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読書紹介板
1954
:
シャンソン
:2021/01/31(日) 21:09:27
『自殺って言えなかった。』
2002年に刊行され、10万部を超えるヒットとなった一冊に、
『自殺って言えなかった。』(自死遺児編集委員会・あしなが育英会編)があります。
「あしなが育英会」から支援を受けている自死遺児の大学生や専門学校生13人の体験を、
後に『「原因」と「結果」の法則』や絵本「命の祭り」などのベスト&ロングセラーを担当する鈴木七沖が編集しました。
この本が世の中に出たとき、私は複雑な気持ちで本の動きを見守っていました。
実は私自身、小学校5年生のときに2番目の兄を自死で亡くしています。当時、兄は大学の文学部生でした。
昨日まで何の悩みもなく生活していたように見えた次兄が、突然命を絶った。遺書もなく、友達に相談することもなく逝ったせいもあって、自死の理由が
わからなかった。そのことが、家族の辛さをよけいに重くしました。
11歳になったばかりの少年にとっても、思い出すたびに叫び声をあげたくなる出来事となったのです。近所の悪ガキから、このことでからかわれるのもわずらわしかった。
ただ、からかう者は時が経てば忘れてしまいますが、こちらはそうではありません。
兄の自死から3年後、中学校2年生のとき、一冊の本に心打たれたのを今も覚えています。
ロマン・ロランの『ジャン・クリストフ』。河出書房新社のグリーン版世界文学全集で2段組み全3巻の長編。
ベートベンをモデルにしたといわれる「ビルドゥングス・ロマーン」(人間的成長を描いた教養小説)で過酷な運命を背負った主人公が、一歩一歩前に進んでいく様を描いた作品です。
その中に、こんなエピソードがありました。
後に音楽家になる主人公は貧しい生活の中で、師匠にオペラに連れていってもらう。それは素晴らしいもので、彼は感激する。
その後、音楽の稽古のご褒美として、観劇に行けることになったのですが、その場面での言葉です。
「観劇後の1週間の半分は行ったことの感動を胸に生き、あとの半分は今度観に行くオペラのことだけを考えて暮らした」
もう半世紀以上も昔のことですが、今も鮮明に覚えています。なんという素敵な言葉だろう。こういう姿勢で生きたら、たいていのことは乗り越えていけるのではないか。
この言葉に代表される、作家の物の見方、考え方が全編を貫いていて、それが読者に限りない力を与えてくれているように感じました。
兄の死の後、心の中を占めていたわだかまりが軽くなったような気がするとともに、
「自分はこれで生きていける」という思いが、体の奥から沸き上がってきたのです。鮮烈な読書体験でした。
ところで先ほどの『自殺って言えなかった。』について、この本の刊行は私が社長に就任した年でしたが、そのときでも、まさにほんのタイトルと同じ
「自殺とは言えなかった」自分がいました。自然に話ができるようになったのは、それから10年以上も後の、60代も半ばになってからです。
おそらくどんなことでも同じでしょうが、心の傷が癒えるのには、長い長い時間を要するということなのでしょう。
本然に話を戻すと、もしかしたら少年時代に経験したことが、浪人時代の進路変更や職業選択のおりに、潜在意識下に働きかけて道を選ばせたという可能性もあるのかもしれません。
そして、人を元気づけたり、励ましたり、癒したりできる本を出すこと、それが次第に私自身の本然になっていったともいえるのです。
『思うことから、すべては始まる』ミリオンセラー8冊達成の幸運に学ぶ
サンマーク出版代表 植木宣隆 著
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