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読書紹介板

792アクエリアン:2018/07/14(土) 21:30:12
コリン・ウィルソン、オウムを語る3

万物は文句なく素晴らしいという感覚は、考えてみるといかにも自明のことで、常にそう見えていてもおかしくないのに、そ れでも気付かないということは、ウィリアム・ジェイムズのいう人類における盲目であり、人類に限って言えば、その当たりに 解決が潜んでいるのではないかと思われる。われわれの視野を狭めている独特の偏屈さから逃れ、意志のままにより視野 の広い状態に移行していくための鍵があるかもしれない。そしてわれわれは想像力を駆使してそれを行うべきなのだが、想 像力とはファンタジーや非現実を喚び出す魔力ではなく、たとえば、ビジネスマンが想像力の富んでいるという具合に現実 に根差した未来観という意味での想像力だ。これはフランスの心理学者ピエール・ジャネのいう現実機能だが、われわれは この現実機能を発達させなくてはならない。たとえば 人は心の底から尻込みしたくなるような状況に置かれると、ああ神 様、なんて恐ろしいと感じ、脅威が去るとどっと安心する。ただ、自分を今の恐ろしい境遇に置いてみさえすれば、それ以外 の状況はすべからくよいものに思われる。だが、そこが人間の困ったところで、恐ろしい危機とか難関とか悲惨な状態を想 像して今をありがたい状況だと実感するような現実機能を人は持ち合わせていないのだ。つまり、グレアム・グリーンがリボ ルバーを使って得た実感を、純粋に想像力だけで得る能力は私たちにはない。私自身は、人間はそれにかなり近い段階ま できていると信じてはいるが、過渡期にある人間が、やはりより先鋭な意識を持ちたいと渇望するのは無理のないことなの だ。この渇望こそ、 われわれが進化の次相へ飛躍する兆しであるとも言え、救世主やら千年王国やらが流行るのも、必ずしも悪いことばかりで はない。この200年ばかりの間に、渇望がより深まった印であると思える。


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