したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

「まじめな話」の板

8461シャンソン:2019/05/16(木) 20:51:06
    一般論が必ずしも正解なわけじゃない

 逆に、待遇面で大企業に劣る、つまりそこでの勤めは生活の安定に不安があると言われる
中小企業の中にも例外はあります。たとえば、中小企業でも積極的に子育て支援を進めているところがあると聞きます。
支援は資金を投じた制度の拡充にかぎりません。小さな子を連れての出勤を認め、周囲も一緒に面倒を見るような会社もあるそうです。
(このような制度化されない例外は、ホームページなどで公表されませんから、入ってみるまでわかりません)。

 かように、ドイツの社会学者であるフェルディナント・テンニースがいうゲマインシャフト(共同社会)的な側面を残しているような中小企業には、
大企業にはない安定があると考えることもできます。
 ここに示した例以外に、もちろん大企業で安定が得られるケース。および中小企業において不安定に苦しむケースもあります。

ここで述べたいのは、一般論はあくまで一般論であり、それ自体に真実や意味があるとしても、それが必ずしも個々人に当てはまるわけではないということです。
安定の指標としてしばしば平均年収が挙げられますが、ここで用いられる平均値も同様です。平均値は、ある標本群の数字を平らに均したものであり、標本の特徴を表現する代表値の一つです。
平均の概念は、ぼくたちの日常生活に頻繁に登場するため(割り勘など)、つい納得してしまいがちですが、必ずしも常に正しく傾向を示すわけではありません。

 たとえば、従業員五人の会社があるとして、一人の年収が二〇〇〇万円あれば、他の四人が年収二五〇万円だとしても、この会社の平均年収は六〇〇万円となります。
「平均年収六〇〇万円」と聞けば、この会社で働きたいと思う人もいるでしょうが、その実態は異なるわけです。このように、平均値は外れ値の影響を強く受けるという性質があるので、無条件にあてになる数字とは言えないのです。
結局のところ、一般論や平均値に普遍性はなく、参考程度のものにすぎません。金銭感覚やライフスタイルは人によって異なりますし、世の中で必要とされる安定の基準が自分にも当てはまるかどうかわからないものです。

 この章の題は「『小さな会社で働く』と決めた」です。
これは大企業勤めへのアンチテーゼや中小企業礼賛を意図したものではありません。
ただ、必ずしも大企業に勤めることだけが正解であるとはかぎらないということや、中小企業で働くことの可能性を無視してはいけないと思っています。

 安定や金銭的充実を重視する価値観に囚われている方がいるならば、それ以外のものに目を向けるきっかけとなれば幸いです。

    『小さな会社でぼくは育つ』 神吉直人 著


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板