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非武装信仰板

1278シャンソン:2017/10/27(金) 20:38:14
     『置かれた場所で咲きなさい』出版裏話

マザー・テレサが、一つひとつの微笑みにも祈りをこめていたように、シスター渡辺も、一つひとつの仕事に打ち込んでいたのだと思います。
シスターの仕事ぶりを示すエピソードがあります。
今から20年くらい前のこと。

ある出版社から頼まれて、僕は編集者を、吉祥寺の修道院へお連れしたことがありました。もちろん、シスターの本を作るためです。
シスターは、放蕩息子の頼みを受けて、「しかたないですね。書かざるをえないでしょう」と引き受けてくれました。
ところが、この本が、いつまで経っても出来上がりません。実は、その間に、シスターが激怒して、校正刷りを編集者に向かって投げつけたことが
2度もあったと、あとから聞きました。

 要は、シスターのお考えをきちんと反映した本にはなっていなかったのでしょう。シスターは、適当なやり方を、なあなあで受け入れられるかたではありません。
けっきょく、10年かかっても本にはならず、原稿は紙の束のまま、出版社の社長が乗り出してきて、ようやく事態が動きました。
 もはや、「新しく書き足してください」とお願いもできず、少ない原稿量のままです。そこで、新書版にして、活字を大きくし、ようやく本の体裁になりました。
失礼のないように、5000部印刷して、これで勘弁してもらおう。というのが、出版社の最終的な判断でした。「もう勝手にしなさい」と、シスターも、それ以上はいわなかったようです。

 こうして、14年かけて世に出された書籍が、『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)でした。この本は、ご存じのとおり、215万部を超える大ベストセラーとなりました。
215万部ですから、印税も大変な額になります。「僕が紹介したのですから、最初に僕に1割くれるようにお願いすれば、けっこうなお金になったのに、おしかったなあ」
冗談でいうと、シスターは笑っていました。「そういったのは、保江先生、あなたが初めてじゃありませんよ。同じようなことをおっしゃった神父さまが何人もいらっしゃいました。
ご存じないかたが多いのですが、シスターというのは、個人財産はいっさい持てないのです」

 僕も知りませんでした。修道女は、お金も、個人の服も、個人財産は何一つ持てません。全部、修道院のものなのです。
一方、神父さまは、なんでも自分のモノとして持てるのだそうです。自分の車、自分の家.....。
「こういってはいけないかもしれませんが、カトリックって、けっこう男尊女卑の社会なんですね?」

 正直な感想をを述べると、シスターは苦笑いしていました。ただ、資産家ご出身のシスターだったりすると、百貨店であつらえたような、
高価な修道服を着ているかたもいるそうです。シスター渡辺の修道服は、最後まで、きわめて質素でした。ノートルダム清心女子大学の卒業生で、
大学の被服の先生が縫ってくれた服を、いつも着ていました。

 交通手段も倹約を重ね、飛行機はいつもエコノミークラス。交通費を安く上げるため、よくJRの「ジパング倶楽部(女性は60歳以上から入会できる、
JRのきっぷが安くなる旅クラブ)を利用していました。そして、大ベストセラーの印税は、シスターのお父上、渡辺錠太郎の名を冠した教育基金として
まとめられ、岡山県の高校生の奨学金として、使われているのです。

 『置かれた場所で咲いた渡辺和子シスターの生涯』‶名誉息子”保江邦夫が語る 保江邦夫 著


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