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生長の家政治連合と「今の教え」を考える/2

2510うのはな:2014/11/09(日) 12:58:45 ID:ZB2mDf6s
   「外国の宗教に口出ししない」というウェストファリア条約の重み

 ウェストファリア条約のモットーは、ラテン語で〝cujus regio,ejus religio." といいます。
「領土の宗教が領民の宗教になる」という意味の言葉です。
 一六一八年、現在のドイツを舞台にして、カトリック諸侯とプロテスタント諸侯の争いが勃発します。
最初は宗教戦争でした。ところが、そこに周辺諸国が介入してきたため、戦況はきわめて複雑を呈するようになり、
日本でいえば戦国時代のように、麻のごとく入り乱れた戦いがつづきました。

 そんな戦争が三十年間にわたってつづいたため、「三十年戦争」と呼称されますが、ドイツ全土は荒れに荒れ、これ以上荒れようのない
ほどの荒蕪地になってしまったのです。これは有名な史実です。ドイツはそれまで「神の庭(ゴッテス・ガルテン)」と呼ばれるほど美しい風土を誇っていましたが、
三十年間も戦闘が打ちつづいたせいで、人口は三分の一の七百万人に減ってしまったといいます。戦前と比較すると、じつに六〇パーセント以上の人口が消えてしまったのです。

 一例を挙げれば、ヴュルテンベルクだけでも三十四万五千人が殺され、チューリンゲン地方の十九の村では一千七百七十三世帯がたったの三百十六世帯になってしまったといわれております。
そこで一六四八年、この悪夢のような「三十年戦争」を終わらせるために、ミュンスターオスナブリュック(ともに現・ドイツ)で締結されたのが「ウェストファリア条約」でした。これは近代的な文明国間で結ばれた
最初の国際条約。いいかえれば国際条約の第一号です。

 三十年もの長きにわたる戦争に決着をつける条約ですから、その条項には国境の確定問題など、いろいろなテーマがありましたが、しかしいちばん重要なポイントは、先ほど指摘した〝cujus regio,ejus religio." にありました。
「領主の宗教は領民の宗教」という意味です。ここから「原則として、他の領地(すなわち外国)の宗教に口出ししてはいけない」ということが演繹されます。
 そのため、ウェストファリア条約が結ばれたあとは国家間の戦争で宗教がオモテには出さないのがルールになったのです。

ナポレオンがヨーロッパ中をあれだけ暴れまわっても「宗教の問題」が表面化したことはありません。普墺戦争(一八六六年のプロイセン・オーストリア間の戦争)、普仏戦争(一八七〇年〜七一年のプロイセン・フランス間の戦争)、そして
第一次大戦(一九一四年〜一八年)、いずれもプロテスタントの国とカトリックの戦争でしたが、宗教が問題にされたことはありません。
ヨーロッパにおいては、このようにウェストファリア条約が厳格に守られてきました。

 三十年戦争で、あれだけひどい目にあった結果、戦争に宗教を絡めると残酷きわまりない惨状を呈するということを身に沁みて学んだわけです。戦争に宗教を絡めると、どうしても「敵は悪魔」ということになりますから、それだけはしない。
それが〝cujus regio,ejus religio." というスローガンの重要性であり、意義なのであります。

 『新たな反日包囲網を撃破する日本』 渡部昇一 著


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