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「冷凍コーヒー」専用板
510
:
転載
:2019/04/27(土) 16:40:53
1 資料名「あずきちゃん」〈小学校低学年〉
わたしの家では、もうすぐ赤ちゃんが生まれます。
わたしは、お母さんのおなかにいる赤ちゃんに『あずきちゃん』という名前を付けました。
お母さんが、
「最初、おなかの中にいる赤ちゃんの大きさは、このくらいだよ。」
と言って、教えてくれたのが、ちょうどあずきの粒くらいの大きさだったからです。「わたしもお母さんのおなかにいるときは、あずき粒くらいの大きさだったのかな。」と思うと、とても不思議な気持ちになりました。
わたしのお母さんは、他のお母さんと違って『あずきちゃん』がおなかにできてから、トイレに行ったり食事をしたりするとき以外は、ずっと動けません。切迫流産と言って、動いたりすると、『あずきちゃん』が、お母さんのおなかの中で死んでしまうからです。お母さんは、ときどきおなかをおさえて、とても痛そうにしているときがあります。そんなとき、「お母さん、だいじょうぶかな。赤ちゃんも、元気に生まれるのかな。」と、心配になります。
わたしは、朝起きるとお母さんのおなかに顔をあて、『あずきちゃん』にやさしく「おはよう」と声をか けてあげます。
この間、お母さんが、病院へ定期検診に行くとき、わたしも一緒についていきました。
待合室で待っていると、
「ゆかちゃんも、中に一緒に入っていいよ。」
と、看護師さんが言ってくれました。
わたしは、どきどきしながら診察室に入りました。
ベッドで横になっているお母さんのおなかに、先生が小さな箱のようなものを当てました。
「これが、赤ちゃんの顔だよ。」
と言って、ベッドの横にあるテレビの画面を指さしました。はっきりわかりませんが、なんとなく手が動いているのがわかりました。 『あずきちゃん』は、大きくなったのでおかあさんのおなかのなかで、体を丸めて窮屈そうにしていました。
先生に、
「もうすぐだね。ゆかちゃんもお姉さんになるよ。」
と、言われました。わたしは、なんだかうれしいような恥ずかしいような気持ちで、にっこりしました。
わたしは、病院からの帰り、お母さんのおなかにいる『あずきちゃん』に、話しかけたい気持ちでいっぱいになりました。
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