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傍流まじめな話版
1635
:
シャンソン
:2019/03/26(火) 19:18:13
ゼロからの出発
片寄建司さん(三十歳)は、盲学校の先生です。
ご自身も二歳半の時に小児がんになり、両眼摘出して失明し、全盲になりました。
でも小学校の時からスポーツが大好きで、柔道は初段、野球、卓球も鋭いカンでこなす万能選手です。
目で見える世界を超えて、見えない世界を感じ取られています。物にすがり、物に頼って生きると、この素晴らしい感覚の世界は
育ちません。まったく見ることのできない時、五感を通してかくも素晴らしい世界が開かれるのです。
このお話をある本で読み、大きな感動をいただきました。
ある時、知人に「これは素晴らしい花が咲きますよ」とスイセンの球根をいただきました。
それを庭石の上に干しておいて忘れていました。風にあおられて石の下に落ちたらしく、木枯らしや風雪の中にもめげずに、大地に根を張って、
ある日、気づいたら春風とともに美しい花を咲かせていました。
石と石の狭い所から、窮屈そうに歪んだり曲がったりしながら茎を伸ばし、必死に太陽に向かって伸びています。
暗い石の道を通って曲がりくねっても必死に光を求めて生き、いじらしいまでにひたすらな凛々しいスイセンに「まあ見事!」と思わず胸が熱くなり、
自然の織りなす見事な力に感動しました。
人は歩き慣れた道から外れると「万事休す!」と絶望すると思います。
しかし、「そこから本当のものが生まれるのだよ、ゼロになった時にこそ、本ものが育つ時なのだ」と自然は教えています。
いじめや意地悪で自殺する子が増えています。障害者は役に立たないから殺すという人も出るようになりました。いのちの尊さも思いやりも愛も失ってしまった、
あまりにも悲痛な事件が多い世の中です。
春風をもって人に接し 秋霜をもって自らを粛む
このような昔の人の教えがあります。「他人には春風のように暖かく接し、自らには秋霜のような厳しさをもってのぞみなさい」と、親から子へ、伝えられてきました。
厳しさこそ魂を磨く力なのだよと、日々の生活の中で古くから伝えられてきたのでした。
『健康になる食べ方 幸せになる生き方』 東城百合子 著
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