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「うのはな」さん 専用掲示板

480シャンソン:2016/05/05(木) 17:41:24

だが多様な動植物が生息するようになるまでの道のりはけっして平坦なものではなかった。
とちゅう、地球規模で種の絶滅など壊滅的な事態に見舞われたことは地質学的な記録に刻まれている。
生命が存亡の危機に瀕するほどの危機は少なくとも五回。なかでも有名なのは、約六五〇〇万年前に恐竜が絶滅したときだ。

 二憶五〇〇〇万年前にも危機は訪れ、生息種の九六パーセントが姿を消した。
絶滅を引き起こした原因はいまだに謎に包まれている。活発な火山活動で炭素が増え、温室効果で気温が上昇したのかもしれないし、
硫黄酸化物をたっぷり含んだ酸性雨が降り注いだのかもしれない。恐竜が絶滅した原因としては、隕石が衝突した衝撃で巻きあげられた
粉塵が太陽光をさえぎったためという説がかなり有力だ。

 たしかに壊滅的事態ではあったが、いっぽうでそれはチャンスも生みだした。
進化の過程でリセットボタンが押されたのだから。それまでも劣勢だった種が主役に躍り出る絶好のチャンスだった。
恐竜が君臨した時代が終焉しなければ、哺乳類が全盛時代を迎えることはなかったかもしれない。

 こうした経過を再現して多様な種をつくりだすことは人間の頭脳ではとうていできない。
光合成のしくみから始まって、エネルギー交換をおこなう多様な動植物まで、最高性能のコンピューターを駆使しても、
あまりにも複雑すぎてお手あげだ。これはまさしく自然からのすばらしい贈りものというしかない。
そのタイミングも絶妙だ。

 人類は自分たちに役に立つ種を選びとり、ニーズに合わないものは微調整し、有害とみなせば破壊も辞さないだけのすぐれた知能にめぐまれている。
しかしいまもなお、新しい種を一からつくることはできない。わたしたちが生きていくためには生物の多様性がどうしても欠かせないが、これもやはり人間の
コントロールのおよばない地球の特徴なのである。

 『食糧と人類』飢餓を克服した大増産の文明史 ルース・ドフリース 著


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