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生長の家政治連合と「今の教え」を考える/2

2164「訊」:2014/07/18(金) 08:21:37 ID:???

孫崎享著書『日米同盟の正体』より ―

 日本国内に、「米国は日本を守る、しかし日本は米国本土を守らない、これでは不公平だ、これを補うため、日本は他の分野で、できるだけ米国に貢献しなければならない」という論がある。一見もつともらしい。この論は勢いを増し、今日日本の安全保障論議の主流を占めている。しかし、この論は正しくない。
 日米安全保障関係の取引は、米国が日本国内に基地を持つ、日本が米国側の陣営につく、日本に攻撃兵器を持たせないこととの引き替えに米国は日本を守る、という取引である。この取引の提唱者は、米国である。米国は現在もこの取引は十分意義があると見ている。
 第三章で、冷戦後、新たに米国が戦略を模索した最初が一九九〇年八月のブッシュ(父)大統領演説であり、その最も重要な柱が、「地球規模の緊急展開と即応力強化」であることを見た。
 その後の米軍にとり、ますます緊急展開と即応力が重要になっている。米軍の緊急展開の中心の一つが在日米軍である。極東からインド洋までをカバーする第七艦隊旗艦ブルーリッジは、横須賀を母港としている。米国がテロとの戦いを戦略上の最重要課題としている今日、その重要度はますます上がっている。


 米軍の戦略遂行には、米軍基地の前方展開が不可欠である。その際、日本の基地は中核的役割を果たす。一九九七年から二〇〇一年にかけて駐日米大使特別補佐官として日米安全保障問題を担当したケント・カルダーは、『米軍再編の政治学』(日本経済新聞出版社、二〇〇八年)で、次のように記述している (要約)。

  (1)米国の基地プレゼンスは五つに大別される、そのうち最も重要な役割をになう戦略的価値を保持している主要作戦基地では、ドイツの空軍基地と日本の嘉手納空軍基地が典型である、(これをいったん失い)再建設するとなると法外な費用がかかる。

  (2)海外の米軍基地の中で将来を考えても深い意味を持つのがドイツと日本の施設である。日本における米軍の施設の価値は米国外では最高である。

  (3)日本政府は米軍駐留経費の七五%程度を負担してきたが、この率は同盟国中最も高い。ドイツは二十数%である

 この記述を見ても、日本の基地が米戦略にいかに重要であるかが明白である。

 日本の米軍基地は、米国戦略の中で、自衛隊の海外展開よりはるかに重要な意義を持っている。この認識が日米安全保障体制を論ずる時の出発点である。したがって米国側からすれば、自衛隊の新しい貢献がなくとも米国は圧倒的な利益を得ている。
取引は十分成立している。
経済分野のリカードの比較貿易論を持ち出すまでもなく、取引はお互いに持たないものを融通し合い、互いの富を増す行為である。取引は、対称性を求めるものではない。


 米国にとつて日本における米軍基地がいかに重要かを認識すれば、「米国は日本を守るが日本は米国を守らない。この非対称性を償うため、日本はできるだけ他の分野において米国に貢献しなければならない」などという負い目を感ずる必要はさらさらない。米国戦略にとり、日本に基地を持つことは極めて優先順位の高い意義を持つ。

 日本側にこの認識があるか否かが、今日の日米安保条約のあり方を考える岐路になる。

(了)


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