「うのはな」さん　専用掲示板

2555：シャンソン：2018/03/18(日) 19:14:09: 　　　」　じゃあ、スマホは？「目的」にならないの？

　企業レベルの話から、今度は、君たちにとって身近であろう、お金との付き合い方に
ついて考えてみたい。いま、小学校から中学校、中学校から高校に上がるタイミングで「スマホがほしい」と
考える生徒が増えていることが、さまざまな調査結果からあきらかになっている。

　君はジョブズ流に、こんな理論武装をするかもしれない。
「スマホを手に入れるという〝目的〟があるから、お金という手段がほしい」
残念ながら、スマホを手に入れることは〝目的〟にはならない。スマホを使って何をするかーそれこそが〝目的〟にはならない。
スマホを使って何をするかーそれこそが〝目的〟となる。

　「だったら....」と君は言うだろう。
「LINEで真夜中まで友だちと会話する〝目的〟がある」「みんなと共通の趣味として、オンライン・ゲームに熱くなるという〝目的〟がある」...
と、スマホの用途なんてありすぎるほどある。それを言い出したら「何でもあり」になってしまう。

　スマホとの付き合い方を考えるうえで、ジョブズ家を参考にしてみようか？
ジョブズは１９９１年、８歳年下で、スランフォード大学の大学院で経営学を学んでいたローリーンと結婚し、息子１人、娘２人をもうけた。スマホを生活必需品にまで高めた
ジョブズの家庭である。「ジョブズの子どもは、幼いころから〝デジタル漬け〟で育ったんだろうな」と考えた人は多い。ITの専門家や教育評論家たちも、同じように予想した。

　だが、予想に反して、ジョブズは自分の子どもたちにデジタル・デバイスを使わせなかった。たとえ、それがアップルの製品であってもだ。
仕事漬けの父親は、子どもとの時間がほとんど取れないのが一般的だが、ジョブズは違っていた。ジョブズはほとんど毎晩、３人の子どもたちと大きなテーブルを囲んでは、読んだ本のことや歴史の知識....などなど、
さまざまなことについて話したのだった。家族の会話の最中に、誰かがiPadを取り出して指先でスーッと画面をなぞり、「パパ、その本なら、この学者が解説してくれているよ」なんて言い出すことはなかった。
傍目にも、ジョブズの子どもたちは、デジタル・デバイスにまるで関心を持っていないようだったという。

　ジョブズは、こう語っている。「大切なのは会話だ。そして、一流の美術、音楽、工芸などに幅広く接することが重要だ」
このことを、いつも自分の子どもたちにも説いていた。それはジョブズが父親から、ある〝本物〟を見せてもらって感動した体験が息づいていたからだ。
子どものころ、ジョブズの家の近くにＮＡＳＡ（アメリカ航空宇宙局）のエイムズ研究所があった。

　父・ポールに連れられて研究所を訪れた１０歳のジョブズは、そこで生まれて初めてコンピュータを目にした。「すっごい！」
一瞬にして心を奪われた。当時の一般人にとって、コンピュータは手の届くものではなく、特別な研究者が使う、高価で、複雑で、それでいて得体の知れないシロモノだった。
裕福ではなかったが、父のおかげでジョブズは〝本物〟だけが持つ凄みや空気を肌で感じることができた。

　ジョブズは経営者になってからも、「一流のものを実際に見ること、じかに聴くことで感受性が豊かになる」と社員たちによく言っていたし、社員たちを美術館に連れていったこともあった。
スマホの生みの親こそが、「スマホの画面だけが人生のすべてではない」ということを誰より知っていたのだ。

　『スティーブ・ジョブズに学ぶこれからを生きる７つのレッスン』　竹内一正　ビジネスコンサルタント　著

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