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【人工言語】人工言語総論スレッド

540 ◆UOXJ7Oxg.I:2013/04/21(日) 20:16:28
続き。今回で完結。

自他同形語の学習・運用効率に関する考察。

本動詞
孤立語では統語で自他が区別できる。
二項あれば他動詞、一項なら自動詞。
屈折語や膠着語では項の格からでも判断できる。
主格対格言語では対格があれば他動詞、なければ自動詞。
能格絶対格言語では能格があれば他動詞、なければ自動詞。
学習効率は最高、発語と理解は孤立語でやや劣るが屈折語や膠着語では良好。

準動詞
準動詞でも項に頼って自他を判断することはできるが冗長になるので避けたい。
e.g.
deathing [自] 死ぬこと、deathing one [他] 殺すこと
deathing man [自] 死にかけている人、man deathing one [他] 殺している人
代替案として自動詞と他動詞で異なる語形を用意する。
自動名詞 deathing 死ぬこと
他動名詞 deathend 殺すこと
自動不完了分詞 deathing man 死にかけている人
他動不完了分詞 deathend man 殺している人
自動完了分詞 deathed man 死んだ人
他動完了分詞 deathen man 殺した人
受動分詞 gedeathen man 殺された人
準動詞の数は英語のように -ing と -ed しかない言語もあれば古典語のように各時相に別々の語形があるものもある。一例として上記七種五形態を用意したい場合、自他同形だと不定形一つに準動詞五形態で覚える形態は六つ。自他別形では不定形二種と不完了分詞、完了分詞、受動分詞の三種で覚える形態は五つ。こう考えると負担は同じようだが、自他同形語では接辞のみで機能を判断するが、自他別形語では語幹と接辞の組み合わせで機能を判断することになる。どちらが便利かは甲乙付け難いが、準動詞の種類が増えれば自他同形語の方が負担は増すような気がする。

命令法
逼迫した状況では他動詞でも目的語を省略する場合が考えられるが、その場合は自他同形では区別しようがないので文脈に頼るしかない。
Death! だと文脈に頼らなければ「死ね」なのか「殺せ」なのかわからない。

以上から、本動詞だけを考えるなら自他同形でも問題はなく、自他別形よりも有利な可能性があるが、準動詞まで考慮すると自他同形の方が明らかに有利という状況は考えにくく、命令法になると自他別形にした方が良さそうである。

意味論
ある他動詞に対応する自動詞や、ある自動詞に対応する他動詞が、どのような語でも唯一通りに定まるか、対応するものがない場合は自他同形でも別段問題はない。しかし対応するものが二つ以上ある場合は自他同形では区別することができない。
「紹介する」という他動詞に対応する自動詞は「自己紹介する」であり、他動詞の目的語となる再帰代名詞を抱合して自動詞ができている。同様に考えると「殺す」に対応する自動詞は「自殺する」があるが、それだと「死ぬ」と競合することになる。更にアルカでは latyur の他動詞としての語義は「自殺させる」で使役の意味になり、vort の他動詞としての目的語は、それを主語にして受動態に書き換えることができるのか疑問であり、実際に vortat yu で用例検索したが一件も見付からなかった。英語の enter は他動詞で、その目的語を主語にして受動文に書き換えることもできるが、しかし enter に対応する自動詞はないように思う。
このように考えると自動詞と他動詞の関係は形態よりも意味の方が複雑であり、自他同形にしたところで、個々に自動詞、他動詞としての意味を、場合によってはどちらか一方を欠くことを覚えねばならず、語形を記憶する負担など些細なことと思えてくる。むしろ積極的に自他別形にして、形態から再帰や使役の意味がわかるようにした方が学習、運用とも効率が良いと考える。

以上。


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