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うのはなさんを褒め称える板

169神の子様:2019/04/30(火) 20:23:16
166: うのはな :2011/09/26(月) 23:28:08 ID:iM0b0bt6
>165 つづき

 神様は不思議な御導きによって人々を救って下さるものである。
写真すら見たこともない黒い着物の導師に夢で指導されたり、眼に見えない力で
打ちすえられて懺悔したり、導き手の温かくまたきびしい愛によって救われてゆくことである。
 宗教の力だけでなく、医者もまた、医学の技術だけでなく、きびしい愛の手で
患者を救ってくれることを知って、私は近頃めずらしい感動を覚えた。
 アメリカで結核にかかって、三ヵ年の療養生活を送った犬養道子さんが、初めて
療養所入りの時、主治医は胸部写真を見せて、「半分死にかかっている。よくなるか
駄目になるか、駄目そうになったら教えるから準備しろ、一割は薬が治す。
一割は医者が治す。のこりの八割は自分で治す」と宣告した。
それから一時間かかって結核菌というものについて細かく語り、また三十年の臨床体験を
語って、どんな性格の患者がどんな耐え方をした、自己憐憫ほど病によくない、とか、
そんな話を幾つかして、唐突に、「さあ、今言ったことをお前自身に当てはめて考えて見ろ、
療養心得はおのずから編み出せる筈だ」と突き放したそうである。
「熱が出て苦しい」と一度訴えたら、「病気なら、熱の出るのは当り前だ」
と呶鳴られた。泣きごと、愚痴には一語も返事をしないのに、
「療養費をつくるために編物を始めた」と言うと、毛むくじゃらの手でポンと
ベッドの裾をたたいて、「よくやった。買おう!」と札束を取り出したりするのだった。
体温や脈を計って書きこむことも、一ヶ月分のレントゲン代を計算するのもみな、患者自身。
「病んでいても人生は人生だ。ひとり立ちで行け」という精神で貫かれていた。
それ以来二十年、犬養道子さんは、折りにふれて有難く思い出すと言われるのであった。


つづく


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