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非武装信仰板
1075
:
シャンソン
:2017/05/21(日) 22:04:06
余計な私心をなくすと、自由になる
これは私が大学を卒業して、最初に勤務した病院での話です。
自家用車の事故で救急に運び込まれ、下半身が麻痺してしまったために車いす利用となった
男性の患者がいました。
その奥さんがとてもできた人で、男性がリハビリをする間、本当に甲斐甲斐しく看病されていました。
ところが、その男性は運動機能を回復したあたりで、急に奥さんに対してイライラするようになりました。私はそんな男性の態度を見て
「どうしたのかな」と不思議に思っていましたが、そうこうするうちに退院の日を迎えました。
後で聞いた話ですが、奥さんは胃がんの末期ステージだったそうです。
当時は家族に話しても、本人告知はほとんどされない時代です。
奥さんが末期であることは男性だけが知っていました。
そんな状態であるにもかかわらず、自分は事故で動けなくなってしまい、末期がんの奥さんに
世話をしてもらっていた男性の心中は、穏やかではなかったに違いありません。奥さんを看取った男性は、つらかったでしょう。
自分が健康体であれば、いろいろ世話をする時間ができたわけですから。
ただ、奥さんとしてみれば、どうだったでしょうか?
そこは勝手に想像するしかありませんが、それだけのお世話ができる人ですから、自分なりに精一杯やったという満足感があったとは
考えられないでしょうか?そもそも愛情を寄せていなければお世話などしません。
奥さんを看取った男性は、しばらくの間、かなり落ち込んでいたという話を人づてに聞きましたが、天上へと還った奥さんは、むしろすっきり、
晴れ晴れとしていたかもしれません。なぜか?
自分の不具合を顧みず、夫を懸命に世話する奥さんには「余計な私心」がなかったのではないかと感じるからです。自利よりも利他、理屈抜きでご主人の世話をすることこそ
自分のお役目とお考えになったのかもしれません。
もしかしたら自分の命の期限が迫っていることも、何となく感じていたかもしれません。
私心を持たなくなると、人は解き放たれます。心の自由度が高まります。
初任地で、大切なことを教わった気がしました。
『身軽に生きる』 矢作直樹 著
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