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「うのはな」さん 専用掲示板

986シャンソン:2016/10/04(火) 20:47:10
  〝憲法違反〟の我々にも意地と誇りがある

花田 イラク戦争の際も、そういうケースがありましたよね。

佐藤 はい。私たちが派遣された○四年四月に、ペルシャ湾で日本のタンカー「高鈴」が武装勢力に
襲われたことがありました。そのときに守ってくれたのは、アメリカの海軍と沿岸警備隊でした。「高鈴」は
若干被弾しましたが、乗組員は全員無事でした。結果として、間に入ってくれた米海軍の二名、米沿岸警備隊一名、
合計三名のアメリカの若者が命を落としたのです。

 彼らにも奥さんがいたし、小さなお子さんもいました。しかし、そのときに彼らは「同じ活動をやっている仲間を助けるのは当たり前だ」と言いました。
近年では、日本向けの石油の輸送用タンカーには外国人が乗っていることが多く、「高鈴」も日本人の乗組員はいませんでした。それでもアメリカは、日本のタンカーを
仲間だと思ってくれていたのです。仲間である日本の一員だというわけです。

 それは当時、海上自衛隊がインド洋でアメリカの軍艦に給油支援をし、クウェートで陸自も空自も汗を流していたからです。これが同じ現場で危機を共有していることの意味です。
しかし、第一次安倍政権だった○七年、参院選で自民党が大敗したことで民主党が参院の第一党となる衆参の「ねじれ」が生じ、法案が参院で通らなくなりました。当時の小沢民主党は
「インド洋での給油は憲法違反」としてテロ対策特措法の延長に賛成せず、法律は失効しました。海自の給油支援は残念ながら中断し、帰国を余儀なくされたのです。

 それで、現場の雰囲気は、がらっと変わりました。「日本の油を守るためにアメリカの若者が命を落としているのに、日本人は国内の事情で帰るのか」というわけです。
英フィナンシャル・タイムズは一面で、<「武士道ではない。臆病者だ」>(〇七年九月一三日)とまで書きました。イラクでの雰囲気も同じでした。「日本とは、そういう国なのか」と。

花田 これは、現場は辛いですね。新聞各社は当然、特派員を送っているはずなのに、なぜそういうことを報じないのか。

佐藤 色々なことを言われましたよ。
結局、翌〇八年、参院で否決された新テロ特措法が衆院で再可決、成立し、給油支援が再開されることになりました。
海自にもう一度、行ってもらうというときに、横須賀から出発する海自の司令官は、政治家やご家族、マスメディアが見ている前で、驚くべき挨拶をしたのです。

「憲法違反と言われた我々にも意地と誇りがあります。日本のために汗を流して参ります」私は涙があふれそうになりました。
現役の自衛官が公の場でこのような発言をするのは、極めて異例のことです。各国との信頼関係で行ってきた活動が、民主党から「憲法違反だ」と言われて中断し、まさに同じ活動を
やっていた、助けてもらった仲間に背を向けて帰らなければならなかった。この気持ちは、相当なものだったはずです。だからこそ、再びインド洋へ向かうときの、司令官のあの言葉になったのでしょう。

花田 よくぞ、言われましたね。いま聞いても泣けてきます。

佐藤 自衛官というのは、守るべきもののために汗を流す気持ちを常に持っています。それは国民であり、国家であり、同盟国の信頼というものです。同盟国の信頼も、非常に大事な価値観としてあります。
価値観が共有できない同盟は、どうしても弱くなるものだからです。

    『「民意」の嘘 』 櫻井よしこ×花田紀凱 著


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