"see, ul ti on anso dal-a san kok? diin, an onx-i tin ti. sentant"
"nob zi! uniii.... sentant?"
落ちついたところで、彼らは赤白長衣の田舎(?)少女に感謝の言葉を述べた。
突然の状況で動揺したため、色々といじってしまったが、そのぐらいの最低限度の常識はわきまえているようだ。
"sentant? ap! mya alna! iio iio."
イントネーションが異なるものの、最後の「ありがとう」という語彙は奇跡的に共通していたため、通じたようだ。
そこで部屋にうめき声が聞こえた。白猫妖怪たちは、この部屋の寝台の一つに先ほどの怪物との戦いで、主人公補正が強そうなロングソードを出した異人さんが寝込んでいる事に気が付いた。
そろそろ起きそうな気配である。
赤白長衣の少女は、にわかに動揺した。
彼女は血まみれの布を素早く寝台の下に隠す。
"a a a a a. xixxe! soda xi ask te nekt! neekt! neekt passa? passa?"
彼女は、さっきのことは秘密にしてほしいと念を押した。花も恥じらう年頃の少女である。見ず知らずの相手であっても異性に自らの特殊性癖は知られたくないのだろう。
"kakis, ku molut va?"
白猫又は大猫に通訳を依頼する。
"aa, an lok-ula ar lu ku-a to. tal, an lok-ela ko vet del "nekt" hot."
わけが分からないが、「秘密」という単語だけ分かったという趣旨のことを白猫又に伝えた。
"ten, kon te ku na nobum na jiga?"
"ix"
単語は「秘密」の一つしかわからないが、鼻血塗れの布を隠したこと、主人公補正が高そうな青年が起きそうだという状況から文脈を判断して、動物に過剰に反応してしまう特殊性癖を秘密にしてほしいと頼んでいるということは推理できた。
"zi li wi?"
"hao, passe!!"
"val val val."
かれらは後ろを向いて相談した。
そして彼らは振り向くと、天使のように優しい表情を浮かべながら言った。
"ti laz! hao, passe. ti na-al nal. passe, passe, lok?"
"passe! passe! passe!"
これを聞いた少女は答えた。
"passe? ap, xixxe eks passa na! atta, atta, xixxe ank miiko sentant!"
どうやら彼女は、白猫妖怪の発言を承諾と判断したようだ。
"iio iio, yunk falo"
"ii! ii! oo! ii! ii! oo!"
彼らは、感情を表情に出さないようにこらえながら、「どういたしまして」と答えた。
実は、「大丈夫」という承諾を意味する単語passoに類似したpasseという単語は逆の意味である。つまり「大丈夫じゃない」、「駄目」、「無理」、「冗談じゃない」など様々な言葉で翻訳されるが、端的に言えば「拒否」である。少女はpassoにあたると思われる単語をpassaと発音していた。つまり、passoに類似したpasseと答えた場合、高確率で「承諾」の意味だと勘違いすると、見た目白くて中身はどす黒い邪悪な頭脳は判断したのだ。そして、彼らのもくろみはまんまと成功し、少女は白猫妖怪たちがNOと言ったのにYESと言ったのだと勘違いしたのだった。彼らがその青年の言葉を覚えた時、彼女の尊厳は脆くも崩れ去ってしまうだろう。