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「うのはな」さん 専用掲示板

924シャンソン:2016/07/26(火) 23:06:09
   本当に伝えたいこと

 学校の先生が伝えたいのは、抽象化された言葉ではなく、その背後に息づく「感覚」です。
算数だけではありません。国語も理科も歴史ですら、先生が一番伝えたいのは知識ではなく、先生の中で
血肉になっている「感覚」です。国語の授業で色々な文章を読むのは、どんな文章を読んでも、そこから何かを
汲み取れるようにするための感覚を学ぶためですし、理科でたくさんの自然現象を学ぶのは、その背後に潜む自然法則を
感覚として理解するためです。

 そして歴史を学ぶのは、私たちが暮らす「現在」が過去の出来事の帰結であり、私たちの未来が、過去の歴史からある程度想像可能であることを
感覚として学ぶためです。頭で理解するのは、感覚を得るための通過点に過ぎません。
ところが教育の現場では、言葉による説明がほとんど唯一の伝達手段になっていて、肝心の「感覚」を伝えられるかどうかは教員の才能に任されているように
感じます。おそらく、それが問題だという意識すら希薄でしょう。

 もちろん、最低限の説明をするのが教師の役割であって、それを血肉にするかどうかは個人の責任である、というのも一つの考え方かも知れないのですが、
私が思うに、それは才能のある人の考え方です。先に述べた自転車や算数の例のように、ほとんどの人にとって、感覚を得る前にされる正確な説明は害になります。
才能のある人というのは、逆説的に言えば、わからない事を放っておけるのでしょう。
そういう人は「正しい」説明を棚上げしておいて、感覚を摑んでから吟味する、という離れ業ができます。

    『宇宙を動かす力は何か』  松浦壮 著


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