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「うのはな」さん 専用掲示板

5902シャンソン:2019/11/29(金) 20:53:50
  ストレスについて語り合うときの効果的な方法

 ふたりの医師が向かい合って座っています。
男性の医師が女性の医師に声をかけます。「患者さんが深い悲しみに向き合うときに
寄り添った経験について、話してください」

 それから男性の医師は黙って、臨床遺伝学者である女性医師の体験談に耳を傾けます。
その女性医師が語ったのは、ある40代の女性に、彼女の16歳の息子がマルファン症候群であることを
告知したときのことでした。

 マルファン症候群はまれな遺伝病で、骨の発育障害を起こす可能性があります。
この疾患のある人は、四肢や手足の指が非常に長い傾向が見られます。また、心臓が弱くなります。
その女性の夫は、2年前にマルファン症候群による大動脈破裂によって亡くなっていました。

 そして今度は、医師はその女性に対して、彼女の息子にも、父親の死因につながったのと同じ遺伝子異常が認められることを、
説明しなければならなかったのです。女性医師が話を終えると、相手の医師がおだやかに質問をしました。
 「そのときの経験が忘れがたいもの、意味深いものになったのはなぜでしょうか?」
続いてこう質問しました。「そのとき、あなたは自分のどんな強み引き出して、患者さんの苦しみに向き合いましたか?」

 これはロチェスター大学医科歯科校で開発された、医療従事者の燃え尽き症候群(バーンアウト)を軽減するためのプログラムのひとこままです。
このプログラムは、一次医療の内科医マイケル・S・クラスナーと、家庭医学、精神科、腫瘍学の教授ロナルド・M・エプスタインによって開発されました。
彼らは、医療従事者には職務上のストレスを処理する必要性があることを認識していました。多くの医師たちは、ある意味で感情をシャットダウンして、患者の痛みや、苦しみや、
死に向き合うように訓練されています。そうやって精神的に参らないように気をつけているうちに、医師たちは患者のことをモノや医療措置の一部のごとく見なすようになってしまう可能性があります。

 最初のうちは、ストレスの緩和のためにはよい方法に思えるかもしれませんが、やがて大きな代償を払うことになります。医療介護従事者が仕事に意味を見出すには、苦しみを乗り越えようと必死にがんばっている患者に
寄り添うことが、どれだけ重要な役割であるかを、しっかりと認識する必要があります。したがって、自分の身を守るために、患者たちの苦しみに巻き込まれないようにしていると、仕事に深い意味を見出すことができなくなるため、
かえってバーンアウトのリスクが高まるのです。

 これは医療従事者に限った問題ではなく、司法関係者、ソーシャルワーカー、教育者、子育て中の親たち、介護士、聖職者なども同じような問題で悩んでいます。これらの職務は非常に大変かもしれませんが、深い意味を見出せる仕事でもあります。
けれども、心理的になバリアを築いて、ストレスから身を守ろうとすると、目的意識や満足感を見出すことができなくなる可能性があるのです。

 『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』 ケリー・マクゴニガル 著


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