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「うのはな」さん 専用掲示板

2361シャンソン:2017/11/23(木) 21:29:57
       「過去は未来になるんです」

「麻原の初公判は一九九六年四月二四日。僕は『A』の撮影で上一色村のサティアンにいました。
そこで信者たちとテレビを観ていたのだけど、コメンテーターの何人かが口を揃えて、人は救うはずの宗教が
人を殺すなんてありえないと言っていました。だからオウムは宗教じゃないとの結論ですね。単なる頭のおかしい集団。
人の命を軽視する危険な組織。だからどんどん潰せばいいとの論理です。

.....そういえば吉本隆明が宗教者としての麻原を評価するような発言をして、激しく叩かれたこともありました。
オウムは宗教ではない。そう断じながら日本社会は、宗教は危ないとか怖いなどの意識に短絡もしている。二重三重に間違えています。でもそのレベルの
認識のままなら、9・11以降の世界を正確に理解することはできない。なぜイスラム過激派がアメリカを憎むのか。イスラエルを軍事的にサポートしているからです。

 ならばなぜアラブ世界はイスラエルを敵視するのか。中東戦争があったからです。なぜ中東戦争は起きたのか。イスラエル・パレスチナ問題があるからです。
ならばなぜイスラエルは無理な建国をしたのか。なぜユダヤ人はキリスト教社会で差別され迫害されたのか。....これらの問題はすべて、宗教が大きな要素として働いています。
人を殺したら宗教ではないのなら、キリスト教もイスラムもユダヤ教も、すべて宗教とは言えなくなる。

 あまりにも宗教リテラシーがない。そしてそのことに気づいていない。オウムを特別視しすぎた結果としていたずらにセキュリティ意識ばかりが強くなる。集団化か進むから同調圧力が強くなる。
同じことを言わない異物を排除したくなる。だから在特会的な現象はもちろん論外ではあるけれど、安田浩一さんの『排外主義的な思想が地下茎のように日本人の意識の奥底に広がっている』との指摘は、
とても重要だし正鵠を射ていると思います」

「.....僕は拉致問題解決のための行動を、もう数十年やっています」と有田は静かに言った。
「でも訪朝するだけで北朝鮮のスパイとか手先みたいなことを、こっそり言っている人がいます。まあそれはともかく、あの盆栽のように無理失理につくった社会主義というか全体主義体制下であるからこそ、拉致問題の悲劇も生じてしまったと考えています。
北朝鮮には二回、行ったけれど、いい人はいっぱいいますよ。当たり前です。人間社会なんだから。だから前に進んでいるところもある。横田夫妻がモンゴルに行って孫のウンギョンさんに会えたときも、一部では北朝鮮の謀略だと言う人もいたけれど、祖父ちゃん・祖母ちゃんと孫が会うのは当たり前だという
合意が、日朝で結ばれたから実現したわけです。でも最終的な解決のためには、やはりあの体制をなんとかしないと。北朝鮮で困っているたちのためにも。....こう考えると、共産党時代も含めて、僕は組織メカニズムと闘ってきたのかなと思います。自分のテーマとして」

「組織の負のメカニズムに対して、個はどう立ち向かえるか」
「個の人間は、組織に帰属して、翻弄されながら生きている。でもその過程で、歴史はくりかえさせないと言うけれど、過去は未来になるんです」
確かにこの国は同じことをくりかえす傾向が大きい。言い換えれば学習が下手だ。教訓にできない。その理由の一つは責任構造の不在。必ず追及できない。なぜならば個ではなく組織共同体が社会の基礎だから。ここに働くメカニズムは忖度や同調圧力。つまり自分の意思ではない。疑似的意思。こうして組織は動く。
一人ひとりには自分たちが加担しているとの自覚がない。その構造を直視しない。

       『FAKEな平成史』 森達也 著


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