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Web誌友会 板/2

5540a hope:2015/06/26(金) 09:29:47 ID:cEpBaIdo

「生命の實相」第19巻 p142



ある冬の朝、わたしが一週間の断食を終わって食堂へいったとき、そこには大きな一斗釜に温かい芋粥が炊かれてあった。

そこは地方から出て来て、神様の御用に全身を捧げている全然無欲な奉仕の人たちが食事をする食堂であった。

杓子が二つしかなかったので、自分の順番が来るまで待っていた。

その間に見ていると、皆の者は争うようにして、粥の中の薩摩芋を択(よ)ってはわれがちに自分の茶碗の中へよそうてゆくのであった。

そしてわたしの順番の廻ってきたときにはもう薩摩芋は一片もないようになっているのだった。

その有様を見ていることはあさましかった。

そしてそれをあさましいと感ずるわたし自身もあさましかった。

世の中が神力によって大改造され、いっさいの悪人が焼き滅ぼされる時期がここ数年間に迫っていると信じ、その日のために身も心も浄めようとして神務に奉仕している人たちが、釜の中の薩摩芋の一片を争おうとしているのだった。

しかしそれが人間だったのだ。

人間の現実はかくのごとくあさましいものだったのだ。

どんなに最後の審判の日を眼の前に差しつけられて、改心しないと焼き滅ぼすぞと威脅(おど)されても善くなれないのが人間ではなかろうか。

わたしはますます憂鬱になり、淋しくなり、悲しくなり、神を信じていてわたしは喜べるどころか、いっそう悩ましくなるのであった。


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