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シャンソン
:2015/09/27(日) 21:36:08 ID:vqBYuX1A
合掌「祈り」に秘められた太古のパワー
ある日のこと、容態の思わしくない患者が運ばれてきました。
応急処置が終わり、私は「早く治りますように」という気持ちをこめて、患者に向かって手を合わせました。
すると一人の看護師から、「先生、縁起でもないことしないでください。まだ亡くなっていません」と怒られてしまいました。
私は一瞬、戸惑いましたが、すぐに「そういうことか」と腑に落ちましたので、合掌をやめました。
腑に落ちたのは、二つの理由があります。
一つ目は、日本人の多くが合掌を、仏壇やお墓などの前で行なう、他界した人を偲ぶ作法だと勘違いしてしまっていること。
二つ目は、やはり日本人の多くが、祈りの力の強さを知らないこと。
どちらも悲しいかな、事実です。
このできごとがって以来、私は医療現場で合掌するのを一切やめました。その本当の意味や目的が周知されていない場では、誤解や嫌悪といった、
負のエネルギーしか生まないと知ったからです。それでも、祈りの力はたしかに存在します。
私はこの事実を、みなさんにお伝えしなければと思い、これまでの著書でもたびたびとり上げてきました。
合掌の意味を辞書で引くと、「インド起源の礼拝方式」「仏教徒の作法」などと出てきます。まるで仏教の専売特許のように説明されていますが、
私はそんな短絡的なものではないと思っています。仏教をふくめ、世界中の宗教に影響を与えたヒンドゥー教やバラモン教にも、合掌の習慣はあります。
つまり合掌が、「原初から存在する祈りの基本」だったと考えるほうが、ごく自然だと思うのです。
合掌に秘められた力を、古代の人々は知っていた。宗教などなかった太古の昔から、天地創造の神々に信仰心を伝えるため、合掌が行なわれていた。その後、仏教が生まれたとき、仏教徒がその
習慣をとり入れた。私はそう考えています。両手、左と右、男と女、陰と陽、上と下、自利と利他など、正反対の二つを重ね合わせることでエネルギーを生み出すという考え方は、古今東西、共通しています。
合掌は、神々が私たちに与えてくださったプレゼントなのかもしれません。
日本人の大半は、手を合わせて祈ることで、どれだけ温かいエネルギーが放出されるか、具体的にイメージしたことがないでしょう。
それは、医療関係者の多くも同じだと思います。手を合わせる。その正しいやり方を学ぶことは大切です。しかし、だからと言って、形式にばかりこだわってしまうのはよくないと思います。小事にこだわると、
本質を見失うからです。いつでも気軽に手を合わせる。これで十分ではないでしょうか。
合掌するときに重要なのは、たった二つ。
思いの純粋さ。そして、その強さです。祈るまねだけでは、なんの効果も発揮しません。
真心をきちんとこめる。それがいちばん大事だと思います。
『世界一美しい日本のことば』 矢作直樹 著
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