したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

非武装信仰板

1218シャンソン:2017/09/18(月) 16:18:56
    十か月も一緒にいてくれたよね

 いまでも忘れられない話があります。かれこれ三十年ほど前になるでしょうか。
私はあるご夫婦と知り合いました。そのご夫婦はともに東北の出身で、集団就職でやってきた
東京で知り合い結ばれました。下町にある小さな町工場で真っ黒になって働き、決して豊かとはいえないながらも、
仲睦まじく生活していました。

 二人はやがて一人の男の子を授かりました。しかし、出産後、医師はなかなか赤ちゃんと会わせようとしてくれません。
しばらくしてご主人は医師に呼ばれて、こう告げられました。「落ち着いて聞いてください。お子さんは重い障害を抱えて生まれてきています。
おそらくそう長くは生きられないでしょう」

 赤ちゃんを見せられたご主人は、きっと言葉を失ったのではないかと思います。目の前にいたのは、頭部が極端に小さい無脳症という先天性の病気を抱えた子だったのですから。
その頃、私はシスターとして、死が近づきつつある人たちや重い病気の人たちをお訪ねして希望を与える活動を続けていました。ご主人も私のことを本で読まれていたらしく、「障害のある子を
授かりました。命が尽きてしまう前に、鈴木先生に一度会っていただきたいのです。他に身寄りのない私たち夫婦の願いです」と連絡してこられました。

 私はすぐに駆けつけました。そして病院までの道中、両親はさぞかし泣き崩れていることだろう、どのような言葉をかけて勇気づけてあげようかと、ずっとそのことばかりを考え、心の中で神様にお祈りしていました。

私が病室をお訪ねした時、奥様が毛布にくるまれた赤ちゃんを抱き、ベッドの脇でご主人が座っておられました。しかし、驚いたことに、病室の雰囲気は明るいのです。二人は私の訪問をとても喜んでくれました。そして赤ちゃんに
向かって一所懸命笑顔で語りかけていました。「鈴木先生が来てくださったよ。本当にありがたいね」
「いまあなたを抱いているのがお母さん。横にはちゃんとお父さんもいてくれる。だから安心してちょうだいね」
「お父さんも、お母さんもあなたが生まれてきてくれて本当に幸せ。お母さんのお腹の中に十か月も一緒にいてくれたものね。毎日毎日がワクワク、ドキドキだった。たくさんの勇気をくれたあなたのことが大好き。何があっても守ってあげるからね」

障害のある赤ちゃんには両親の言葉は聞こえなかったかもしれません。
しかし、その病室は、子供が生まれた後、どの親も見せるような笑顔や大きな喜びに溢れていました。
身寄りのない東京で厳しい労働に明け暮れ、貧しい生活を強いられている二人は、様々な人生の苦労を味わっていました。虐げられたり、嘲られたり、孤独に打ちのめされそうになったり人に言えない思いをたくさんしてきたに違いありません。
そんな二人にとって、我が子の誕生はただ一つの明るい希望でした。

 首を長くして待っていた我が子の誕生。しかし、その我が子は重い障害を背負って生まれてきた.....。
普通であれば精神的などん底に突き落とされたとしても不思議ではありません。しかし、この両親は悲しみに暮れることなく、長くは生きられないであろう我が子に喜びを語り、限りない愛情を注ぎ続けていたのです。

 赤ちゃんは両親を選んで誕生してくるといわれています。魂の成長に必要な両親を自分で選び、この世に生を受けて様々な出来事を体験し、多くの大切な人に出会って魂を磨き、再び魂の故郷へと帰っていく。それが人生なのだと私も考えています。
この両親も、魂が永遠であることを確信し、そのような人生観をお持ちだったようです。
「あなたは、こんなに貧しく学歴も何もない私たちを親として選んでくれたんだね。ありがとう。お医者さんからは、この子は短い命でこの世からすぐに去っていく運命だと聞いているけれども、たとえあなたがこの世から去ったとしても、私たちにとっては
大事な大事な我が子。いつまでもいつまでも愛し抜いていくからね」

 このように二人の口から出てきた


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板