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治す! うつ病、最新治療 ──薬づけからの脱却

1これは悪書:2014/05/17(土) 19:52:48
うつ病、最新アプローチとして、光トポグラフィー検査と、TMS治療等を取り上げた本です。本当に多くの人間へのインタビューも敢行しており、ジャーナリストとしての姿勢には頭が下がります。しかし、これらの手法を持ち上げるためなのか、従来の薬物療法が意味なくおとしめられています。薬物療法の全てが誤りであるかのような印象すら受けるのです。
よくある構図だと思います。現在の方法に問題があると分かったところで、全てを否定したがる感じですね。薬物療法が万能と考えている人は、最初からはいないはずなんです。薬物療法の得意な分野もあれば、苦手な分野もあります。そんなことは最初から分かり切っているはずなんです。実際、この本でも取り上げられていますが、薬物療法を行ったために命が助かったというケースも多々あるわけなんですね。それを、薬を使えないケースがあるからと非難したり、「薬漬け」などと、事実とあまりにかけ離れた表現をわざわざ使ったり、それを「異常事態」と表現したりと、「ジャーナリストがしていいことと悪いことがある!」と感じるところが多々ありました。ジャーナリストはジャーナリズムに徹するべきで、価値判断をするべきではないと思います。せっかくのインタビュー記事も、勝手な解釈で本来とは違った意味合いになってしまっています。
繰り返しになるのですが、これはよくあるパターンだと思います。これを教訓にするならば、人はまっさらな、価値判断を挟まないような形で、人に何かを伝えることが絶望的にできない、ということになります。これを言葉の不完全性と評する向きもあるかと思います。私の勝手な願望になりますが、ジャーナリストを志す若者には、できる限りそのような要素がなくなるように努力して頂きたいと思います。本書は、その反面教師として、最適のテキストだと思われます。


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