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トキ管理人の悪口を書く板

199神の子様:2018/11/28(水) 19:40:58

 衆生とは六道に輪廻し、迷妄の淵に淪むわれわれ自身のことであるが、本来何もない無心の中に妄りに心が起こると、その心の欲するところに随って、われわれは行為(有為)の世界に入って行く。しかし、それがかえって業(カルマ)を結び、われわれはゆくりなくも生死に迷う「迷道の衆生」(一休宗純の言葉)となる。浄土の思想家として、心の有無について、その違いを的確に表現した人物を挙げるとすれば、それは一遍(1239〜1289)の次の言葉になろうか。

常の仰せにいわく、有心は生死の道、無心は涅槃の城と云々。生死を離るるというは、心を離るるをいうなり。・・・分別の念想(心)の起こりしよりこのかた生死なり。 一遍『播州法語集』

生死(の道)と涅槃(の城)に分かれるのは心の有無に依るのであり、われわれが心を離れる(滅する)ことができたら、生死の世界(サンサーラの世界)から涅槃の世界(ニルヴァーナの世界)へと帰って行くと、一遍も常々弟子たちに語っていたようだ。そして、『華厳経』が「生死はただ心より起こる」と言ったことを、彼は「分別の念想(心)の起こりしよりこのかた生死なり」と纏めている。この離れなければならない心を彼は「分別の念想」、「妄念」、「妄想転倒の心」とさまざまに呼ぶが、決して特別(病的)な心ではなく、われわれが普通に心と呼んでいるものであり、心理学が扱っているのもこの心なのだ。それはまた、どこからともなく妄りに湧き起こる心という意味で「妄心」ともいうが、親鸞はそれを「散乱の心」(『親鸞聖人五ヶ条要文』)と呼んだ。

このように、仏教は世界をサンサーラの世界(生死の世界)とニルヴァーナの世界(涅槃の世界)の二つに分けるが、それは世界が二つ存在するということではなく、心が生ずれば二元葛藤するサンサーラ(生死)の世界となり、心を滅すればニルヴァーナ(涅槃)の世界となる。あるいは、われわれの行為の基盤としての心が妄心(有心)であるか、真心(無心)であるかによって、世界も二つに分かれてくるということだ。

例えば、『大乗起信論』はわれわれの心を妄心(心生滅の相)と真心(心真如の相)の二相に分けたが、心に二相あることから生死の世界(虚妄の世界)と涅槃の世界(真実の世界)に分かれてくる。つまり、妄心(有心)ならば、生死輪廻する世界に入っていくが、真心(無心)ならば、生死は尽きて涅槃の世界へと帰って行くとなろうか。

 言うまでもなく、現在、われわれが生きているところは、妄心が捉えた虚妄の世界であり、妄心というと何かに取り憑かれた人間の妄想と考え、自分はしっかりと現実を見据え、理路整然と物事を見ているから、私には関係ないと思う人がいるかもしれないが、そうではない。中国禅中興の六祖慧能(638-713)が「心は本よりこれ妄なり」と言い、また、一遍が「心は妄念なれば虚妄なり」(『播州法語集』)と言ったように、われわれが深くその起源を尋ねることもなく、ごく普通に心と呼んでいるものであり、思考、欲望、感情など、どこからともなく妄りに湧き起こる心ということである。

また、絶えず浮かんでは消えしながら、途絶えることなく続いている心という意味で、「生滅心」、あるいは「相続心」ともいう。生滅を繰り返しながら、よくも悪くもわれわれを生死輪廻の絆に繋ぎ止めている心であり、道元はそれを「生死繋縛の心」と呼び、親鸞もまた、「一生の間、思いと思うことみな生死の絆にあらざることなし」と言ったように、この心が生滅を繰り返しながら輪廻転生していることから、『円覚経』はそれを「輪廻の心」と呼んだ。

 すると、仏教が目指しているもの、あるいはわれわれ人間が辿るべき方向が見えてくる。簡単に言えば、仏教はわれわれを生死(サンサーラ)の世界から涅槃(ニルヴァーナ)の世界へと連れ戻し、虚妄から真実を顕わそうとしているのだ。しかし、それはわれわれがこの地上に虚妄に代わる真実を新たに作り出すという意味ではない。というのも、真実を作り出すことなど、妄心(妄想転倒の心)を生きているわれわれ人間(生死流転の凡夫)には絶対できないのだ。人間が作り出すものは、天国から地獄まで、美しいものからおぞましいものまで、すべては虚妄(虚偽)であるからだ。だからと言って、それがわれわれ人間にとって価値や意味が無いのかというと、そうではない。それどころか、われわれの心(妄心=思考)がこの地上に勝手に持ち込んだ価値や意味にどこまでも執着し、徒に混乱しているのがわれわれ人間なのだ。


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