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法科大学院入試総合スレッド Part41
72
:
善意の第三者
:2017/11/11(土) 19:40:04
第1Xの罪責
1 本件のおいて、XはAからキャッシュカードを交付させているが、これにつき詐欺罪(246条1項)の成否を検討する。
(1) XはA宅に電話をかけ、そのような事実はないにもかかわらずAに銀行口座が悪用されたため、カードを交付するように申し向けている。これは、財産の交付に向けられた欺罔行為といえる。
(2) これによりAは、口座が悪用されたためカードを交付しなければならないという錯誤に陥った。
(3) AはXの共同正犯(後述)であるYに対してカードを交付した。
(4) (1)から(3)に至るまで因果関係があったといえる。
(5) 明文にはないものの詐欺罪の財産犯としての性格から財産上の損害も要件として必要となる。本件においてカードはそれ自体で現金を口座から引き出しうるという財産上の価値を有するため、財物と言え、財産上の損害が認められる。
(6) よってXに詐欺罪の共同正犯(60条、246条1項)が成立する。
2 つぎにXはA宅を訪れ、Aから暗証番号を聞き出そうとしている。暗証番号を聞き出すことにより、Aはカードを用いて現金を確実に引き出しうる地位という「財産上不法の利益」(246条2項)を得られることから、2項詐欺罪が成立しうる。しかしXは欺罔行為に着手(43条)するにいたっておらず、2項詐欺罪は成立しない。
3 Xは、A宅にてAの預金通帳と印鑑という「財物」を手に取りバッグに入れることによって、Aの意思に反しその占有を移転させたといえ「窃取」したといえる。よってXに窃盗罪(235条)が成立する。
4 そしてCはXを捕まえようとしておいかけているところ、XはCに対して発砲しけがを負わせている。これにつきCに対する強盗殺人未遂罪(43条、238条、240条)の成否を検討する。
(1) 上のとおり、Xは「窃盗」といえる。
(2) Xはつかまりたいないという一心で発砲に及んでいるので「逮捕を免れ」るためといえる。
(3) Cへの発砲は反抗を抑圧するに足りる「暴行」といえる。そして、事後強盗も財産犯としての性格を有する以上、暴行は窃盗の機会になされたといえる必要がある。本件において、窃盗の後Cによる追跡が継続していたといえ、窃盗の機会における暴行と認められる。
(3) よって事後強盗罪(238条)の構成要件に当たるところ、これも「強盗として論ずる」以上、240条の「強盗」に当たりうる。
(4) そしてXの発砲によりCはけがを負っているものの、死亡するに至っていない。そして発砲の際死んでも構わないという結果発生の認識認容があり殺意も認められる。
(5) なお強盗殺人罪の処罰根拠は強盗が殺害に及ぶことが類型的に多いためこれを重罰をもって禁圧することにあるので、殺人の故意がある場合も含む。そして第一義的な保護法益は人の生命身体であるので、未遂既遂は殺人について判断する。
(6) よってXにCに対する強盗殺人未遂罪が成立する。
5 さらにXのDに対する強盗殺人未遂罪の成否を検討する。
Xは発砲時においてDの存在を認識していなかったことから、具体的事実の錯誤(方法の錯誤)として故意が阻却されないか。
故意責任の本質は、行為者が規範に直面したのに敢えて結果発生の危険を惹起したことに対する道義的非難にある。そして規範は一般人に対して刑法上構成要件として類型化されて与えられている。
よって行為者の認識を客観とが同一構成要件内において符合する限り故意を阻却しない。そしてかように故意を抽象化する以上、故意の個数は問題とはならない。
本件において、Xの認識は強盗殺人であり、Dに発生した結果も強盗殺人であり、同一構成要件内といえる。
よって故意は阻却されず、XにDに対する強盗殺人未遂罪が成立する。
6 以上より、CとDに対する強盗殺人未遂罪は観念的競合(54条1項)となり、且つ窃盗罪はこれに吸収される。そしてこれと詐欺罪とは併合罪(45条)となる。
第2Yの罪責
1 本件において、YはXと共にAに対する詐欺をしているところ、詐欺罪の共同正犯(60条、246条1項)のは成立するか。
共同正犯の根拠は相互利用補充関係により結果発生の危険を惹起したことにある。よって(ⅰ)共謀(ⅱ)正犯意思(ⅲ)実行行為の各要件をみたせば共同正犯として処罰される。
まず、XとYは相談してAに対する詐欺の計画を立てており、共謀が存するといえる。そして、Yは詐欺の成果の半分の分け前をもらうつもりであり、且つAからのカードの受け取りという実行行為の一部を分担しており正犯意思も認められる。さらに、上のとおり詐欺罪の実行行為があったといえる。
よってYに詐欺罪の共同正犯が成立する。なお強盗殺人罪などについては上記共謀の射程が及ばず、Yは罪責を負わない。
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