかな?
もし抜けがあってご存じの方がいたら教えて下さい!

では雑談とか新作とかで使っていただければ嬉しいです!
ブログともどもよろしくお願いします!

73名無しさん:2015/03/02(月) 20:09:20 ID:VpfA/q02
順番が逆ぅ〜

74名無しさん:2015/03/03(火) 12:17:55 ID:MnWjH7TI
破ああ!

75名無しさん:2015/03/03(火) 13:35:59 ID:tAl/MMqE
>>72
2015.02.15の 片方の三つ編み【後味悪い】にあったよ〜

他に無いか探してみます

76chikatomo:2015/03/03(火) 16:05:28 ID:???
>>75
おーありがとうございます!
やっぱ抜けてんだなー…

77chikatomo:2015/03/03(火) 17:39:35 ID:???
http://chikatomo.doorblog.jp/archives/42591670.html

151: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2014/11/30(日) 01:14:15.57 ID:Q+462CXx0.net
過去に出ているかも。

昔のテレビ番組で「こたえてちょうだい」とかいうタイトルだったかな!?
「○○な話」と番組がテーマを決めて体験談を募集。視聴者が投稿してきた話を
再現ドラマ化してそれに番組出演者がコメントするという流れ。

「あなたが体験した怖い話」や「浮気された時の言い訳」などジャンルは様々。
今なら2ちゃんに投稿するんだろうなって話のTV版といったところかな。


小学生女児が暗くなりはじめた時間帯に帰宅中。
その日は新しく買ってもらったリボンが嬉しくて、両サイドの三つ編みお下げに付けて
ご機嫌で歩いていたところ。突然現れた男に襲われ三つ編みの片方をザックリ切られる。
怪我は無かったが犯人は結局見つからず。

心の傷も、事件の記憶自体も薄らぐほど時が経過。
小学生女児も成人となり、結婚して実家に戻ってきた。

ある日、自宅に「ピンポーン」と呼び鈴が鳴り玄関を出てみたが誰もいない。
ふと扉下を見ると紙製の白い箱が置かれている。開けてみるとそこには髪の毛の束が。

結ばれているリボンには見覚えがあった。
それは事件当時、切られて見つからないままだった三つ編みの片方、
つまり当時の自分自身の髪の毛だと気付く。

・・・という話。長年に渡る一人の人間に対する犯人の異常な執着心。
そして事件はまだ終わっていなかったという投稿者の絶望感。そのあたりが後味悪かった。

かなり昔に見たので実際の放送内容とは違う部分もあるかもしれません。

78chikatomo:2015/03/03(火) 17:40:07 ID:???
2. 1≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!! 2015/02/16 15:34
髪の束が届いてから数日経ったある日
投稿者の元に和服を着た男がやって来た
「あの…どちら様ですか?何かご用で?」と彼女が不審がって尋ねると男は
「いやぁね…買い物ついでに散歩でもってブラブラしてただけど、お宅から変な気が感じられたもんだからちょっとお話をね…と思ってさ」となんとも要領得ない返事をする。
男に不気味さを感じた彼女は「しゅ、宗教の勧誘なら結構です!!」と男を追い出して玄関を閉めようとしたのだが、挟まれた男が放った言葉に耳を疑った。
「今…なんと仰いました!?」
「だからあなたのもとに変なものというか何かこう…多量のものが届けられなかったかと…」

男はやはり要領を得ないもの言いをしたが、ずっと払拭出来ずにいた恐怖心を何とかしたいという思いと、この男なら何とか出来るかもしれない…という一縷の希望から、意を決して男に話そうと彼女は震える声で男に囁いた「話を…聞いていただけますか…」

「もちろんだ。その為に俺はここに来たんだからな」彼女は僅かながら安堵した

「その前にドア開けてくんない?顔痛いんだけど」

79chikatomo:2015/03/03(火) 17:40:23 ID:???
3. 2≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!! 2015/02/16 15:35
男をリビングに通し箱と髪の束とを持ってきて事の経緯を洗いざらい話した。
男は彼女が話している間険しい表情をしていたが時折相槌をうったり、「辛くなったら休んで良い、話せるようになるまで俺は待つよ」と優しく話しかけた。
彼女が全てを話し終えると。
男は彼女の肩に手を置き
「いたいけな少女に恐怖心を抱かせ、未だその悪行を続けるとは…。今までつらかっだろう?安心しなこの恐怖も今日で終いだ」と微笑みかけた。

80chikatomo:2015/03/03(火) 17:40:38 ID:???
4. 3≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!! 2015/02/16 15:36
「さて、この髪の束なんだが…俺の推測した以上にヤバい呪詛がかけられているようだな。リボンにはこれと言って何も無いようだが…問題は髪の毛の方なんだ」
男はどうしたものかと頬をさすりながら考えている。
「あの…それは髪の毛に呪いがかけられてるということですか?」と聞く彼女に男は少し考えてから
「そうだ。それも1本1本にかけられていてな…呪詛…呪いを解くとしてもまとめてではただ効力が弱まるだけなんだ。つまり完全には浄化出来る訳ではない」
「……まぁ何とかやってみるさ。取り合えず浄化するためにこの部屋を使わせて貰おう」と言うと床に胡座をかいて小さな声で何かブツブツ言い始めた

彼女はふと箱に入れられた髪の束の方に目をやると唱えている言葉に呼応するかのようにウネウネと蠢いている。
(リボンをほどいたらどうなるのだろうか…)と好奇心にかられ指を近づけると
髪が獲物を見つけたように彼女の指に絡みついてきた。
「ひぃっ!」彼女は小さく叫んだ

男がそれに気がつくと立ち上がって彼女の手首を掴みつつリボンをほどく

その瞬間!髪が龍の様に天井へ上がったと同時に
男は自身の後ろへ彼女を押しやり叫んだ

81chikatomo:2015/03/03(火) 17:40:54 ID:???
5. 4≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!! 2015/02/16 15:37
「正体を現せ!!N!」

それまで天井に張り付いていた髪がソロリソロリと床に降りてきて次第に人のような形を現した
「…あと少しでその女を喰らえるというのに…また邪魔をするか…この生臭坊主め」

「俺はお前の邪魔をするのが趣味なんでね!」と冗談を発するのとは裏腹に険しい表情で黒々としたヒトガタを睨み付ける。
暫く互いに硬直していたがヒトガタの手であろう部分が男の心臓を突き刺さんと鋭くのびた
男は男で俊敏な動きで片手をあげる


「破ァァァァァァッ!!」


掌から蒼白い閃光が溢れる
光に触れた髪の先端が霧散していく
男は間髪入れずに塊に駆け寄り今度は両の手を突きあげた

「滅ッ!!」

先刻以上に大きく強力な光が、塊と壁を破壊する
バラバラになった髪は呪詛の効力を失ったのかちりちりと燃え風とともに消えた。しかし辺りにこだまするように
(今回は失敗したが…***は仕上がりつつある楽しみにしているといい)
という言葉が聞こえたのを男は聞き逃さなかった。

82chikatomo:2015/03/03(火) 17:41:51 ID:???
6. 5ラスト≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!! 2015/02/16 15:39
そとがやけに騒がしい。彼女が外を見てみると、どうやら近所の人達が音に気がつき何事かと集まってきたようだ。
男は彼女の方に少し振りかえって
「さぁて終わった終わった!これでもう変態ストーカーとも恐怖ともお別れだ!お疲れさん!じゃっ帰るわ」と何事も無かったように去ろうとしていた。彼女は慌てて「待って!お礼をさせてください!」と引き留めようとしたが、男は歩みをとめない。
「せめて、せめてお名前だけでも教えてください!」
男がピタリととまって少し苦笑しながら「…名乗るほどのもんじゃないんだが…T…とだけ言っとこう」と言って再び歩み始めると雑踏の中に消えていった。


T…噂に聞くあの人だと気が付いた彼女は
仄かな白檀の残り香に包まれながら寺生まれって凄い…そう思ったのだった。



>>75さん ありがとう!

83( ☆∀☆)カンリニンサン、オツデス!!:2015/03/03(火) 18:59:55 ID:.lYPOlgg
管理人さん、掲示板ありがとうございます!
ひとつお願いがあるのですが2014/11/27「部屋の四隅で眠らないように〜」の記事内のTさんの話を抜き出して、Tさん記事に加えていただけませんか?
よろしくお願いします。

84寺生まれの名無しさん:2015/03/03(火) 19:25:30 ID:f10ENL7E
※欄Tさんは普通に面白いから困る

85寺生まれの名無しさん:2015/03/03(火) 19:36:34 ID:f10ENL7E
巣くうものvsTさんの話ってもうまとめに載ってたっけ

86chikatomo★:2015/03/03(火) 19:41:36 ID:???
>>85
すくうものは9日アップ予定になってました!

87chikatomo★:2015/03/03(火) 19:42:06 ID:???
>>83
了解!

8885:2015/03/03(火) 20:02:17 ID:f10ENL7E
http://chikatomo.doorblog.jp/archives/37054972.html
ごめんなさい、調べたら載ってました

89chikatomo★:2015/03/03(火) 20:49:22 ID:???
>>88
ほんとですね
私もコメントで気付きました…
9日にも別バージョンあるのでよろしくお願いします!

90chikatomo★:2015/03/04(水) 02:25:37 ID:???
36: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/25(火) 16:07:50.87 ID:CLwg24MT0.net
ある雪山で猛吹雪の中、4人が遭難した。
このままでは確実に死ぬ・・・そう皆が考えていた先、山小屋が見付かる。
息も絶え絶えに小屋になだれ込む4人。
しかし、その山小屋には暖房施設がなく、あるのは非常用の食糧のみ。
寝れば確実に凍え死ぬ。ひとまず朝になれば・・・
そこでリーダーがゲームを提案する。
「4人全員が小屋の四隅に座り、5分毎に東回りに歩いて、人を起こして回ろう。
起こされた人は起こした人と交替して次の角に向かう」

翌朝、救助隊が山小屋を発見。疲弊した4人に笑顔が浮かぶ。
救助隊「よく全員ご無事で」
リーダー「いや、駄目かと思いましたが〜〜〜のようなゲームをしまして…」
少し間を置いて救助隊が答える

救助隊「そのゲーム、できっこないですよ」

91chikatomo★:2015/03/04(水) 02:26:02 ID:???
38: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/25(火) 16:09:20.46 ID:CLwg24MT0.net
「ふ破ぁーあ」大きなアクビをしながら寺生まれのTさんが小屋の外から戻ってきた。
「よ、昨日はどうもな」
どうやら小屋にいたもう一人は寺生まれのTさんだったらしい
「なんだよ、気づいてなかったのかよ……」
ろくに挨拶もせず溶け込めるTさんは凄い。改めてそう思った。

37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/25(火) 16:08:52.98 ID:87xfurEEr.net
破っ!!!!

39: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2014/11/25(火) 16:09:30.60 ID:iWMlVxcz0.net
Tさんは現代の陰陽師

92chikatomo★:2015/03/04(水) 02:27:01 ID:???
>>83
忘れちゃうので、一旦こっちにおいておきます。
こっちのもいずれ一つ一つ記事にしますので!

93寺生まれの名無しさん:2015/03/04(水) 11:45:44 ID:oO7v3f4Y
破あ!

94( ☆∀☆)カンリニンサン、オツデス!!:2015/03/04(水) 18:13:42 ID:tOiX1FmE
管理人さん、ありがとうございました!

95寺生まれの名無しさん:2015/03/04(水) 20:24:54 ID:BDayQMxY
この怖い話を携帯で見るそこまで面白いことでもないし、長くしないように気をつけるが多少は目をつぶって欲しい。
では書きます。
何かに取り憑かれたり狙われたり付きまとわれたりしたら、マジで洒落にならんことを最初に言っておく。
もう一つ俺の経験から言わせてもらうと、一度や二度のお祓いをすれば何とかなるって事はまず無い。
長い時間かけてゆっくり蝕まれるからね。
祓えないって事の方が多いみたいだな。

俺の場合は大体2年半位。
一応、断っておくと五体満足だし人並みに生活できてる。
ただ、残念ながら終わったかどうかって点は定かじゃない。

まずは始まりから書くことにする。
当時俺は23才。 社会人一年目って事で新しい生活を過ごすのに精一杯な頃だな。
会社が小さかったから当然同期も少ない、必然的に仲が良くなる。
その同期に東北地方出身の○○って奴がいて、こいつがまた色んな事を知ってたりやけに知り合いが多かっりした訳。

で、よくこれをしたら××になるとか△△が来るとかって話あるじゃない?
あれ系の話はほとんどガセだと思うんだけど、幾つかは本当にそうなってもおかしくないのがあるらしいのよ。
そいつが言うには何か条件が幾つかあって、偶々揃っちゃうと起きるんじゃないかって。
俺の時は、まぁ悪ふざけが原因だろうな。
当時は車を買ってすぐだったし、一人暮らし始めて間もないし、何よりバイトとは比べ物にならない給料が入るんで週末は遊び呆けてた。
8月の頭に、ナンパして仲良くなった子達と○○、そして俺の計4人で所謂心霊スポットなる場所に肝試しに行ったわけさ。
その場は確かに怖かったし、寒気もしたし何かいるような気がしたりとかあったけども、特に何も起こらず、まぁスリルを満喫して帰った訳だ
3日後だった。 当時の会社は上司が帰るまで新人は帰れないって暗黙のルールがあって、毎日遅くなってた。
疲れて家に帰って来て、ほんと今思い出しても理解出来ないのだが、部屋の入口にある姿見の前で、「してはいけないこと」をやったんだ。
試そうとか考えた訳ではなく、ふと思い付いただけだったと思う。

少し細かな説明をする。当時の俺の部屋は駅から徒歩15分、八畳1R、玄関から入ると細い廊下がありその先に八畳分の部屋がある。 姿見は部屋の入口、つまり廊下と部屋の境目に置いていた。
俺が○○から聞いていたのは、鏡の前で△をしたまま右を見ると◆が来るとか言う話だった。
体勢的にちょっとお辞儀をしているような格好になる。
「来るわけねぇよな」なんて呟きながら、お辞儀のまま右向いた時だった。

部屋の真ん中辺りに寺生まれで霊感の強い、Tさんがいた。
「俺を転送召喚する術式を行使するのは勝手だが、せめてドブさらいが終わってからにしてくれないか。」
それだけ言うとTさんはすたすたと帰ってしまい、後には臭いヘドロだけが残った。
こんな時間にドブさらいだなんて、やっぱり寺生まれって凄いと思いました。

96寺生まれの名無しさん:2015/03/04(水) 21:50:39 ID:oO7v3f4Y
>>95
Tさん序盤で解決パターンだね
長いのもいいけど、こういうあっさりこそTさんの魅力だな

97☆≡⊂(・∀・´)ハァァァッ!!:2015/03/05(木) 00:48:20 ID:qYx/5.nI
皆さんは「寺生まれのTさん」を読む時に、
どんな容姿を思い浮かべて読んでいますか?
顔のパーツごとの特徴
(眉太い・ハゲとか)
イメージに近い俳優や漫画・アニメキャラの名前など

98寺生まれの名無しさん:2015/03/05(木) 02:25:23 ID:cFdg5sPc
若いTさんはコレ!
http://i.imgur.com/Fel5ZDE.jpg
10代のイメージだけど煙草加えてるからなぁ・・・

99寺生まれの名無しさん:2015/03/05(木) 12:19:18 ID:ITfTs8J.
シリアスTさんだとvsヤマノケが好きだ
自分の顔ぶん殴って追い出すなんて男前すぎる

100寺生まれの名無しさん:2015/03/05(木) 12:27:04 ID:ITfTs8J.
前にきさらぎ駅のゲームがあったけど、Tさんが出てこなかったのがちょっと残念だった
まあTさんはチートすぎるから仕方ないな

101chikatomo★:2015/03/05(木) 15:31:00 ID:???
>>100
あーー、それがあったか!
なんで気付かなかったんだろう。
バグ直しつつTさんるーと追加しようかな


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