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良いこと嬉しいこと報告板
1471
:
転載
:2020/05/02(土) 10:19:22
「小林公夫現代ビジネス」で検索すればすぐに読める。その中に,私の高校1年生の頃の話を少々盛り込んだ。
私が10代の頃のことだ。法務省に勤務する父は1年から2年に1回のハイペースで転勤を繰り返していた。中学時代も東京から横浜に転居したが、高校時代も同様である。横浜からある地方へ転居した。高校1年生といえば育ち盛りである。当時私は、1時限目の授業が終了した休み時間に、いつも早弁と称して母が作ってくれた大型のおにぎりを2個食べることにしていた。すると、その姿がいかにもおいしそうだったのだろう。その早弁タイムにクラスメートの男子1人が私の机の前に近付き立ち尽くすようになったのである。そしてある日、告白された。「お腹が空いているので僕にもおにぎりを分けてもらえないか」、と。憐憫の情はなかった。自然な感情から私は彼におにぎりを分け与えた。
数回そのようなやりとりがあって、ある日私は母に事情を打ち明けた。学校に持参するおにぎりを友人に半分分け与えていること、これではいくら昼に学食でラーメンやカレーライスの特大盛を食べてもお腹が空いてしまうことを告げたのである。そう告げられて母はしばらく考え込んでいた。その場で答えはもらえなかった。だが、翌日から登校時のおにぎりの重さが明らかに重くなっていた。母は持参するおにぎりを友人の分も含めて4個握るようにしてくれたのである。女子高校生がボーイフレンドにお弁当を作り持参するという話は聞いたことがある。しかし、よその家の子どものご飯を作り持参する男子高校生という話は耳にしたことがない。頼りにされると見過ごせないというのか、私は昔からこのように風変わりな少年であった。
しかし、この不思議な行動がなぜ自分の中で正当化されたのかといえば、自分の母親のおにぎり、いわば他人が握ったおにぎりを美味しいと言ってくれることに喜びを感じていたのだと思う。そして、それは私と母に対する信頼感が彼の心にあったからである。感謝するのは、むしろこちらのほうだ。S君、お元気ですか。
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