津田 講義とセミナーを週に一回ずつやりました。講義は[Early Buddhist Thought and its Tantric Evolution](ゴータマ・ブッ ダの思想とその密教的展開)というタイトルで、私がこの数年来考えている<開放系>(これは依然として仮称なのですが) という考え方から密教思想史について話をしました。密教思想史とはいいましても、ゴータマ・ブッダ(釈尊)に始まって、大 乗、純粋密教を経てタントラ仏教にいたり、さらに日本の空海から覚ばんを経て法然、親鸞にいたろうという、一種の通仏教 的な思想の流れを追おうというものです。
セミナーのほうは『華厳経』を取り上げました。「入法界品」、ガンダヴューハ・スートラですね、そのサンスクリット原典を購 読するのですが、サンスクリットを英語に訳すだけならわりに簡単なんですね。しかし、内容を理解させようとするとどうしても 中国・日本の華厳教学に触れなくてはなりませんので、そういう伝統的な術語表現を英語でどう表現したらいいのか、だい ぶ苦労しました。たとえば、お大師さん(弘法大師空海)の「普賢法界の重重帝網なる即身と名づく」とか、そういう理解です ね。そのスカッとしたところを英語的にどう表現するのか。くどくど説明することならどうにか可能なのですが・・・・・・。