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2401神の子様:2017/10/13(金) 16:23:37
26: うー :2013/01/13(日) 17:46:57 ID:GJR3i5nM
  ロックフェラーが溜め込んでいた「心の借金」

 アイケルバーガー中将の要請で、天風は、昭和二十二年、GHQ(連合国最高司令官総司令部)
幹部約二百五十人を対象に、当時有楽町にあった毎日新聞ホールで三日間の心身統一法の講演を行った。
講演のきっかけは、昭和二十年五月にさかのぼる。

 東京大空襲のために、天風は家族とともに田舎へ疎開していた。三回目の東京大空襲の翌明け方、すぐ近くの田んぼにB29が不時着した。
発見した住民が、搭乗員の中尉を寄ってたかって袋叩きにし、荒縄で縛って交番所に引っ張ってきた。
「もう少し懲らしめてやりたい」と騒いでいる。通りかかった天風は見とがめて、
「縄を解いてやれ。憲兵隊の隊長はオレの弟子だ。責任はすべてオレが負う」と言った。
外は血気にはやった住民たちで騒がしい。天風は彼らに向かい、「捕虜の身柄を自由にする権利は軍隊にあるだけだ。
あんたがたに聞きたい。おまえたちの息子が敵地でアメリカ人に捕まり、同じ目に遭って危害を加えられたとする。後で
聞いたら、おまえたちは嬉しいか」と問い返した。

 住民たちは黙ってしまった。憲兵隊に引き渡すとき、「武士道は敵を愛するところにある。本部からどんな命令がこようと、
この人がおまえの手元にある間は、不自由なくお客様扱いして、一生のよい思い出をつくってやれ」と頼んだ。
戦後、そのアメリカ兵は命の恩人である天風を捜すため、日本特派記者になり、アイケルバーガー中将に具申した。
これがきっかけになって、天風はGHQで講演することになったのである。
この講演に、来日中のロックフェラー三世夫妻が同席していた。
講演後、感銘を受けた夫妻は、天風といっしょに食事をとった。

 ロックフェラーと言えば、世界屈指の大金持ちである。彼らにも悩みはあるのか。
天風が尋ねると、「主なものでも百ぐらいあります。一番目が、自分たちがどれくらい財産を
もっているのかわからないこと。二番目が、いつ死ぬかわからないこと」
と夫人がため息をついた。そして、「いくら財産があろうと、病だけは予防できないで困っていました。
ところが、あなたの講演を聞いて安心できる気持ちになりました」と語った。

 ついてはアメリカに来てくれと再三再四、招聘されるが、信念するところにより応じることはなかった。
「ロックフェラーのごとき金持ちをして、これだけの人生苦がある。人生の苦しみを取り除くには、何よりも
心の中の観念を大掃除することが必要だ」と天風は言う。

「心の中の掃除をしないで、汚れるままに消極的な観念をいっぱい溜めて生きていくと、たとえどんなに学問しようが、
どんなに金ができようが、毎日が少しも安心した状態で生きられないものだ。はた目にはうらやましく見えても、本人に
してみれば哀れ憫然な人生でしかない」

 『中村天風 幸運を呼ぶ魔力』  池田 光 著

27: トキ :2013/01/13(日) 20:09:12 ID:uALmKu72
>>26

うーさん、いい文章をありがとうございました。
中村天風先生の有名なエピソードですね。


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