あたりを見渡せば、古めかしい石壁を蝋燭がともしている。粗末な寝台がいくつか並んでいる。前火薬時代の兵士たちの宿舎というのが、最も端的な表現であろう。
小窓から見える光からすると、時は朝のようだ。少なくとも丸一日以上寝込んでいたのだろう。
彼らはクッションを敷いた土鍋の上で寝ていたらしい。妙に気分が落ち着く寝床である。
太古には土鍋に盛られた猫を撮影する行事があったと伝えられている。
と思ったら、ベッドの向こうに腕輪のようなものをこちらに向けて、恍惚の表情を浮かべる赤白長衣の少女の姿があった。
太古には、動物、および動物キャラクターに過剰に反応してしまう特殊性癖が星の名前の由来となった大陸の超大国を中心に栄えていた、と伝えられている。
二匹は彼女がその太古の特殊性癖の持ち主ではないかと考えた。
"uniiii!! zi na nobum? dunad! dunad! dunad mujo! nyan, sevuda!"
白猫又は恥じらいの表情を浮かべながら仰向けになって、体を卑猥にひねってみた。
"myaaaaa!! mya leev sat atolaaas! teeeee!!"
少女は鼻から血を噴き出して布で覆った。
彼らの疑惑は確信に変わった。
白猫又は面白がってどんどんと淫らなポーズを決めた。
白猫又は彼女をふざけて殺すつもりである。
動物が遊びで殺さないなどと言うのは迷信だ。
"wei wei, ti, laz esel! kaxn tu et gox! yus-ac an pag-i mam e ti"
大猫は思わずセクハラ発言をした。
"we!? we!? we!? ala es ket ku sen kukuli myul arka ya!? mya te ani aluutel! ya! mya teryat xeo ya!"
赤白長衣の少女は布で鼻を押さえて、鼻声で驚いた。訛りが酷いのか、よくわからないが、ところどころ「エロ」とか「おっぱい」みたいな単語が踊って頬を紅潮させる。
"zi kez vi tud e ku?"
彼女の言葉分かるのかと白猫又は、おふざけをやめて大猫に聞く
"ya, ye hot a. ix, an os-i lu ku-i meseld fi xe. an lok-ul eld e lu man an ten-a xil os meseld soa. ales-i xiilan "
大猫は、彼女は訛りが酷過ぎて、よくわからないとのことである。ついでに田舎者ワロス的な事を言う。
"xiilan? saa, ales i xiilan? ep, txi alesyat yu i xiilan? kaf tintin yaaa"
「飼い主にいじめられて、可哀そうに!」みたいなことを言って、これをいいことに大猫に抱きつく赤白長衣の少女。
またしてもわけのわからないコントのような状況になってゆく。ちなみに大猫の言うxiilanとは「田舎者」を意味し、赤白長衣の魔法少女がいうxiilanは「飼い主」のことである。