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非武装信仰板

1711シャンソン:2019/06/14(金) 15:36:56
  『カンタベリー物語』序

 卯月がその甘露の法雨を降らせ
 弥生の渇きの根にまで沁みとおらせ、
 授けらるる酒精の力に葉脈がよろこび
 それに潤されて花が生まれほころび

 西風もまたその香しき息吹にて
 雑木林や荒れ野にて
 新芽や蕾に命を吹き込み

 若き太陽が白羊宮の中へ半ば入り込み
 数多の小鳥たちの歌う旋律は耳をいざない
 鳥たちは夜じゅう眠りながらも目を閉じない
(かように自然にそそられて生きとし生けるもの逸り立ち)

 そうなると人は巡礼に出んと勇み立ち
 棕櫚の枝葉持つ巡礼者らはさらなる異境に赴かんと尚い
 目指す先は遠方の名高き寺院の屹立する辺涯
 とりわけ英国各州の津々浦々から

 人々はカンタベリーへと心ずから
 そこに聖なる尊き殉教者を詣でんとす
 病に伏せし者らを救済せし聖人を参拝せんとす

 ジェフリー・チョーサー (柳瀬尚紀 訳))


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