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傍流まじめな話版

1646シャンソン:2019/04/11(木) 15:23:17
   死ぬ瞬間まで、自分にできることは意外とある

 じっさいに死が迫ったら、いったい何ができるのか、何もできないのではないかと
不安に感じている人もいるかもしれません。しかし、人にはどんな状態になってもできることがあります。
病状の進行段階ごとにできることを考えてみましょう。

 私の出会った患者さんに、ずっと針仕事を生業にしてきたという女性がいました。
かなり長く入院していて、足も不自由だったのですが、ある日、介護福祉士が思いついたことがありました。
それは、この女性に、病棟で使う雑巾を塗ってもらったらどうだろうということでした。

 娘さんの了承を得て約30枚のタオルを用意したのですが、なんとその女性は一晩ですべて完成させてしまいました。
娘さんによれば、「残りは明日にしたら」と言っても聞かず、うれしそうに針を仕事に精を出していたそうです。
自由に動けなくなっても手が動けば手仕事をすることはできますし、手紙や遺言状を書くこともできます。

 自由に動けるうちは、行きたい場所へ行く、食べたいものを食べに行く、会いたい人に会いに行くといったことをしてほしいと
思います。「どこかへ行く」ということに関しては、ある程度体が動くからできることだといえます。
 また、一番ありきたりに見えて一番大切なことは、「普通の生活を続ける」ということだと思います。


もちろん、病状も進行していくわけなので、これまでと同じ生活を送ることはむずかしくなっていくでしょう。
それでも、体や心の変化を含めて、遺される人にありのままの姿を見せていくことは、先に逝く者としてできる大きなことです。

 別の患者さんで、首から下がほとんど動かせない状態で寝たきりの女性がいました。その人はクりスチャンだったのですが、私に言ってくれたことがあります。
「私はね、毎日、世界の平和を祈っているのよ」寝たきりになっても、世界の平和のためにできることがあるのだと教えてもらいました。
それから、体も動かせず意識もない男性患者さんの話です。身内もあまりいないため、一人で長時間ベッドに寝ていることが多かったのですが、あるとき、その患者さんの
そばで看護師さんがじっと座っていました。

 たまたま近くを通ったので気づいたのですが、なんと、看護師さんはそこで居眠りをしていたのです。
よほど疲れていたのでしょう。看護師さんにとってこの患者さんのそばが唯一の休憩場所出あり、癒やしの場所だったのだと思います。
別の日には、その患者さんに、何やらプライベートな相談をしている看護師さんもいました。

 もちろん、返事はありません。それでも、この患者さんは、看護師さんの誰にも言えない話の聞き相手になっていたのです。

 こんなふうに、人はどんな状態になってもできることはたくさんあるのです。

 『人は人を救えないが、「癒やす」ことはできる』 谷山洋三 著


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