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生長の家傍流掲示板/別板1
3695
:
転載
:2021/02/17(水) 16:58:35
京都市の事前指示書に関するファクトチェック
1. 事前指示書とリビングウィルは違う
教科書的には、リビングウィルは事前指示書(advance directives)の一種である。事前指示書には二種類ある。リビングウィルは昏睡状態になったときなどに備えて治療の継続や中止などを記した文書であり、京都市の事前指示書もこれに当たる。英米ではこの他に、もしものときのために代理の意思決定者を決めておく永続的委任状がある。なお、英米と違い、現在の日本では事前指示書に法的な効力はない。
参考までに、米国病院協会が作成しているパンフレットから訳しておこう。
正式な事前指示書とは、深刻な病気になる前に書かれる文書であり、あなたが意思決定ができなくなったときのために、医療に対するあなたの選択を述べたり、そうした選択をしてくれる人を挙げたりするためのものです。リビングウィルや医療に関する永続的委任状などの事前指示書を通じて、あなたは将来の治療に関する法的に有効な決定をすることができます。
日本では、尊厳死協会のリビングウィルが有名だが、これは延命措置の中止を医師に要請するもので、今回の京都市のものとは大きく内容が異なっている。京都市のもの(実質的には国立長寿医療研究センターが作ったもの)は、治療の中止だけでなく、開始や継続も希望できるものである。新聞記事を読むと、この点が十分に理解されていなかったために、京都市が治療中止を勧めているという誤解のもとに批判がなされているようにも思える。
2. 病状と介護支援の説明もない事前指示書はありえない
これも教科書的には間違っている。事前指示書は、もしものときに備えて健康なうちに書くものである。とはいえ、京都市の事前指示書は、「作成するときは、医師やご家族、親しい人と相談のうえで行う」ことを勧めており、医師らによる説明を排除するものではない。
なお、もしものときに備えて医師や看護師などの医療従事者などと相談しながら治療方針を決めるプロセスは、今日アドバンス・ケア・プラニング(ACP、事前医療計画)と呼ばれている。ACPも重要な取り組みであり、事前指示書はACPの一部としても作成できるが、そうでない場合もありうるため、両者を区別する必要がある。
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