「うのはな」さん　専用掲示板

5986：シャンソン：2020/02/08(土) 06:15:16: 　　　　　誰も余計なものは持ち合わせていない

　盤珪（ばんけい）さんの口癖は、「親の生み付けてたもつたは
不生の仏心ひとつで、余のものは生み付けはしませぬ」というものです。
つまり、性格の如何を問わず、誰もが「不生の仏心」だけを親から継承しているということです。

　ただ、二一世紀に生きる私が、この考え方に全面的に賛同しているわけではありません。
私たちは親からDNAを通じて基本的な体質を譲り受けており、ある程度の心理的傾向や性格を譲り受けているものです。
現代の常識として受け入れないのは、まさに盤珪さんが指摘した「仏心」の継承でしょう。これをどう考えればよいのでしょうか。

盤珪さんの周囲には、たくさんのエピソードが残っています。その一つが、短気な性格で悩んでいた僧侶の話です。
「自分は生まれつき短気で、その性格がどうしても直らない」と相談に来た僧侶と、盤珪さんは次のような会話を交わしています。

盤珪　お前さんは面白いものを持って生まれたなあ。それなら、今もそれがあるはずだから、ここに出してみなさい。そうすれば、わしが直してやるよ。
僧　　いえ、今は短期はありません。何かの拍子に出てくるだけです。
盤珪　じゃあ、短気は生まれつきなんかじゃないか。何かの拍子に自分が勝手に短気になっているだけだ。人は誰でも、親に生みつけてもらったのは、仏心だけであり、
他のものは生みつけてもらっていないのだ。

　誰でも何らかの性癖というものがあります。とかく怒りやすかったり、何をするにも弱気だったり、自分でわかっていてもなかなか直せないものです。
そして、そういう短所をしばしば親や生い立ちのせいにしてしまっている面があります。
しかし盤珪さんは、そういう考え方が間違っていると指摘しているのです。親から授けてもらったのは「不生の仏心」だけであり、性癖は思い込みによって固定化してしまっているに
過ぎないというわけです。その思い込みさえ外すことができれば、誰でも生き仏のままいられると説いているのです。

　中略

京都の宇治に平等院というお寺がありますが、私が考えるに、この不公平極まりない社会において何が平等なのかと言えば、この「不生の仏心」を同じだけ共有している
という意味で平等なのだと思います。その平等性においては、性別・年齢・学歴など、まったく関係ないことです。

　「無意識」はすべてを知っている　町田宗鳳　著

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