うのはなさんを褒め称える板

187：シャンソン：2019/05/16(木) 17:53:11: 　　　　　　　リーダーのなかのリーダー

　今ここに、つい最近大学を卒業して、今度は大学院で修士号を取ることを考えている一人の青年がいるとする。
大学院に進むにはGRE（大学院進学試験）を受けなくてはならない。試験から数週間後、郵便で試験結果が送られてくる。すぐさま封を開けて成績を見てみる。
点数の意味がすぐには読み取れないので、説明文を読んでみる。GREはいくつかの種目に分かれている。

　主な種目は、口頭による適性試験と量的分析テストの二つで、あとは物理や化学、生物、社会、芸術などの専門分野である。
得点順位は？見ると、口頭試験の成績は下位三分の一のグループ、つまり平均以下いうことになる。
青年はがっかりして、他の成績に目を移す。量的分析テスト下位一〇％、物理、化学、生物、社会、芸術など専門分野は下位二五％のグループだ。

こんな成績でも、青年はまだ大学院に進学しようと思うだろうか？大学の学生カウンセラーや進路アドバイザーにGREの成績を見せたら、どんなアドバイスを受けるだろう？
大学院に進む素材ではないと言われるかもしれない。次のようなことを言ってくれるカウンセラーが、はたして何人いるだろうか？

　いいかい、君には抜群のリーダーとしての資質があるし、優れたビジョンがある。いつの日かきっと、君はアメリカの社会的良心を変えるだろう。必ず政治や社会の変革に深く関わっていくにちがいない。
あのフランクリン・ローズヴェルトに負けないくらいね。

　賭けてもいいが、そんな励ましを受ける可能性はゼロだろう。なぜなら進路アドバイザーの大半は、統一テストの成績で受験生の将来を判断するからだ。
たった一日の試験の点数だけで、一人の人間のその先三〇年ないし四〇年の人生を占ってしまうとは不幸なことだ。アドバイザーの言葉を信じるなら、青年は一生自分を能力の低い人間と見なして、能力の低い者らしく行動するようになるだろう。
しかし、マーチン・ルーサー・キング牧師は、そんなふうに自分を卑下して人生を送ったりはしなかった。じつは、前述のGREの結果はキング牧師の成績なのだ。キング牧師は否定的な見方をする人たちの言葉など信じなかった。
彼には学業成績の真の意味がわかっていたのだろう。

　　『１億円貯める方法をお金持ち１３７１人に聞きました』　トマス・J・スタンリー　著

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