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「まじめな話」の板

5550シャンソン:2017/10/27(金) 21:52:11
     匿名者が発信する情報は信じるな

 先に「ファクトの裏付けのないオピニオンは捨ててよい」と書いた。
本章では、残る「ファクトの可能性のある情報」について、検討する段階に進む。
ファクトを見つけるためには、それが「ファクトであると信じることができる可能性」を
測らなければならない。

 「信憑性」「信用性」「信用度」など様々な言葉で呼ぶことができる。
私の報道記者としての経験で言う。新聞社にいたころでも、ニュース週刊誌にいたころでも「ニュースにしてくれ」という
情報提供のファックズや手紙、メールは毎日、開封が面倒くさくなるほど来た。
フリーになった今でも、公開メールアドレスにそうした連絡が多数来る。しかし、私は記者になって30年間ずっと「匿名の人から来た情報は、
確認できるまで事実とは考えない」ことにしている。

 つまり「匿名情報は信用しない」が原則である。ネットであれ新聞・テレビ・書籍といった旧メディアであれ、発信者が誰かわからない情報は捨ててかまわない。
ファクトとしての信用度が低いからである。
 私が「アエラ」で医療問題の担当をしていた1990年代の話である。情報提供の手紙が来た。
「国立N大学医学部のP教授が、ある医師の研究データを自分の論文に盗用している」と書いてあった。論文のコピーが同封されていた。大学名Nも教授名Pも実名で書いてあった。
教授が実在することも確認できた。

 しかし差出人の名前が書いていなかった。なぜか「連絡先」として電話番号は書いてあったので、電話してみた。若い男性が出た。差出人だと言う。しばらく話すと「まるきり嘘を言っているわけではない」という感触は持てた。
だが、彼は名前を名乗ることを拒んだ。「そちらに伺うので、会って直接話したい」と頼んだが、それも断られた。「マスコミに情報提供したことがバレたら、どんな報復をされるかわからない」と言う。
大学医学部教授は、その「医局」に属する医師の人事権を持っている。情報提供の事実が露見したら、おそらく一生回復できないような不利を被る可能性は高い。そこで「面会の方法も、記事の表現も、あなたが情報提供者であることがわからないように
細心の注意を払う」と頼んだ。「情報源の秘匿」は報道記者が絶対守らねばならない必須の要件である。が、それも断られた。小さな地方都市なので、どこで誰に見られているかわからないと言う。

    『フェイクニュースの見分け方』 烏賀陽弘道 著


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