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「うのはな」さん 専用掲示板

875シャンソン:2016/07/16(土) 13:51:16
      なぜニュートンが発見できたのか?

 さて、ここでこんなことを考えてみましょう。なぜニュートンが重力を発見できたのでしょう?
「ニュートンが天才だったから」というのは一つの答えかも知れませんが、決してそれだけではありません。
ニュートンには、重力を発見するだけの下準備が整っていた、というのが正解だろうと思います。

 ポイントは、ニュートンは力の法則を知っていた、ということです。
そういう意味では、今この本を読んでいる皆さんもニュートンと同じく、重力の理を自分で見つけられる立場にいることになります。
思い出してみてください。この世界には慣性の法則があります。

 どんな物体も、何も力を加えない限り静止しているものは静止を続けるし、もし動いていればスピードも方向も変えずにそのまま動き続ける、
という例の理です。この理を噛み締めながら、目の前にあるリンゴの木から熟した果実が落ちる場面を想像してみてください。
リンゴの実は、風もないのに、ある程度熟した段階でポトリと落ちます。

 落ちる前に起こったことは、リンゴと枝の付け根が静かに切れた、という出来事だけです。
リンゴには何も触っていません。もしリンゴに力が全く作用していなかったとしたら、リンゴは慣性の法則に従ってそのまま静止を続けるはずですが、
実際に起こることは違います。枝の付け根が切れた瞬間は止まっていたリンゴは、静かに動き出し、地面に落ちる頃にはそれなりのスピードに達しています。
速度が変化しているのです。私たちは、力とは物体を加速させる能力だと知っています。

 つまり、力の法則を知った今、リンゴには下向きに力が働いていると考えなければこの現象は説明できません。
この力が働くのはリンゴだけでしょうか?明らかに違います。私たちがジャンプすると、やはり地面に落ちます。もし何の力も働いていなかったら、
私たちの身体は慣性の法則に従って宇宙の彼方まで飛んで行ってしまうでしょう。どうやら重力は私たちの身体にも作用しているようです。

 それだけではありません。身の周りにあるものは全て、放っておけば地面に落ちます。もし何の力も働いていなかったら、静かに浮かんでいるか、等速でまっすぐ動き続けるかの
どちらかです。それはそれで見てみたい気はしますが、残念ながらそうはならず、物体は地面に落ちます。やはり下向きに力が働いているということです。
この下向きの力はあらゆる物体に作用して「重さ」を作るので「重力」と呼ばれます。
前にもコメントしましたが、押したときに動きにくい物体、つまり、質量の大きな物体ほど大きな重力が働くことも経験的にわかります。

 もう少し注意深く眺めると、質量が倍になるとその物体に働く重力も倍になることが実験的に確かめられます。重力の強さは質量に比例するのです。
ところで「下」とは何でしょう?またおかしな事を言い出した....と呆れるのは少し待ってください。私たちは、自分が立っている地球が直径12800㎞の球体である事を知っています。
ですから、もしも地球が透明だとしたら、自分足元を見れば、12800㎞の彼方に地球の裏側に立つ人(仮にジョンさんとしましょう)が見えるでしょう。

 その人の足は、私たちの方を向いています。つまり、私たちが「下」と呼んでいる方向を延長すると、それはジョンさんの足から頭に向かう方向です。私たちの周りでは、重力は「下」に向かっています。
ですが、もしジョンさんの周りにも同じ方向に重力が働いていたとしたら、ジョンさんはもちろん、周りのものは全て宇宙に飛び出してしまうはずです。
実際には、ジョンさんの周りでも、ものは地面に向かって落ちますから、重力が働く方向は私たちの周りに働く重力と逆方向で、その方向がジョンさんにとっての「下」になります。

 同じことは地球上のどの場所でも言えます。つまり「下」とは地球の中心に向かう方向ということです。

 『宇宙を動かす力とは何か』 日常から観る物理の話 松浦壮 著


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