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読書紹介板

1662アクエリアン:2019/07/04(木) 16:36:41
三島由紀夫豊饒の海第三巻「暁の寺」を読む

・・・・かつてあれほど若い日の自分を悩ました唯識論(ゆいしきろん)、あの壮大な大伽藍の やうな大乗仏教の体系へと、本多は今や、バンコックの残した美しい愛らしい一縷の謎をたよりに、 却ってらくらくと帰ってゆけるやうな心地がした。

 さるにても唯識は、一旦「我」と「魂」とを否定した仏教が、輪廻転生の「主体」をめぐる理論 的困難を、もっとも周到精密な理論で切り抜けた、めくるめくばかりに高い知的宗教的建築物であ つた。その複雑無類の哲学的達成は、あたかもあのバンコックの暁の寺のやうに、夜明けの涼風と 微光に充ちた幽玄な時間を以て、淡青の朝空の大空間を貫いていた。


 輪廻と無我との矛盾、何世紀も解きえなかつた矛盾を、つひに解いたものこそ唯識だつた。何が 生死に輪廻し、あるひは浄土に往生するのか? 一体何が?
・・・・・・・・・・。


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