1 助動詞の定義や、助動詞と動詞の区別は意外と曖昧。
英語の助動詞は動詞の原形を取ると習うと思いますが、では完了の have や受動態の be はどうかというと、文法書では助動詞としてまとめて説明しているものが多いように思います。
また、動詞の原形を従える have to や had better や ought to は果たして助動詞かどうか、判断が分かれると思います。
私は動詞のみを目的語に取る活用語群が助動詞だと考えています。
異論は認めますが、分類なんて後付なのだから好きなように定義すれば良いのです。
want は動詞の to 不定詞も名詞も目的語に取るので助動詞ではありません。
しかし want to が縮まった wanna は動詞の原形しか目的語に取らないので、これが広まり定着すれば新しい助動詞と認められることになります。
I can speak English. はドイツ語では Ich kann Englisch sprechen. ですが、ドイツ語では Ich kann Englisch. も許容されます。
これは sprechen が省略されているだけと考えるのが自然ですが、あたかも助動詞の kann が名詞の Englisch を目的語に取っているように見えます。
仮に sprechen が省略されているだけだとしても、英語では I can English. とは決して言えません。
このように英語と比べるとドイツ語の kann は助動詞としては不完全な部分もあると思えてきます。
因みに英語の to 不定詞は与格不定詞という特別な形が一般化したもので、普通の不定詞は原形不定詞です。
ドイツ語にも原形不定詞と与格不定詞の区別はあり、それぞれ次のようになっています:
2 助動詞なんかいらない。名詞と動詞があれば、どんな文法もなんとかなる。
以前、セレンさんが無品詞の言語の例を出していたことがありました。
I saw her at school. は I did her. I see her. I place school. と表すのだったかな。
これは極端な例ですが、動詞が充実していれば疑問文も否定文も命令文も必要ありません。
疑問文は I ask... や I wonder... で、否定文は I deny... で、命令文は I order you to do で表せば良いのです。
形容詞は difficult language は名詞と動詞だけで language having difficulty と表せます。
副詞も He runs fast. は He runs having fastness. でいけます。
こういうまどろっこしい言い方がだんだんこなれて様々な品詞や文法が発達していきます。