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読書紹介板

221A空慧理庵:2017/07/20(木) 01:07:42
唯識入門①

 仏教の数ある宗派の中で、特別の信徒もいない、お墓もないという宗派が法相宗であることはすでに述べた。この宗派は仏教原論ともいえる「唯識」をその教義としており、三島の「豊饒の海」に登場する綾倉聡子の入山した月修寺もこの法相宗の寺に設定されている。

 唯識とは正しくいえば、「唯識所変」という。読み下すと、「ただ(唯)識によって変じだされた所のもの」であり、我々の識(心)こそがものごとを作り上げ、決定しているということをいっている。

 法相宗の寺である興福寺の高僧、多川俊英師はその著書「唯識十章」(春秋社)のなかで唯識を表す言葉として次の短歌を引いている。

 手をうてば 鯉は餌と聞き 鳥は逃げ 女中は茶と聞く 猿沢池

 手を叩くという行為一つをとってみても、それを受け取る側の状態、条件の違いでこれほど意味は異なってくる。つまり、耳から聞こえる音、すなわち耳識(にしき)は同じでも、意識の差でその理解の仕方、存在の在り処がこれだけ変るのである。

小室直樹著「日本人のための宗教原論」より


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