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人工言語の集まる町

22luni ◆CcpqMQdg0A:2012/10/12(金) 08:07:57
よくよく観察してみると、先ほど薄暗い路地裏で
銃で撃たれて死んだ男の後ろに大きな車輪がついた荷車があった。
この男が運んできたのだろう。
革の覆いが吹き飛び、中の荷があらわになっている。
中身は直径1mの立方体の檻のようなものであった。
その檻の上下1mずつの高さ3m、北と西に4m、南と東に3メートルの
3×8×8mの範囲で、何もない空間に煙が立ち上り、先ほどの物と同様の悪臭怪物が
次々沸き出している。

某電脳世界の代理人を思わせる黒スーツの人々が銃を撃ち、
鼻先に金属棒が伸びてる兜が印象的な鎖帷子の人々が槍を上下に振りおろして叩き、
紅白長衣を着た人が手から火を放ち、その怪物を次々屠っていった。
"kez yava lobi......"
白猫又はそう呟いた。
この町は、一体どういう方向性を狙っているのか、わけが分からない。
文明レベルから、文明の種類まで滅茶苦茶である。
この奇妙な武装集団によって、怪物は次々に屠られ、死体の山を築くがきりがない。

面倒だから早くこの場を立ち去ろう。
そう思って歩き始めた矢先、
"aaaaaa!!!"
怪物に吹き飛ばされた戦斧を持った妙にがっしりした髭のおじさんが突然空から降ってきた。
"hgyaaa!!"
押しつぶされて、思わず猫の悲鳴のような声をあげる小猫又。
"naa? nei haar luni?"
大猫は、その悲鳴で流石に異変に気がついたか、髭のおじさんの下敷きになった小猫又を引っ張り出す。
"la el la jeg nyaaa.."
小猫又はかなりの衝撃で押しつぶされたにもかかわらず、よく道で見かける平面化した毛の塊にはならなかった。
一方でそのおじさんは吹き飛ばされた衝撃で内臓破裂を起こし今にも死にそうであった。

"gois!"
大猫は、面白い玩具を眺めるように高い年代物の鎧や斧を観察している。
彼もまた小猫又と同類の妖怪なのだ。
他者の生死にさしたる関心はない。
彼は灰色っぽい光る金属でできた無骨な斧を撫ぜ回した
"op?"
驚いたことに、斧はみるみる小さくなり、太古の学校で使われていたというチョークに酷似した
小さな金属棒に変化した。
今度は、重そうな丸盾にふれてみる。これも小さな金属棒に変化した。
"wei, luni liij, ba' bit mil. vongole boj"
大猫は、小猫又に面白いからやってみろと促した。
小猫又は、小さな短剣に触れて見た。これもまた小さな金属棒に変化した。
"ou, gel, si na dara bo!"
小猫又も面白く思ったようだ。

"agaaaaaaaaaaaaaaa!!"
その時、小さな髭のおじさんは、獣の咆哮のような言葉にならぬ言葉を発した。
その叫びに死体漁りを楽しんでいた妖怪たちははっとする。
擬人化動物汎用語、それは言葉ならぬ言葉の意味を読み解く力である。
彼らはその言葉ならぬ言葉の中に多くのことを読みとった。
死への苦痛と恐怖、二度と帰れない故郷への郷愁、守りたいものを守れなかったという悔しさ、
彼の大切な友人と共に死ねなかったことへの無念、多くの感情が流れ込んできた。
いかに人間離れした感性を持つ妖怪たちでも直接感情や思念が流れ込んで来れば理解できる。
ただ、単純にこういった方法でないと相手の気持ちが理解できないだけなのだ。
彼らの姉もそうだが、漢の想いには感化されやすい気質を持っている。

――どこの誰だか知らないが、我の代わりにこの町を、みんなを守ってくれ
そして、この牢獄の門を開いてくれ

そのおじさんはそう言って息絶えた。
漢の想い、遂げずにはいられようか。

""Sen-Tei no Mu-Nen wo Haras!!""
彼らは、太古の弧状列島に伝わる伝統芸能の台詞を唱えた。


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