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人工言語の集まる町

13luni ◆CcpqMQdg0A:2012/10/09(火) 23:37:54
"unii.... la kom xudo..... la jeg guj...."
 その白い小猫又は空腹のあまりふらついている。
"nya! la chilak faj e id!"
 どうやら飲食店を見つけたらしい。
 当然、この街の通貨は持っていない。しかし背に腹は代えられない。
 その子猫は店で強盗することを試みた。
 店主に向かい、精いっぱいの虚勢を張って言った。
"kev jil id o la!!"
 しかし、所詮、小動物が叫んだところで大した脅威にはならない。
 ふわふわした髪のスリッドスカートが印象的な女性店員は興奮した様子でその白い子猫を拾い上げ、抱きついた。
"hwa!! hwa!! miiko xa!! ank tinkaa!!"
 その腕は、細いようで意外と力強い。重い純銀製の棒を10m単位で投擲できるかのような力強さである。
"uniiiiiiii!!!"
 その女性店員に抱かれて子猫は苦しそうにしている。
 言葉はどうも語族レベルで別系統である様子で、通じる様子はない。
 そこで、作戦を変えた。
"unii, uniuni uniii uni"
 まるで猫の鳴き声そのものである。
"mii, uni! uni uni nyaan"
 女性店員も猫の鳴き声っぽいものを出し、なぜか通じた。
 親切な女性店員は厨房から牛乳瓶を持ってきて、浅い皿に注いで与えてくれた。
 心のきれいな者には通じる魔法の言葉である擬人化動物汎用語とでもいうのだろう。
 人工言語の国際補助語の存在意義を全否定するかのようなコミュニケーション方法である。

 腹が落ち着いたところで、その女性店員の足元を眺めて見ると、肉まんを思わせる体型の白い大猫がいた。
 これもまた猫と言うのは正確ではなく、二足歩行の猫型妖怪なのだろう。
"naa!! lein liij haahaa. fue haahaa pe!"
 その大猫は嬉々としてその女性店員の足元にすり寄りながら喋っている。
"hap? kakis? la el zi jeb gav"
 子猫はその大猫に冷たく言い放った。
"luni liij a rag aa"
 二匹の言葉は別系統の言語であるようだが全く問題なく通じている。
 これもまた擬人化動物汎用語の力なのだろうか。

 この二匹は、見た目こそ大きく異なるが、双子の兄弟である。
 旧知の仲と出会い、子猫はすっかり落ち着いた。
 この様子ならば、神に類する彼らの姉や兄もいるのだろう。
 彼らならば帰り道の用意ぐらいならば問題なくできるであろう。
 しばらく待てばなんとかなるだろうと生来の楽観的な思考経路を辿り、この状況に順応したようである。

 店を眺めれば、服装のみならず、種族レベルでも様々な外見をした人々が、これまた様々な言葉で
困惑した様子で話しあっている。
どうやら、突然この町にやってきたのは自分たちだけではないらしい。
ともかく状況を確認したい。
そう思い、白猫又は、彼らの言葉に耳を傾けて見た。


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